表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
40/42

第39話 ルピアの願いで女神降臨! 王国の嘘を暴け!


【コメント】

「ええええええええ。女神様!?なんで?なんで??」

「CMじゃなくて本物!!」

「ドッキリじゃなくて?」

「フィーバータイムってこんなのもありなの!?」

「ルピアは女神と繋がってたの?」

「マジで社長は何者なんだ」

「神々しい。すげえ」

「信じられない。夢みたいな光景」



 突然空から舞い降り宙に浮かぶ女神に、コメント欄は大いに盛り上がり、その場に居合わせた者達は騒然とした。


「なっ……!?」


 王子は愕然と目を見開き、大声で怒鳴った。聖女もそれに続く。


「ふざけるな、偽物め! これこそ女神への侮辱行為だ。今すぐこの犯罪者どもを捕まえろ!!」

「そ、そうですよぉ。こんな寂れた村に、女神様が現れるはずありません!」


 しかし、王子の直属の従者である魔導師たちは命令に従わない。

 それどころか感極まった様子で女神を見上げ、膝をつき、祈りを捧げている者もいる。


「何をしている、お前たち!!」


「ピエール王子、聖女アリス様、分からないのですか!」


 声を荒げる王子たちへ、僧侶リリアが鋭く叫んだ。


「この御方は――間違いなく、本物の女神様です。私たち僧侶や神官は、女神様の加護をその身に受けて魔法を操る者。本能で、その存在は理解できます」


 そしてリリアは、きつい視線で聖女アリスを睨みつける。


「まさか、この国で最も神聖な存在――聖女様が、それを感じ取れないはずはないと思いますが」


 アリスはぎくりとした表情を浮かべて、明らかに狼狽えた。

 それでも口元をひきつらせながらも、何とか返事をする。


「ふ、ふんっ。そうですね、た、確かに……本物の、女神様……のような気が、してきました! 私、ここまでの移動で疲れていたので、すぐには分からなかったんです!」


 王子はそんな様子の聖女を一瞥してから、不機嫌そうに顔をしかめた。


「なんだ、本当に……女神だっていうのか!?」



【コメント】

「本物っぽいな」

「リリア様、格好いい!」

「なんか聖女と王子が怪しくない?」

「不敬BAN不可避。気を付けな」

「でも、王子はともかく聖女様の反応は…」

「僕も祈っておこう。画面越しでも御利益あるかなぁ」



「あの、私、そろそろ喋っても良いですか……?」


 周りが混乱していたため、女神は様子をうかがっていたらしい。

 おそるおそる口を開いた彼女に、聖女が悲鳴を上げた。


「し、喋ったぁああ!」


「そりゃ喋りますよ! 女神を何だと思っているのですか!」


「ひいっ。ご、ごめんなさい!!」


「いえ、その、そこまで謝らなくても」


 聖女はガタガタと怯えた様子で蹲っている。

 その姿に、女神は困惑を隠しきれない様子だった。


「突然、呼び出してごめんにゃ、ラブルピ女神!」


 俺はそんな女神へ声をかける。

 女神ははっと顔をあげると、にっこりと笑顔になった。


「いえいえ、生ルピたんにまた会えて、女神幸せです! それにしても、驚きました。私がスキルにおまけした『フィーバータイム』で、まさか地上に降臨することができるなんて!」


「ふふふ、配信の可能性はまさに無限大にゃ! ところでラブルピ女神、ここまでの流れは分かってる?」


 俺が問いかけると、女神は困ったような表情を浮かべた。


「それが――すみません。私はこの地上世界のことは、ふわふわとした夢のような感覚でしか観測できないのです。運よく数回、ルピたんの配信は確認できましたが、細かな地上の出来事は分からなくて」


