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圧倒的才能

僕の人生を変えた一人の少女がいた。

その少女は気高く、美しくそして優しかった。

 

やべっ!避けれない

5歳の時、よく森を散歩していた。外の風に触れていると自然と癒やされるからだ

でも、ひとつ肝に銘じていたことがあった。

「夜になると魔物がでるから早く帰ってきなさいよ」

母から何回も耳が腐るほど聞いた言葉、そして命に関わるきまり

夜は魔物の世界、それまで華やかだった場所も一瞬にして地獄へと変わる。夜まではなぜか魔物が姿を表すことはない、今もなお研究科たちが熱心に魔物の生態、なぜ夜にしかいないのかなど探求を進めているがいまだに未知なものだ。

そしてあろうことかその日僕は、道に迷ってしまった。

いつもなら迷わずに真っ直ぐ帰れる道それが地獄への入り口となった。

空は薄暗くなり、焦る俺を嘲笑うかのような泣き声、風の音が周りを埋め尽くしていた。普段心地よい風の音さえ悪魔のささやき声のように聞こえた


ガサッ


物音がしたほうに視線を向けるとそこには、魔物エンドビッシャー(厚い鱗を全身にまとった、巨大なハサミ型の手をしている。足は8本あり、ザリガニのような見た目の巨大型魔物)

気づいた時には遅かった

ヤバい!そう焦りすぐさま走り出したが、幼い子供の脚で巨大な魔物から逃げ切れるわけもなくエンドビッシャーの大きな咆哮を聞きその場に膝をついた

グがぁー

という咆哮は耳の奥深くまで響き渡り心は絶望一色に染め上げられた。

自分の死を覚悟し大きく振り上げられたハサミに身をかがめ小さな抵抗をしながらも心は打ち砕かれていた。

目を閉じた時、生暖かい液体が僕の身体に振り注いだ。状況がわからずに目を開けると目の前には、白い髪が美しい、僕と同じぐらいの年の女の子が剣を持ってたたずんでいた。その前には大きなハサミが無様にも落ちていた。剣から滴る液体を見て僕は確信した。

彼女がやったんだと

その姿は月明かりに照らされかっこよかった。その姿、その人は僕のヒーローだ。


「危なかったねぇ〜」

彼女はこちらを向くと陽気な声をかけた。その声のおかげで緊張がほぐれた


その着後、魔物は立ち上がり少女へと向かって走ってきた。自分の自慢のはさみがきり落とされ、尊厳を失い悲しいのだろうか

彼女は魔物に体を向け剣を構えた。

魔物の攻撃が届くよりも早く舞のような動きでその体を一刀両断してみせた。

その美しくて、冷酷な姿は美しくも恐ろしくもあった。その時の気持ちはいつまでも深くこころに残っている。

「ありがとう」

僕の声を聞き、こちらを向いた少女は、尻もちをついているだらしない僕に手を差し伸べた。彼女の手は小さいながらたくましく温かみを感じた。その日は家までついてきてもらった

