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18/30

第17話 異世界Vtuberは歌います!デビュー曲のお披露目で盛り上がるぜ!

 俺は二日間徹夜して曲を完成させ、二人へと知らせた。


「どうだ、今の俺の最高傑作だ!!」

 

「社長、ふらふらしてますけど、大丈夫ですか!?」

「いいから、あんたは一回寝なさいよ!」


 その後はベッドに押し込まれてしまったが、エルミアとカリーナは曲に満足してくれたらしい。

 配信の合間に二人で歌の練習に励んでくれた。


◇ ◇ ◇

 

<<【バズリア】エルミアとカリーナのデビュー曲お披露目【今日は歌枠!】>>


 この日、俺たちは再び草原フィールドに集結していた。

 今度は配信カメラを繋ぎ、エルミアとカリーナもVtuber姿に変身している。


「社長だ! 今日も世界をバズらせるぜ!」


「あなたの悩みを杖でぽかん! ご覚悟! 物理エルフ、バズリア所属のエルミアです!」


「私の魅力に跪きなさい。カリーナよ」



【コメント】

「期待」

「デビュー曲って何?」

「久しぶりにきた」

「期待。楽しみー!」

「エルミアちゃんとカリーナちゃん、歌うの?」

「どんな歌なんだ。想像つかない」



「さて、タイトル通り、今日はエルミアとカリーナのデビュー曲お披露目だ。曲は、なんと――この俺が作ったんだぜ」


「凄いです、社長!」


「……まあ、不審者が作ったにしては、良い曲だったわ」



【コメント】

「社長の才能マルチ!」

「不審者呼びが定着していて笑う」

「どんな歌だろう」

「歌声楽しみ過ぎる」

「永久保存版だ!!」



「この世界の皆には馴染みがないかもしれないが、折角の配信環境があるんだ。Vtuberは歌って踊るものだからな。俺たちバズリアが、最高の熱狂を約束しよう!」


 画面に向かって説明すると、俺は数個の球体魔導スピーカーをばら撒いた。

 スピーカーはそれぞれ宙に浮かびながら、ぴかぴかと光を放つ。

 これと音楽魔石を接続すれば、記録していた音が流せるという優れものだ。


 ――ちなみにこの装置は、全て魔導システム局のマッスル女将が構築してくれた。

 

 持つべきものは、古参ファンだな!


