仕込み
勝ちの余韻に浸っておじさんと喜びを分かち合っていると、アナウンスの声でハッとした
「全試合終了!受験生の皆さんは会場までお越しください」
しばらくすると、ぞろぞろと人が集まってきた、勝利の余韻に浸るもの、敗北を悲しむ者、様々いた
会場は空気が張り詰め緊張が漂っていた
「結果はねぇ~!明日手紙送るから待っててね〜!」
「はあー?!」
全員口から信じられないという雰囲気で不機嫌になっていると、閉じていた出口が開き案内をされた
参加者が続々とブツブツ言いながら家にむかって帰る中、リュウジは後ろから声をかけられ振り向いた
「リュ〜ウちゃん!」
そういいながらものすごい勢いで抱きつかれた
「久しぶり!」
彼女に抱きつかれ、平然を装おうとしたが緊張して、顔は赤くなった
そう!僕は自分を救ってくれたアユナに憧れると同時に、アユナに惚れていっていたのだ。ただ、とんでもないチキンなので告白や、思いを伝えたことは一度もない
赤面する僕の顔を見て彼女は、不思議がりながらもっと顔を口と口が触れ合うギリギリまで近づけてきた
「リュウちゃーん?どうしたのかなぁ〜?」
心臓がバクバクと大きな音を立てながら震えた。
こ、こいつ!性格クソ悪いな、いや、これは本当に分からないで言ってるやつだ。かわいい!もう好き!嬉しい。てか、アユナは僕にドストライクなんだよ。
僕は白髮の美少女好きなのだ!
アユナは顔を近づけたまま、話し始めた
「覚えてる〜?約束!」
すごい距離感でドキドキしながらもなるべく平然を装い返した
「あぁ!すぐ超えるから待っとけ」
彼女はニッコリと笑い、リュウジに抱きつき言った
「うん!」
彼女にとって、自分と張り合い高めあえる存在は貴重だ。圧倒的な速度で昇級し、天才いや、完璧と呼ばれる彼女と張り合おうとするものはそういない。故に、リュウジの存在は彼女にとってだいじなものなのだ
「じゃあね!」
彼女がそういいながら手を振り立ち去っていくと、気が抜けたリュウジはその場に膝をついた
彼女と話したのは何年ぶりだろう、随分と大きくなってたな。そして可愛くなっていた!
家に着き、食事をし、早く布団に入り、結果を待った。
彼女を超える、それは、リュウジの中でのゴール地点。彼女を超えたところで勇気を出して告白しようと思っているのだ
とある帝都の部屋の中
5人が話をしていた
銀髪の少年は机に突っ伏した
「おい!今年の合格者多くないか?」
背が高く、がたいのいい男が青く輝く髪をかきあげると銀髪の男を睨んだ
「仕方ねぇだろ……今年は少し質が高いのが多いんだからよ」
アユナはいつも通り明るく言った
「りゅうちゃんとか!!」
青髪の男はアユナへと睨みをきかせた
「あっ?そりゃねぇな、あいつはあのおじさんと同じく最低ギリギリラインの合格だ……」
アユナの雰囲気が変わりあたりは張り詰めた
「お前、変なこと企んでないだろうな」
「さあ、なんのことやら……」
「起きなさーい!」
母親の大きな声で飛び起きた。目を向けると母親は手紙を持って手がぷるぷると震えていた
「結果届いたわよ」
父が母親から手紙を取り、待ちきれなかったのか勝手にあけだした
「待てよ!」
僕の言葉に聞く耳すら持たずに結果を見た父は僕達に笑顔で紙を向けてきた
「合格!」
父の言葉と、僕に向けられた紙を見て少し安堵した。
父は少し待つことができない
だがそのしたには、予想外の事が書かれていた。
なになに?合格とは記載されていますが……リュウジ様は、知識以外微妙なためもう一人の微妙な人と実戦形式での試合をして勝ったほうが入っていただくことになります、この手紙を読み次第会場に来てください。いや?様つけても誤魔化せないよ!失礼すぎだろあ?てか、今すぐ!なんなんだよ、こんなとこで落ちるわけにはいかねぇんだよ!
「行ってくる!」
大声で言うとそのまま外へと出ていった、朝ごはんも食べずに会場へとダッシュで走っていた。
会場が見えてきた。会場に入り、上を見上げるとそこには1人の男がいた
青髪のガタイの良い男が髪をかきあげ見下ろしていた。彼はユウタである!
「来たかガキ……対戦相手が到着次第始めてもらうからな」
しばらく、いや、1時間ほど待っていると……
いや、なげぇよ!
目をこすりながら、昨日のおじさんがはいってきた
「おじさん!」
「坊主!」
僕と同じくおじさんもおどろいた。口を大きく空けながら目を見合わせていると上から声が聞こえた
「紙に書いたとおり、今からお前らには戦ってもらう」
その言葉を聞くと、二人は覚悟を決めた表情で見合わせた
「「こうなっちゃ仕方ねぇな」」
「はじめー!」
ユウタの言葉と同時に、おじさんが剣を振り上げ切りかかってきた
「坊主。手加減なしだ」
「言われなくても!」
剣と剣がぶつかり合い互いに顔をしかめながらただ剣を振り続けた
ゴンッ
剣に気を取られおじさんの交わすことができたであろう拳が僕の腹に当たった
思わず意識を持っていかれそうになるほど重く響いた
気絶したら負け……
ギリギリで気持ちを保ち地面に倒れ込んだ
地面に倒れ込んだ僕を哀れに思ったのか、おじさんは厳しい表情で言った
「坊主、降参しろ」
まだ、まだだ。俺は
「んなこと、何回も言われてんだよ!」
過去、完璧アユナに追いつくと口にすると誰もが僕を馬鹿にしてきた、ただあの時の約束が忘れられなかった、諦めたくなかった、誰に何と言われても、アユナに自分を認めさせたかった。
「こんなところで折れてられねえんだよ!」
おじさんは、驚いた
俺は今まで絶対に勝てそうにない相手には降参してきた。別にやる気がなかったわけじゃない。ただ怖かったんだ。もし戦って今までの自分の努力が否定されるのが……自分がこんなもんなんだなって思い知らされるのが……でも、こいつは
尊敬、に近い感情が湧いてきた
「ここからは本気でいくぞ坊主!覚悟しろ!」
おじさんはそういうと先ほどより速い太刀で切りかかった




