第27話 バズリア解散の危機!勇者からの衝撃の提案!
<<【バズリア】王子からの呼び出し!【緊急中継!】>>
王子からの「バズリアを王国直轄にする」という提案を、俺は堂々と断った。
そのことで、コメント欄は大盛り上がりだ。
【コメント】
「きたー!!」
「社長、男前だ!不審者だけど!」
「でもこれ大丈夫?」
「王国直轄だと色々活動できそうでいいけどなー」
「でもあの王子の下は嫌じゃない?」
「いけいけー!!」
「なっ、何故だ!? この上なく名誉なことだぞ!!」
断られることを予想していなかったのか、王子が驚愕の表情で声を荒げる。
俺はニヤリと笑って答えた。
「簡単さ。王国直轄じゃ、これまで通りの活動が出来なくなると思ったからだ」
「なんだと! 活動資金も装備の支給も、何なら配信環境だって今以上に得られるぞ。それに何の不満があるって言うんだ」
「不満しかないな」
言い返してくる王子に、俺は一歩も引かずに畳みかける。
「俺たちにとって、何よりも大切なのは自由だ! なりたい姿、やりたいことを制限されない自由。そこで輝くから、真の熱狂が生まれる――!」
エルミアが不安そうな顔で、こちらを見つめてきた。
自分のせいで、このチャンスを棒に振るのではないかと心配しているのだろう。
俺は安心させるように微笑み、その手を握ると王子の方へ向き直る。
「俺は、俺の事務所のライバーを守る義務がある。社長なんでな!!」
【コメント】
「男前だ!!」
「社長、ついていくぜ」
「うおおおおお、やるときはやる男!」
「でもエルミアちゃんは渡さない!」
「ならカリーナは貰っていく!」
「俺はスラ子を養ってやるんだ!」
王子は俺の言葉に、ぎりぎりと表情を歪ませる。
その内心はきっと怒りと屈辱が渦巻いているのだろう。
しかし、すぐに彼は嘲るように笑みを零した。
「……ふっ」
そして俺の方へ、見下すような鋭い眼差しを向けてきた。
「それなら、お前達のパーティはダンジョン使用禁止だ。配信権も剥奪する!!」
「なっ!?」
「ええっ?」
「何ですって?」
「そんな!」
王子の突然の理不尽な発言に、全員が思わず声を零した。
「まて、ダンジョン使用禁止なんて聞いたこと無いぜ。配信権だって、この世界では全冒険者に認められた権利で――」
「馬鹿め! ダンジョンも配信も、全て国が管理しているものだ。俺が禁止と言えば禁止なのだ!」
「そんな横暴な!?」
慌てる俺たちを見守っていた勇者パーティの女僧侶が、静かな声で告げる。
「ダンジョン使用や配信禁止自体は、有り得る措置よ。主に犯罪者などに適用されるものだけれど」
「私たち、犯罪者じゃないです!」
「配信できないなら、バズリアの存在意義がないじゃない。解散しろってこと?」
困惑したように呟くカリーナに反応して、エルミアの泣き出しそうなか細い声がもれる。
「解散……、バズリアが……おしまい……?」
スラ子も、不安そうに表情を曇らせている。
俺は必死に挽回の手を考えるが、すぐには思い浮かばない。
嫌な汗が、背中を伝う。
【コメント】
「ちょ、やばくない?」
「ダンジョン禁止で配信も禁止??」
「バズリア終わりじゃん」
「どうするんだこれ」
「横暴だ、横暴だ!!」
「でも国の管理なのは本当だしな…」
「――お待ちください、殿下!!」
そのとき、澄んだ凛とした声が響いた。女勇者だ。
王子は嫌そうな顔をしながら、彼女の方へ顔を向ける。
「なんだ、俺の決定に意見する気か?」
「いえ、殿下。しかし、このままでは私たちのプライドが許せません」
「何?」
訝しがる王子から視線を外して、勇者は真っすぐに俺を見つめる。
「バズリア社長。君は国の直轄では熱狂がうめないと言ったね。それは聞き捨てならないな」
王子と違って、彼女の言葉に悪意は感じられない。
ただ、真摯で、芯のある凛々しさがあった。
「それは悪かった。君たちを否定したい訳じゃない。ただ、俺のやり方じゃないってだけさ」
「はは、分かってるよ。でも、私たちにも誇りがあるんだ」
勇者はにこりと笑顔を浮かべると、大きな声で宣言した。
「私たち勇者パーティと君たちバズリアで、勝負しようじゃないか。合計同接数勝負だ!」
「……!!」
【コメント】
「衝 撃 の 展 開」
「アストリア様、本当に綺麗だー」
「同接数勝負!?面白そう!」
「でも、相手が勇者パーティってやばくない?」
「堂々の世界ランキング1位だよ、不動の」
「そりゃそうでしょ、勇者だもん…」
勇者の提案に、先程まで追い詰められていた俺の心はワクワクに踊った。
こんなの――最高のエンタメじゃないか!!