「さあ、準備は良いか?」


「はいっ」


「良いわよ」


「それでは――『Twin Blaze ~空と雲のシンフォニア~』」



【コメント】

「ぱちぱちぱち」

「ドキドキ」

「配信で歌ってどんな感じだろ」

「不思議な感じだよねー」

「どうなるか楽しみ」



 まずは、エルミアのパートだ。


「澄んだ空気 胸に吸い込んで 一歩ずつでも進みたいの

 震える手でも離さない この想い 守りたいから――♪」



【コメント】

「天使だ」

「音質良いな!?」

「かわいいいいい」

「エルミアちゃん最高」

「歌うまっ、流石エルフ!」

「やばい、鳥肌」



 ばっちり視聴者の心を掴んだところで、次はカリーナの出番だ。


「これまでの迷いは 切り捨てて 新しい世界に飛び込んでいく

 広がる白い衝動 抑えない この想い 伝えたいから――♪」



【コメント】

「ええええええ」

「ええええ」

「うっま!え?びっくり」

「戦慄の詠唱姫→旋律の歌姫」

「マジか、カリーナ、印象変わったわ」

「コメ欄に天才いて草」 



 コメントの流れが一気に早くなっていった。

 ここで畳みかけるように、曲は二人同時パートで盛り上がっていく。


「こわくてもいい 逃げたくない♪」

「 強くなりたい? ならついて来い♪」


「「 ぶつかるほど 輝くんだ 正反対で ちょうどいい♪」」


 エルミアとカリーナが手を繋ぐ。


「「静かな願いと 動き出す鼓動 交わる瞬間 世界が変わる

  譲れない想い 重ねたなら 最強の光になる――♪」」


 ――――――


 ――――


 ――


 二人が歌い終えた時、配信の熱狂は最高潮に達していた。

 エルミアとカリーナが練習を重ねて積み上げた想いが、皆の心を動かしたのだ。



【コメント】

「やばい、泣いてる」

「凄すぎた」

「最高じゃん…」

「曲も良いけど、何より二人の歌が良すぎた」

「一生応援する!エルミアちゃん!カリーナちゃん!」

「最高!!」 



 エルミアとカリーナは歌うことに集中していた為、コメントを読んだのは一曲終えた後だった。

 信じられない数の絶賛の嵐に、彼女たちは戸惑いつつも、自然と表情が綻んでいく。


「わ、わわっ。皆さん、聞いてくださり、ありがとうございました!」


「……ふん。最高で当然よ。この私が、歌ったんだから……」


 エルミアが何度も深々と配信画面へ頭を下げる隣で、カリーナが顔を隠しながら俯いている。



【コメント】

「エルミアちゃん、また歌ってねー!」

「社長、良い仕事したな」

「こちらこそ、ありがとー」

「あれ、カリーナ泣いてる?」

「泣いちゃった?」

「可愛いじゃん」



「ば、馬鹿言わないでよ。泣いてないわよっ! う、うう……」


 叫んだカリーナは、しっかり涙声だった。

 でも、どこか晴れ晴れとした雰囲気も纏っている。


「皆さん、カリーナさんは、凄く練習して今日に臨んだんですよ。勿論、私も」


 エルミアがカリーナをぎゅっと抱きしめる。

 コメント欄には「てぇてぇ」の文字が並んだ。


 俺はそんな二人に目を細めてから、配信画面へ声高らかに呼びかける。


「どうだ、バズメイトの皆。最高の熱狂だっただろ?」



【コメント】

「おー!」

「バズメイトって何だよ、笑」

「最高だ!!」

「ありがとう!」

「熱狂だ―!!」

「そういえば、社長は歌わないの?」



「ん? 俺か? ……まあ、声だけルピアで良いなら歌っても良いぜ?」



【コメント】

「ざわざわ」

「誰だ余計なこと言ったのは」

「期待」

「早まるな、社長」

「いや待て、今はルピアじゃなくて社長だぞ??」



 俺はコメントの期待に応えて、ルピアの声でアカペラ熱唱し始めた。


「さあさ集まれ画面の向こう 寝不足上等ついてきな!

 しょげてる顔は禁止だよ 全部まとめて撃ち抜くにゃ!


 ウインク一発 バフ発動! テンション急上昇↑↑

 キミのハートに一直線 逃げても無駄だよロックオン――♪」


 勿論、踊りもキレキレで完璧に披露している。

 ただし見た目は可憐な猫耳少女ではなく――180cmの大柄赤髪ハーフマスク男だ。



【コメント】

「ぎゃあああああ」

「脳がバグるううううう」

「うまあああい、なんかいやああああ」

「いや、案外いけるな」

「誰か止めてええええ」

「おい、なんか目覚めた奴いるぞ」



「ちょっ、ちょっと、この社長どうしましょう!?」


 あまりにカオスな状況に、エルミアがおろりと狼狽える。

 

「はあ、全く……!」


 収拾がつかなくなった事態に、カリーナが復活した。

 彼女はぐっと涙を拭うと顔をあげて、俺の頭を思い切り叩く。


「この不審者、エルミアも怯えてるでしょ。いい加減にしなさいっ!」


「いでっ!!」


 殴られた衝撃で、俺のハーフマスクが転がり落ちた。

 その瞬間、配信画面が美しいお花畑の背景へと切り替わる。


 色とりどりの花を使った花文字で、画面にはこう描かれた。



~提供~

この世界は、女神さまの力でお送りしています。

皆さん、感謝してください。



 そしてその画面が5分間ほど続いてから、ぱっと告知が表示される。


『緊急予告! エルミア&カリーナ、ダンジョンでの公開初ライブ!』 


Fever Gage ★★★★★★☆☆☆☆

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