 女神の返答に、その場にいる人間がざわめき始める。

 王子が明らかに動揺した表情を浮かべ、聖女は蹲って顔を隠したまま震え続けている。



【コメント】

「女神様、ふわふわしているなぁ」

「でも神さまって案外、そんなものなのかも」

「あれ、だけど聖女様へのお告げは?」

「女神様と同担が判明して嬉しい!」

「まじか。女神はルピアファン…すごすぎ」

「不穏な雰囲気」



「女神様!!」


 ざわめきを打ち破って、スラ子が大きな声をあげて一歩前へ踏み出した。

 女神はその姿を、優しく見つめている。


「はい。貴女はスラ子ちゃんですね。どうしましたか」


「あ、あの。うち……うちは、」


 スラ子が必死に恐怖を堪えるように、拳を握り締める。

 その手を、隣にやってきたエルミアがそっと握った。

 反対隣りに歩み出たカリーナが、勇気づけるようにスラ子の肩を抱く。


「スラ子――言うにゃ」


 俺もスラ子の後ろに寄り添い、その頭を撫でる。

 スラ子は決心したように息を吸い込むと、大きな声で問いかけた。


「うちは、ここゴーシェ村の出身です。ここは女神さまのお告げで、守らなくても良い土地だと言われたとされてます。ほ、本当ですか!?」


「あ、馬鹿!!」


 ハッとした王子の罵声が響くが、もはや誰も彼の言葉を意に介さない。

 女神はスラ子の訴えに、心から驚いたような、ショックを受けたような表情を見せた。


「私が? いえ、いえ、決してそんなことはありません。私は常に、全ての人の幸せを祈っています」


 それから、女神は少しだけ暗い表情を見せる。


「ただ、今の私は地上への干渉が出来ません。神官の皆さんと通じて魔力の供給は可能ですが、それ以外はこの世界のことを正確に観測するのも困難なのです。まして、お告げを伝えるなんて――」



【コメント】

「スラ子よく言ったぞ!」

「王子の顔、真っ青じゃん」

「バズリアの絆尊い」

「王子と聖女が怪しいのは分かってたけど、まさかこんな証拠が出るとは」

「事件じゃん!」

「これ、聖女様が嘘ついていたってことで確定?」



「ま、ま、待ってください!!」


 窮地に追い込まれた聖女は、声を裏返しながらも叫んで立ち上がった。


「女神様、お忘れですか。私、聖女アリスです! ほら、私に祈りの間で、お告げをくださったではないですか。どうか思い出して!!」


 縋るように声をあげる聖女へ、女神は悲しそうな表情を見せた。


「すみません。貴女のことは――存じ上げておりません」


「……!!」


 それは、決定的な言葉だった。

 聖女は絶望的な顔で膝をつき、聖女と組んで行動していた王子も表情を醜く歪める。


「くそ、これは、何かの間違いで!!」


 絶叫する王子の声を遮るように、女神が小さく息を吐いた。


「ああ……そろそろ、時間が来たようです。やはり、長く地上に留まることは難しいですね」


 寂し気にそう言う女神に、俺は笑いかける。


「それなら、またフィーバー起こして呼んであげるにゃ。今度はコラボ配信、しちゃおうにゃ!」


 俺の言葉に女神は瞬くと、くすくすと表情を綻ばせた。


「ふふ、はいっ! 喜んで!」


 女神はキラキラと光の粒になって消えかけながら、その場にいる人たちへと視線を向けた。


「エルミアちゃん、カリーナちゃん。配信、見てます。大ファンです。グッズが欲しいのに買えないのが、女神とっても悲しいです」


「ふわわわっ!? こ、光栄です、女神様!」

「ありがとね。また来なさいよ!」


「スラ子ちゃん、悲しい思いをさせてしまって、駄目な女神でごめんなさい。でも、応援、していますから」


「ええんや。うち、沢山仲間ができたから。ありがとう、女神様」


「僧侶リリアさん。貴女の頑張りも、いつも伝わっています。どうか身体を労わって、この世界を宜しくお願いします。勇者パーティの皆さんたちも」


「はいっ。女神様に誓って、この世界を守ります!」


「マッスル女将……ああ、萌えトークしたい……したいのに、時間、時間がぁ……!」


「やーん、ラブルピ女神ちゃん。いつでも萌え電波発信しておくから、受信してねっ!」


「最後にルピたん。本当に、本当に――ありがとう。どうかこれからも、沢山輝いてください」


「勿論にゃ。まだまだ、ルピアの夢は終わらないからにゃ!」


 殆ど光の粒になった女神が、うっすらと微笑むのが見えた。

 その煌めく渦の中に、俺は自分が身に付けていたフィーバーブレスレットを投げ入れる。


「ルピアからのプレゼントにゃ。大事にしてね」


「きゃあああああ、推しからファンサもらっちゃった! 女神、もう蒸発し――」


 断末魔のような歓声をあげながら、女神は空へと消えて行った。


Fever Gage ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