「分かった、その勝負、乗った!!」
ほぼ考えずに、俺は返事をしていた。
「え、社長、本気ですか!?」
「ちょっと不審者、相手は勇者よ?」
「いくらなんでも無謀ちゃうか?」
メンバーたちからそう突っ込みをくらうも、俺は大笑いで返す。
「はっはっは。大丈夫さ。勝算はある――エルミアと、カリーナと、スラ子が滅茶苦茶頑張ってくれれば、いける!!」
「ふぇぇ、社長! がっ、頑張ります!」
「本当にいいかげんなんだから」
「とんでもないな、社長さん!」
【コメント】
「それでこそ不審者だぜ!」
「頑張れみんなー!」
「応援するぞ」
「俺は勇者パーティもファンなんだ、どうすれば!」
「雑な作戦過ぎて草」
「お、おい、お前達!!」
自分と無関係な所で盛り上がる俺たちに、王子が不服そうに声をあげる。
「勝負するのか? ふん、まあいい。勇者パーティが負けることはありえん。もしバズリアが負けたら、国の直轄になるか、さもなくば解散してもらうぞ!」
「いいとも。約束しよう! ただし――こちらからも条件だ」
「何!?」
「同接数勝負、細かいルールはそちらで決めて貰って構わない。だが、俺たちが勝利したら、バズリアの独立した活動を認めること。そして――」
俺は勇者パーティに向き直ると、ビシッと指をつきつけた。
「俺たちが勝ったら、勇者パーティに俺のスキル『理想投影』をかける権利を要求するぜ!」
「理想投影……その人をなりたい姿に変化させる、君のスキルだったかな」
勇者の問いかけに、俺は頷く。
「そうさ。勇者パーティのファンの皆も、今回ばかりは俺たちに味方した方が得だぜ。見たくないかい? 勇者パーティの真の姿!」
【コメント】
「酷い条件で笑った」
「よりによって、要求がそれか」
「カリーナちゃんの放送事故を思い出すな」
「アストリア様の理想投影みたいいい」
「流石社長、やり方が汚い!!」
「ははは、やっぱり君は面白い人だね。ああ、良いよ。私は構わない。皆も良いかな?」
俺の突飛な提案も、勇者は爽やかに笑いながら了承してくれた。
勇者に問いかけられて、他のメンバーたちはやや微妙そうな反応をしている。
「う、ううん。まあ、負けなければいいのよね。負けるはずがないし、良いわよ」
女僧侶が言葉に詰まりながらも、何とか頷いた。
「……それが、勇者の選択ならば」
男武闘家も戸惑っている様子だったが、勇者に忠誠を誓うように首を縦に振る。
「皆が納得しているのなら、仕方ないですね。僕も従いましょう、勇者」
やれやれ、と苦笑を浮かべつつ、男剣士も了承した。
「よし、これで決まりだな――!」
俺と勇者は、がしりと握手を交わす。
「どちらが勝っても、恨みっこなしだ」
「ああ。本気で行かせて貰うよ!」
――こうして、バズリアと勇者パーティの同接数勝負がスタートした!
Fever Gage ★★★☆☆☆☆☆☆☆




