表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
16/30

第15話 氷のダンジョンで大暴れ!名コンビ、エルミア&カリーナ誕生!

<<【配信2枠目】エルミア&カリーナで氷ダンジョン攻略!【バズリア】>>


 俺とエルミアは新加入したカリーナと共に、氷のダンジョン攻略に挑んでいた。


「あっ、カリーナさん、後ろ!!」


「今度は何なのよ、もう!」


 ダンジョン入り口の氷の床で転倒したカリーナに、フロントウルフの群れが襲い掛かる。


「ふん。こんな魔物、私の手にかかれば――」


 落ち着き払って詠唱しようとしたカリーナが、硬直した。


「待って。でも、魔法を使えば、またあのラブリーエフェクトが……!?」



【コメント】

「ちょ、躊躇してる場合じゃないぞ」

「可愛い魔法みせてー!」

「危ないっ」

「トラウマになっていて草」

「詠唱して!!」



「カリーナさんは私が守ります。ご覚悟!!」


 詠唱を躊躇うカリーナの前にエルミアが飛び込んでくる。

 彼女は華麗な杖捌きで、獰猛なフロストウルフを殴り飛ばした。


「ぽかん!!」


 ――ドゴオオオオォォ!!


 当人の口から発せられる可愛い擬音とは比較にならない、えげつない轟音が響く。

 先頭の仲間が一撃で倒されたことで、残りのフロストウルフ達は怯えた子犬のように逃げ去っていった。 



【コメント】

「やっぱりエルミアちゃん最高!」

「ご覚悟」

「ご覚悟きたー!」

「フロストウルフが雑魚扱い、流石です」

「ご覚悟!!」



「やるじゃない、貴女」


 起き上がったカリーナが、エルミアの方へ向く。

 エルミアはにっこりと笑顔を浮かべて、胸を張った。


「いえ、仲間として当然のことです!」


「そう。……あ、ありがと」



【コメント】

「カリーナちゃんの貴重なデレシーン」

「てぇてぇ」

「エルミアちゃんの笑顔、今日も最高!」

「仲良し!」

「二人とも可愛いー!」



 俺はコメント欄の盛り上がりに、ニヤリと笑った。

 

 Vtuberの醍醐味と言えばコラボ!

 エルミアとカリーナは、想像以上に相性が良さそうだ。


 俺が目指していた箱は、お互いが魅力を引き立て合うメンバーの集う場所だ。

 その夢が大きく一歩前進したことに、俺は喜びを抑えられなかった。


「くくくくっ、やはり配信は最高だ! この調子でどんどん世界をバズらせるぜ。その為に、エルミアとカリーナに必要なものは」


 盛り上がった俺は、無意識に壁へ独り言を喋っていたらしい。

 その間に周囲の魔物を殲滅したエルミアとカリーナが、奥へ続く通路の前から呼びかけてくる。


「社長、先に行きますよー!」

「何をぶつぶつ言っているのよ、不審者!!」


 俺はハッと我に帰ると、颯爽と二人の元へ駆けていく。


「はは、すまない! 次の活動の素晴らしい構想が浮かんでな――」


「あ、馬鹿、走るな!!」

「社長、駄目です、そこは!!」


「え?」



【コメント】

「あっ」

「あ」

「社長!!」

「転んだ」

「何やってんだ不審者ー!!」



「止まらない、止まらない、避けてくれえええええっ!」


「む、無理ですよぉ!!」

「来るな来るな来るな!?」


 ――ツルーン、と見事に滑った俺は、そのまま勢いよくエルミアとカリーナへ突っ込む。


「うわあああっ!?」

「きゃああああ!?」

「いやああああ!?」


 団子状態となった三人は、トップスピードのまま凍った通路を爆走した。

 行き着く先は――崖だ!