すごく情けないけど、まだ不安が残っていた僕は恥を惜しんで頼み込んだ所軽く

「いいよぉ」

と返された。彼女はどこかぬけていて、でも美しく凛々しかった


家までの道中

会話をしないのも気まずいので話しかけてみることにした。話しかけると言ってもそこまでコミュニケーション能力が高くない僕は、すごく初歩的な質問を投げかけた

「名前は?」

彼女は腰にかけた剣に手を添えながら答えた

「アユナ。君は?」

「僕は、リュウジ」

そう聞くとアユナは微笑んだ。その笑顔は僕の不安を取り除いて暗い夜道を照らしてくれた

「そっか、りゅうちゃん!よろしく!」

何気ない会話だったけどそれは僕にとってすごく嬉しいことだった。家の前に着くと、僕の帰りをまだかまだかと待っていた母がものすごい勢いでこちらに走って来た

しばらくの説教の後、母はアユナへとお礼を言った


アユナは母のお礼に軽く会釈しそのまま暗闇へと消えていった。

あの子、僕と同い年ぐらいだけどなんであんなとこに?僕みたいに迷子ってわけじゃなさそうだったし

それにしても、かっこよくて可愛かったな


翌日

母に昨日のことの反省としてお使いに行かされた

家からいつも母が買い物をしている場所は、20分ほど道を下ったところにある。この坂は行くときは楽だが、帰りに荷物を持って登るとなると大きな壁となる難所だ

さっそく帰りのことを考えて不機嫌になりながらも何とか街へと着いた

いつも、母が肉を買っているという精肉店の前へと着くとそこには見覚えがある人影があった

その店にはアユナがいた

しばらく話しかけようか迷って見つめていると、僕に気づいたアユナは、満面の笑みで僕に大きく手を振ってきた

買い物を済ませた僕たちは、街近くの公園で遊んでいた。

気になる事をそのままにしておくのは気持ちが悪いので思い切って聞いてみた

「ねぇ、僕は昨日迷ったから森による遅くいたんだけどアユナはなんで森にいたの?剣持ってたし」

アユナはニコニコとしていた

アユナの一族は代々、夜に魔物を探し、見つけ次第倒す職業エリミネートをしているらしい。それを聞いた僕は、つよい憧れを抱いた。命の恩人、そして憧れの彼女が行なっている職業に就きたいと


それは、17歳になった今でも変わらない。

アユナは僕が10の時に、本格的にエリミネートを始めることになったらしく、エリミネートの拠点がある帝都に行ってしまった。その時、僕が誓ったことは今でも僕の心を突き動かしている。


そんな事を考えながらいつも通り、腕立て伏せを200回していたら腕がはち切れそうになった。僕は、腕立て伏せをやめて、リュックを背負い家を出た。

外へと出ると両親がドアの前まで来て僕の背中を叩いていった

「頑張れ!」

父と母の期待を背に家を出て歩き出した。何と言っても今日は運命の日だからだ

今日は、年に1回のエリミネートの試験だ。

17歳から試験は受けれるようになる、給料が高いため多くの人がエリミネートになることを望んでいる。

試験の基準は比較的に高い。近年増え続ける魔物に立ち向かう戦力は多いほうがいいが、中途半端なやつを雇うとすぐに死ぬからだ。それほど危険な職業。

緊張するなぁ〜

アユナは、今どれくらい強くなってるんだろ。

もう7年もあってないから僕のことなんか覚えてないかもしれないけど……

少しネガティブになりながら試験会場への道を進んで獣道をぬけると少し開けたところに出た、前には大量の人が試験会場へと向かうのがみえた。

多すぎだろ!さすがエリミネート凄まじい人気だ。

まあ給料いいしね……

大量の人混みの中を、歩いていると、大きな建物が見えてきた。その建物は塔のような長細い見た目をしていた。

でっけー!アユナはこんなとこに10歳で来たなんて。視界に収まらないほど巨大だ。

受付を済ませると、緊張しながらもベンチに腰掛け朝食のおにぎりを食べることにした


突然耳を劈くような大声が聞こえた

あっぶねぇ大きな声に驚いておにぎりを落としかけた

その声の正体はアナウンスだった

「試験が始まります!みなさん試験会場までお越しください」

その言葉と同時に大量の人間が一気に動き出した。その光景は蟻の大群のようだ。途中転びながらも、なんとか試験会場まで着くとそこには3000人程いる受験者が全員はいれるほどの広いくさむらの高い壁で覆われている場所に着いた


壁の上の観客席から一人の少女がでてきた。


「みんなぁー!どうも、天才!最強!あらゆる名を冠する完璧美少女アユナでーす!」

そこには、成長したアユナの姿があった……

彼女の姿は、あの時の面影を残しながらも背は高くなり顔も美人になっていた。そして、こんな性格だったけ……?何かキャラチェンした?

彼女の言葉を聞いた受験者は大きな歓声を上げた。

それもそのはず、アユナは10歳でエリミネートになった天才美少女として、名をはせている。あれから、順当に成長し、部隊長にまで上り詰めた。まさに、異能。らしい、さっき配られたプリントに書いてあった。アユナは僕と違って才能を持っているしその才能にあぐらをかくことなく鍛錬をしていた。当然の結果だ


アユナは続けて大きな声で言った

「早速第一試験はー!ドゥルドゥルドゥルドゥルドゥルドゥル、じゃん!体力測定!さあ、君たち何処まで来れるかな?」

せ、セルフドラムロール!!

この時だけはみな同じことを考えてるように思えた

会場が少し静まり返る中しばらくすると

大きな体格の男が静まり返った会場に火を注いだ自信満々に言った

「やってやろうじゃねぇが!!」

その言葉を聞き、余裕をかますもの、震えるもの、そして!僕と同じく心が燃えるもの。あれから、毎日アユナに追いつくために自分を追い込んできたんだ。こんなとこで落ちるわけには行かない、絶対にアユナに追いついてやるんだ!


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