第24話 ルーベウスの決断!カリーナは果たしてどうなる!?
ライブを終えて、水晶の洞窟内に色とりどりの紙吹雪が舞う。
その最中、四天王ルーベウスの表情が一瞬だけ和らぐのを俺は見た。
「ルーベウス!」
思わず声をかけた時には、既に彼の顔は冷淡な無表情に戻っていた。
しかし、今までの殺気は感じられなかった。
「……どうだったよ、俺たちの最高の熱狂は!」
赤猫ルピアから仮面姿の社長へと戻った俺は、ルーベウスに問う。
俺の後ろで、エルミアとカリーナが息を飲みながらその様子を見守っている。
【コメント】
「最高のライブだったぜ!!」
「ルピたん良かった!」
「ひゅーひゅー!」
「俺はだんぜんエルミアちゃん推し!」
「カリーナの歌も凄かった~」
「これを生で聞けたルーベウスに嫉妬だわ」
「お疲れさまでした!!」
ルーベウスは配信画面を暫し見つめた後、深く溜息を吐いた。
「くだらん」
そう言い捨てて、ルーベウスは目を伏せる。
それから、小さな声で付け足した。
「だが……、確かに、ただの堕落とも違うらしい」
「……!」
その言葉に僅かに希望を見出したのか、カリーナが前へと進み出た。
「ルーベウス様!!」
四天王ルーベウスは、元は魔王軍幹部であるカリーナの直属の上司だ。
彼女は必死に、頭を下げる。
「魔族の思想に、この活動が反していることは承知しています。それでも――私は、配信を続けていきたいんです!」
ルーベウスが視線をあげて、カリーナをじっと見つめる。
カリーナは顔をあげると、真っ直ぐにルーベウスを見つめ返した。
「歌が、思いきり歌えて、嬉しかったんです。皆に聞いて貰えて、幸せでした。何より、社長とエルミアと配信するのは、…とても楽しいんです!」
【コメント】
「カリーナちゃん…」
「俺もカリーナの歌が聞けて幸せ!」
「バズリア続けて欲しい」
「カリーナも大分、命かけてたな」
「やめないでー」
「カリーナちゃんの言葉、すごく真っ直ぐで好き」
長い沈黙ののち、ルーベウスはぽつりと零す。
「馬鹿馬鹿しい」
「……っ」
否定的な言葉に、カリーナの表情が青ざめた。
しかし、ルーベウスの言葉はこれだけでは終わらなかった。
「我ら魔王軍は秩序と規律を重んじ、魔王様のために人間を滅ぼすことを目的としている」
「ですが!」
必死に言い返そうとするカリーナの声に被せるように、ルーベウスの宣告が重なった。
「戦慄の詠唱姫カリーナ。今この時をもって、お前を魔王軍から除名する!」
「えっ」
「――もはやお前と魔王軍は何の関係もない」
「そ、それって……」
「あとは、好きにするといい」
それは突き放すような言葉だが、カリーナの生き方を遠回しに認めるものでもあった。
「ルーベウス様!!」
声を震わせながらカリーナが叫ぶ。
張りつめていた気持ちが緩んだからか、その場でがくりと膝をついた。
そんなカリーナの様子を、ルーベウスは冷然と見下ろす。
「勘違いをするな。決して、私は配信文化を受け入れた訳ではない。人間に味方するお前のこともだ。次に会った時は――容赦はしない」
「カリーナさん!」
不安げに様子を見守っていたエルミアが、カリーナに飛びつく。
目に涙を浮かべつつも、彼女が配信を続けられることを喜んでいるようだ。
「お帰りなさい、バズリアへ!!」
【コメント】
「ぱちぱちぱちぱち」
「やったー!」
「エルミアちゃんとカリーナちゃん、てぇてぇ」
「バズリア万歳!」
「また三人のライブが見たいね!」
「赤猫ルピア――いや、社長、といったか」
エルミアとカリーナを見守っていた俺に、ルーベウスから声がかかった。
俺は静かに振り返る。
「なんだい。君もバズリアに入りたくなったか?」
「馬鹿を言え」
ルーベウスは眉間に深く皺を刻んでから、小さく息を吐き出した。
「貴様たちは、いつかきっと後悔するぞ。理想を前向きに使える人間など、そう多くはない。大衆は甘い環境に置けば、必ず堕落する」
「まるで見てきたかのような言い方だな」
「そうだ。私たちは身をもって経験した。信じる程に、裏切られる。――かつての魔王様のように」
「……!!」
魔王やルーベウスの過去に、一体何があったのだろうか。
気になるところだが、ルーベウスはそこまで言うと表情を硬くした。
これ以上聞き出すことは、今は難しそうだ。
それならば、と俺はニイッと笑みを見せる。
「だったら俺が魔王にも、もう一度光を見せてやるさ!」
ルーベウスが驚いたように僅かに目を見開いた。
僅かな沈黙を挟んで――、彼は硬い表情のままで言う。
「……できることならば、そう願いたい」
続いて、今度ははっきりとした声で宣言した。
「しかし、そんな日が来ることはない!」
そのまま転移魔法を使い、ルーベウスは水晶の洞窟から姿を消していった。
【コメント】
「おおおっ、ルーベウス帰った!!」
「魔王とか四天王って何があったんだろう」
「とりあえず、危機回避?」
「やったー!!」
「応援するよ、社長」
「ほんとにみんな、お疲れ様!」
俺はコメントを眺めて目を細めると、エルミアとカリーナへ歩み寄った。
「二人とも、ありがとうな。最高のライブだったぜ!」
「はいっ、社長!」
「ふん、……まあまあだったわ」
エルミアは嬉しそうに微笑み、カリーナの表情も照れ隠ししつつも緩んでいる。
「よし、それじゃ最後の挨拶だ。配信が終わったら、皆で祝勝会でもしようぜ!」
「やった! 私、お肉! お肉が良いです!」
「エルミア、気が早いわよ」
俺たちは三人で浮遊魔導カメラの前に並ぶ。
カリーナが真ん中だ。
「今日は配信を見てくれて、ありがとう。カリーナも改めて仲間になって、ますます目が離せないバズリアを、これからも宜しくな!」
エルミアが画面に向かって両手を振り、カリーナもそれを真似るように片手だけこっそり振っている。
俺はビシッとカメラへ指を突き付けた。
「明日も世界をバズらせようぜ!!」
「皆さん、ありがとうございました!」
「また見なさいよ!」
◇ ◇ ◇
「いやー、それにしても最高の熱狂だったな!」
「でも、流石にもう限界ですね。食べて元気にならないと!」
「エルミア、さっきから食べ物のことばっかりじゃない」
配信後、俺たちは満身創痍の身体を引きずりながら水晶の洞窟を後にする。
消耗は激しいものの、気分は晴れやかだった。
「ぷるるん」
そんな俺たちの後を、ひっそりと追いかけてくる影があった。
「ぽよよん」
それは――ライブで一番ノリノリで踊っていた、クリスタルスライムの一体だった。
Fever Gage ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
赤猫ルピアだよ!
ここまで読んでくれてありがとうにゃ!
面白かったらいいねとチャンネル登録を宜しくね!
赤スパ(評価)やコメントもお待ちしているにゃ!
エルミアとカリーナが仲間になって、バズリアも大盛り上がり!
これからも、どんどん世界をバズらせるにゃ!
それにしても付いてきたスライムちゃんは、どうなるのかな?
気になるにゃ~!




