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商人貴族~僻地で始める国家改革~  作者: ふぃん
第4章 ハバロフ招集
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国王の引退と新国王

翌日。

貴族たちの会議は二日目を迎えた。


二日酔いで顔を赤くしている国王が機嫌よくあいさつをする。


「昨日の晩餐会はとても素晴らしいものであった。王国と貴族たちの絆がより一層固く、深いものになっていくことを願っている。では、早速本日の本題に入ろう。」


そして王は一転して真剣な顔になり、口を開いた。


「もう諸君も知っているだろうが、私は国王を引退する。」


貴族の大部分はあらかじめ聞いていた内容ではあったものの、それでもどよめきが議場を支配した。

多くの貴族たちは王の退位はあくまでうわさとして聞いていたものであり、本人から直接は聞いていなかったため、99%王の退位について知っていたけれど、確信まではできなかったのだ。


「もちろん王国の安定のために、数年間は補佐として残るつもりであるが、国王は子供に継がせることにした。」


国王の話を聞きながら、アークは頭の中でこれからの王家について考えを巡らせる。

まあ間違いなく、後継者は次男のルイスだろう。ハバロフ招集にすら来なかった長男レオと侯爵家に嫁ぐことになっている次女マリーはあり得ない。長女のカサブランカと次男ルイスの一騎打ちになるが、貴族との関係が良好で、支持も見込まれるルイスが妥当なところになる。逆に後継者はカサブランカと言われたって、多くの貴族は納得できないだろう。


アークの考えは、王国の貴族たちの共通の考えである。誰もがみんな次男ルイスの即位を信じて疑っていない。だからこそ、昨日の晩餐会でのルイスの人気とカサブランカの不人気なのだ。


そんなアークの頭の中はつゆ知らず、王は手を広げて言った。


「ではラプラス王国の次期国王よ。ここへ。」


袖からルイスが顔を出す。貴族たちは特に驚いた様子もなく拍手を送った。

しかし、その拍手が乱れる。

なんとルイスに続いてカサブランカが入場したのだ。

なぜ二人?

アークをはじめとした貴族たちは首をかしげる。

共同統治か?いや、そんなの歴史上聞いたことがない。


貴族たちが戸惑っていると、王は種明かしと言うように大声で宣言をした。


「次期国王には次男のルイスを指名する。そして長女のカサブランカを副王としてルイスを補佐させる。」


いつの間にか拍手は止んでいた。

皆、国王の言葉を聞き漏らさないように聞き耳を立てていたのだ。


カサブランカ姫は副王!?


貴族たちの動揺は抑えられない。戸惑い気味なざわめきが会場を支配していた。

紹介されたルイスとカサブランカが頭を下げる。一人が思い出したかのように拍手を再開し、それに続いて他の人々も拍手を始めた。


アークはいまだに目の前の光景が信じられなかった。


そもそも副王という制度は聞いたことがない。王国が始まってから初めてであろう。

まさか、わざわざカサブランカのために役職を創るとは。


これはおそらく、国王のささやかな抵抗なのだろう。

貴族からの支持が厚いルイスを国王とする一方、貴族と犬猿の仲であるカサブランカを副王に据えることで、貴族たちに好き放題やらせるつもりはないという意思表示をしたに違いない。


カサブランカの副王就任が衝撃的すぎて頭が停止していたが、貴族の中で孤立しているウォーデン家にとっては、喜ぶべきことかも知れなかった。


ルイスが挨拶をする。顔や態度から不満な気持ちが見て取れるのは、アークの色眼鏡だろうか。自分が国王になる気が満々だったのに、姉が副王として目を光らせることになったのだから、その気持ちも分からなくはないが。


「次期国王となったルイスだ。これからはルイ1世として貴族のみんなと手を取り合い、王国をさらに発展させていくつもりだ。ぜひ協力をお願いしたい。」


「ルイ1世万歳!万歳!万歳!」


とにかく、経緯はどうであれルイが国王になるのだ。貴族たちは気を取り直して祝福の言葉を連呼した。



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