「いやあああ、落ちるううううっ!」


 エルミアの絶叫が響いた、次の瞬間だった。


「くっ……やむを得ない、詠鎖・拘束節リリック・チェイン!」


 カリーナの詠唱と共に、キュートなハートマークの鎖が連なって俺たちを捕らえる。

 鎖の反対側は崖の上の壁に、真っ赤なリボンで繋ぎ止められていた。



【コメント】

「うおおおおお」

「流石!詠唱姫!!」

「ラブリー魔法!」

「助かったぁ」

「無事でよかったよー」



「ありがとう。助かったぜ、カリーナ!」


「ふんっ。私が助かるためのついでよ」


 俺たちは鎖を伝って、何とか崖の上に戻ってこれた。

 お礼を言われて照れたようにそっぽを向いたカリーナへ、エルミアが詰め寄る。


「凄いです、カリーナさん!!」


「そ、そんな、大げさね」


「いえ、本当に素晴らしいです。私、魔法は使えませんが、魔法の勉強は一杯したので貴女の凄さが分かるんです……!」


 きらきらとした憧れの眼差しをエルミアに向けられて、カリーナも満更でもなさそうだ。


「ふふん。まあ、そうね。私は、仮にも魔王軍幹部の実力者だし?」


「魔法は沢山練習したんですか?」


「そりゃあね。でも、貴女の体術だってなかなかのものよ」


「本当ですか? でも、この前は、カリーナさんに全然敵いませんでした」


「実戦の経験が足りないだけよ。すぐにもっと強くなるわ」


「……!!」


 カリーナの言葉に、エルミアの目がやる気に燃える。


「ありがとうございます。私、頑張ります!!」


「ええ。そして、私が出来るだけ魔法を使わなくても良いように、敵を倒して頂戴」



【コメント】

「良い関係」

「なんだろう、姉妹?師弟?」

「二人の会話が尊い」

「なんか俺も頑張ろうって思った」

「エルミアちゃん、頑張れ!!」



 こうして更に心の距離が縮まったエルミアとカリーナは、協力してダンジョンを攻略していった。

 そして俺たちはついに、ボスであるフロストハウンドのエリアまで到着した。


 ――したのだが。


「こいつ、速いぞ!?」


「追いかけようにも、氷ブレスで足元が凍らされて追いつけないです!」


 フロストハウンドは、氷の魔力を纏った巨大な狼のモンスターだ。

 自身は俊敏な機動力を備えているのに、こちらの移動は妨害してくる厄介さがある。


「カリーナ、もう一回、ラブリーチェインを頼む」


「リリック・チェインよ!! そう何回も、ラブリー魔法を使いたくないわ!」


「大丈夫です、カリーナさん。私が何とかします。はああああっ!!」


 エルミアが杖を上手に使って氷の床を駆け抜け、フロストハウンドの頭上へ跳び上がった。

 そのまま拳で殴りかかろうとしたが、アイスリザードの群れが飛び出してきて邪魔をする。


 ――ドガドガッ!!


 小柄なアイスリザードは簡単に吹き飛ばされていくが、数が多く半ば無限にわいてくる。


「ちょっと、トカゲさん、どいてください!!」


 その処理にエルミアが手間取っている間に、フロストハウンドは体制を整えてしまった。

 隙が出来た彼女へ、鋭い牙の攻撃が迫る。


「エルミア、危ない。こっちよ!」


 間一髪のところで、カリーナがエルミアの手を引いて攻撃を回避した。

 


【コメント】

「あぶねえええ」

「大丈夫?エルミアちゃん!!」

「氷トカゲの数多過ぎるだろ」

「やっぱり社長が盾になるか?」

「カリーナないす!」

「フロストハウンド自体も厄介そうだよなぁ」



 俺たちは一度、フロストハウンドから距離をとって作戦会議を始める。

 そんな中、コメントをじっと眺めていたカリーナが、何かを思いついたらしい。


「良い攻略法があるわ」


「本当ですか、流石カリーナさん!」


「魔法を使うのよ」


「お、ついに詠唱を見せてくれるのか」


「そうね。ただし、対象はフロストハウンドじゃないわ」


 カリーナはふりふりの衣装とツインテールを愛らしく揺らしながら、にこりと笑みを浮かべて俺を見た。


「……えっ?」


◇ ◇ ◇


「さあ、エルミア! 容赦無用、思い切りやりなさい!!」


「あ、あの、本当に良いんですか、社長!?」


「構わない。同接数の為だ。ひと思いにやってくれ!」


 少しの配信中断の後、画面には決意に満ちた表情の俺と、困惑するエルミアが映し出されていた。



【コメント】

「配信再開?」

「どういう状況だ、これ」

「エルミアちゃん可愛い」

「どうやって攻略するのか楽しみ」

「社長が何かするの?」



 予想で盛り上がるコメント欄に応えるように、エルミアが思い切り助走をつけて駆ける。


「では、いきます! 社長、――ご覚悟!!」


 そして全力で、氷の床の上にいる俺をフロストハウンドに向かって、杖で撃ち出した。


 ――ドオオオオオォォン!!


「ぐはぁっ!」


「大丈夫、私が魔法で防御バフをかけているから、死なないわ!」


 カリーナの言葉通り、俺の周囲にはよく見ると、キラキラのハートエフェクトが舞っている。

 防御上昇魔法をかけて貰った結果である。

 しかし、確かに死にはしないが痛い。滅茶苦茶痛い!



【コメント】

「草」

「ひどい作戦過ぎて草」

「おめでとう!社長は盾から弾丸に進化した!」

「【悲報】痛そう」

「エルミアちゃん強い!」



「まだまだ、いくわよ!」


 高速でフロストハウンドと無限湧きするアイスリザードへ突撃していく俺へ、カリーナが向き直る。


多層防壁マルチ・シールド


 俺の周囲を舞うハートのサイズと煌めきが増し、お星さまも輝きだした。


詠唱装甲アリア・アーマー


 お星さまの上に、キュートな鎧姿のくまやうさぎが出現し、むん、と剣を構えた。


炎句付与フレイム・リリック


 さらに周囲に七色の炎が出現し、メルヘンな曲まで流れ始める。

 こうして俺は、ダンジョンボスへ飛んでいくラブリー兵器へと変貌した。



【コメント】

「社長、可愛いいいい」

「不審者!!」

「フロストハウンドが可哀想で草」

「なんか夢に出てきそう」

「爆笑した」

「アイスリザードも困惑してるじゃん…」

「カリーナからの絶妙な恨みが感じられて笑う」



「とどめよ!! 加速句ヘイスト加速句ヘイスト加速句ヘイスト


「ぎゃああああああ!?」


 最後の連続バフで超高速になった俺は、無限湧きアイスリザードを全て弾き飛ばし、フロストハウンドへダイレクトアタックした。


 ――ドガガガガガ、ドッカーン!!!!


 フロストハウンドは一撃で倒れた。

 そして俺はそのまま、氷ダンジョンの壁をも突き抜け、吹っ飛んでいった。


「社長おおおおおっ!!」


 エルミアの叫び声が、遠くから聞こえる。


「ふっ……今日の配信はここまでだ。みんな、次回も、世界をバ――」


 後で配信を見返したが、ここで俺の声は途切れ、完全に画面アウトしていた。


「ええ、えええ!? ええと、きょ、今日はこれでおしまいです!!」


「あんた達、次回も見なさいよ!」


 俺は配信を終えた後、エルミアとカリーナに無事救出された。 


Fever Gage ★★★★★☆☆☆☆☆

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