第20話 四天王ルーベウス来襲!見せつけろVtuber魂!
四天王ルーベウスは、冷たい眼差しでカリーナを見下ろした。
「カリーナ、お前には失望した」
「す、すみません……」
「無様な敗北だけにとどまらず、敵に絆されるような言動。魔族として、実に情けない」
「……仰る通りです」
空気がルーベウスの魔力の圧によってビリビリ震えている。
呼応するように洞窟内の魔物たちが次々に姿を現し、服従を示すかのように壁際へと並んだ。
魔王軍幹部であったカリーナですら、彼の圧倒的な力に本能的に怯えているようだった。
「ですが、ルーベウス様!」
それでも必死に、カリーナはルーベウスへ伝える。
「配信は確かにふざけている部分もあります――けれど、素晴らしい力もあります」
「……ほう?」
「時にはその強い想いが、信じられない力を生み出すこともあるのです。この者たちが、私や、ゼラを打ち破ったように!」
ルーベウスの視線が鋭くなる。
「それは、お前達が弱かっただけの話だろう」
「うっ、そ、それは……」
「配信などくだらない遊びだ。遊べば人は堕落し、最後は世界を破壊する。特に――」
真っ直ぐにルーベウスの瞳が俺を捕えた。
「理想を追い求めるなど、もっとも害悪な行為だ」
「……!」
それは明らかに含みのある言葉だった。
そして明らかに、憎悪すら感じさせる眼差しだった。
すぐにルーベウスの視線はカリーナへと戻る。
「遺言はそれだけか」
ルーベウスがカリーナへ向かって静かに手を翳す。
「駄目っ!!」
エルミアがその間に割って入るように飛び込んできた。
先程までルーベウスの気迫に圧倒されて動けなくなっていたようだが、それでもカリーナの危機にじっとしていられなかったらしい。
エルミアは震えながらも、カリーナを庇うようにルーベウスへ対峙する。
「何やってんの、あんた。戻りなさい!」
「嫌です、私はカリーナさんを守ります!」
「馬鹿!」
言い争う二人を見ても、ルーベウスの冷めた態度は変わらない。
「気にすることはない。全員、すぐに死ぬのだから」
【コメント】
「やばいやばい」
「通報したけど間に合う?」
「ルーベウス初めて見たけどヤバすぎ」
「無理でしょ」
「エルミアちゃん!カリーナちゃん!」
「社長の盾でも無理そう」
「言ってる場合じゃない。どうするんだこれ」
俺はぐっと拳に力をこめると、大きく息を吸い込んでから声を張り上げた。
「――なるほど。”負け”を認めるんだな!」
「何?」
ルーベウスが俺の言葉に反応して、視線を向けた。
俺は奴へ向けて不敵に笑う。
「だってそうだろう。お前は配信が怖いから、武力で潰すんだ、ルーベウス!」
挑発的な俺の言葉に、ルーベウスがはっきりと眉を寄せた。
「くだらない。口先だけの時間稼ぎか?」
「まさか。本心さ!」
――いや、正直、内心では滅茶苦茶怖いし綱渡りの気持ちだ。
だけどそれをルーベウスに悟らせてはいけない。
俺は配信で鍛えた演技スキルで、余裕たっぷりに振舞った。
「理想を具現化する力を見もせずに切り捨てるなんて、恐れているとしか思えないな!」
ピリッと周囲の空気が張り詰めた。
次の瞬間、ルーベウスが憤怒の表情で声を荒げる。
「貴様に何が分かる!!」
「わかるさ!」
言い切る俺に、ルーベウスが僅かに息をのんだ。
俺は一歩足を前に踏み出し、高らかに笑う。
「熱狂の力は凄いんだ。魅せてやるよ、お前にも」
それからビシッと、バズリアのVtuber達を指さす。
「エルミアと、カリーナがな!」
「「……!!」」
名指しされたエルミアとカリーナは一瞬驚いた表情を見せたが、すぐに決意の顔つきに変わった。
「ルーベウス様、お願いです。私たちを見てください!」
「きっと、くだらないなんて言わせませんから。ルーベウスさん!!」
言い募る二人へ向けるルーベウスの目は、相変わらず冷たいものだった。
それでも彼は、数歩身を引いた。
「ならば立ち向かってくるが良い。貴様たちの言う、理想と熱狂の力で」
威厳と自信に満ちた声がダンジョンに轟く。
「正面から、全て粉砕してくれよう」
俺は負けないくらいに堂々と宣言する。
「任せておけ、ルーベウス」
それから、エルミアとカリーナへ向き直った。
「さあ、初ライブの始まりだ。行くぜ、バズリア」
「はいっ!」
「分かったわ!」
手を繋いで立ち上がる二人へ、俺が手をかざす。
「スキル『理想投影』!!」
洞窟の水晶が煌めく中、カリーナは白いフリフリワンピースの衣装へと変化した。
エルミアの青いミニスカ騎士服も綺麗な状態へと整えられた。
【コメント】
「きたー!!」
「待ってました!ラブリー!」
「エルミアちゃんとカリーナちゃん頑張れ!」
「戻ってきた!!」
「いっけー!」
「本当にやるのか」
「応援!」
「二人の最高の歌、期待しています」
「コメントも盛り上がっていくぜ!」
俺が場を繋いでいる間に、エルミアとカリーナは水晶の洞窟の広い場所へと移動する。
二人の準備が出来た頃合いを見計らって、俺は音楽魔石を起動させた。
「それでは、エルミアとカリーナのデビュー曲――Twin Blaze ~空と雲のシンフォニア~」
そして、水晶の洞窟内に音楽が溢れ出す。
Fever Gage ★★★★★★★★★☆




