烈火のごとく
「シャトルラン開始〜!」
結果、180回。まだだ!
「反復横跳び開始!」
結果、98回……まだだ!
その後も、ハンドボール投げ89メートル……握力78キロ……他にも平均より少し上ぐらい。エリミネートには、魔物と戦い討伐をする常人と並外れた身体能力が必須となる。確かにはたから見たら高い結果かもしれないけど、エリミネート基準からすると低い場所に位置する。そもそも、エリミネートとは、生まれつきの才能を持ったものが世界中から集まる。そして、そんな異能たちが溢れかえっている試験では僕のような凡人だけ落ちて、大量の異能の中から少数の異能たちが試験に合格する、そんな流れだ。
そんな異能でも実際の戦闘では命を落とすことが多々ありエリミネートは常に人手不足となっている
休憩室へと向かい、ベンチに腰を下ろした。タオルで汗を拭き、下を向いていると心の内の気持ちがこみ上げてきた
「こんなところで終わっれねぇー!」
周りから変な目で見られた。はっず……取り敢えず切り替えて次行くか
次の試験は、魔物の知識学か!これは自信がある
「開始〜!」
アユナのゆるーい声と同時に皆がペンを持ち同じ答案を見つめた。わかる!これも、試験に向けて、体力では少し劣ると思ったから、知識学を頭に叩き込んだ。毎日トレーニング終わり、お風呂上がり、ちょっとした合間にも勉強をした!エリミネートは、魔物の基本的知識を頭に入れないといけない、でないと多種多様な魔物の前に立ちはだかったとき、対処ができずにどれだけ優秀なものでも手に負えない。それ故、知識は重要視されている
「終わり!」
彼女の言葉と同時に皆がペンを置き、プリントを前へと出した。息をつき暇さえなく、第三試験が始まる
「第三は対人試験!危険だから魔法は禁止!相手の体の部位を欠損、または後遺症を残したものは脱落。勝ち負けだけじゃなくて、間合い、速さとか色々な視点で判断するから~!あとあと、気絶するまでね!」
またしても呑気に言う彼女の姿勢を尊敬しながらも焦りが出た
対人。ここでいい戦績を残せないと合格の夢が壊れる。試合は、今日と明日に分けて、2対2で行うらしい。くじを引いて同じ番号を呼んで探していると、低い声で後ろから話しかけられた
「おい、あんたか?おれも55番だよ」
彼の名は、デフ。何処にでもいるおじさんである
体格はふくよかでよくいる、おじさんって感じがする。
「リュウジです。よろしくお願いします」
「デフだ」
おじさんは僕が思ってたほど気難しくなく、優しく手を差し出してくれた、その手を取り握手を交わした。このおじさんと一緒に戦うんだ一応作戦会議ぐらいしとかないとな
「兄ちゃん初めてか?」
「はい!」
僕の元気な返事におじさんは少し肩を落としてため息をついた。確かに俺じゃあ頼りないかもだけどひどくね?傷つくぞ!すこし傷ついているとおじさんは言った
「俺、8回目……頼りなくてごめんな」
その時、おじさんの予想外の言葉に驚いた。自分が頼りなくて肩を落としていたと思っていたら、いい人だった。おじさんの声からは元気が感じられなかった
「やってやりましょうよ!」
励ましのつもりか、はたまた自分への言葉か自然と口へと出ていた
おじさんは最初は少し、驚いていたが少しして笑い出した
「坊主面白いな!そうだな、やってやるか!」
ニコっと笑った歯が白く輝いていた。
でも、どうするかなぁー。おじさんと地面に寝転び空を見上げながら考えていると、おじさんが話した
「正直俺は、人並みの運動神経だ……坊主はどうだ?」
その返事はあまりにもわかりやすかった
「僕も」
その言葉を聞くとおじさんは腕を組んで考え込んだ
普通の戦術じゃ僕たち凡人コンビは運よく、同じ凡人コンビと当たるしか勝ち目はない。
ただでさえ異能が集まる場、僕たちのように凡人が合わさることなど滅多にない
おじさんは笑みを浮かべながら問いかけた
「どうする坊主?凡人らしく地べたを這いつくばるか?」
「おじさん冗談くさいぜ!ここで引き下がるようなたまじゃねえだろ」
「んじゃやるか」
翌日
「ではー!55番対56番チーム対戦開始!」
試合が始まると同時に僕たちはお互いの胸ぐらをつかみ合い殴り合った
「おい!お前いたら勝てねえよ」
「そりゃ!こっちのセリフだっての!腹で過ぎたろがよ」
しばらく殴り合って血が出てくると相手チームが困惑した様子で近寄ってきた。そう!これこそが彼たちの作戦、困惑させりゃどうにかなるだ!ださい?それが何だ、見苦しいそれがどうした?何と言われようと構わない
「今だ!」
おじさんと同時に剣を投げつけた。剣が顔へと直撃し、相手が顔を押さえている隙に2人で距離を詰め寄り、相手を殴り始めた。
そのうち、体勢を立て直した相手が剣で切りかかってきたが、僕とおじさんは、わざと一撃をもらうとそのまま剣をはじき飛ばし、二人同時に頭にけりを入た。相手はその場に倒れ込み、動かなかった
試合を観ていたものからは罵声がとんできた
だが、2人は違った
「おじさん!」
「ああ!勝ったぞ!」
僕たちがハイタッチすると同時に試合終了のホイッスルが鳴った。
アユナは腹を抱えて笑った
「いやぁ~、リュウちゃんは、無茶するなぁー!あんな無茶な戦い方、わっはは」
考えると笑いが止まらと言わんばかりに腹を抱えその場に笑い転げた。第一試合試験開始前から彼女は、リュウジを見つけて、昔の約束を思い出していた
いつか、アユナを超えてみせる!
ふふっ、じゃあ追いつけないぐらいの速度でうえに行ってあげる
彼女が立ち去る前に、交わした言葉この言葉を励みに今日まで頑張ってきたといっても彼女にとっては過言ではない。
来るとは思ってたけど、本当に私を追い越すために来たんだ!考え深い感情になりながらも話し出した
「いやぁ~。今年は、面白い ぶっ 思いだしただけでもわっはは」
結局思い出して地面に笑い転げる彼女を見ながら、歩いてきた男は、怪訝そうだ
「部隊長!しっかりしてくださいよ」
その言葉には、諦めとわずかな希望がこもっていた。
彼は、副部隊長アーグレスト。実力は確かで、帝都で13番手だと噂されている。それに対して部隊長、アユナは帝都5番手と噂されるほどの実力を有している。
彼は、アユナのことを剣術だけなら神と言わんばかりに尊敬し、崇めている
エリミネートには、10部隊ごとで部隊長、副部隊長とある。そして、そのうえに組織全体に立つ、幹部、副長、極長とある。そして、昇進をするためには任務の成功でたまるポイントをためて昇進試験を受ける必要ポイントを貯めることで試験を受けることができる。
試験は、その階級に位置する人と戦い勝利することで、その地位に昇進することができる。だから、彼女の実力が確かなのはわかる
ただ、ただ
「あなたは!何というかだらしない!」
それは尊敬するものに対しての理想が、崩れショックだった。なんなんだアユナさんは、本当に実力だけはあるんだけど……だからこそもったいない
あぁーもどかしい。
というかあの、りゅうちゃんとか言う人、すごい戦い方だったな。確かに周りから見れば卑怯に映るかもしれないただ、エリミネートは、常にどんな状況でも冷静でいることが最も重要とされている。
あれは明らかにあの状況に対応できなかった相手側の実力不足、そして彼らの勝ちだ




