第11話 驚愕の100万バズ!世界に轟くバズリアの名!
魔王軍幹部の炎竜将ゼラを、配信中に完全討伐した俺たち。
コメントは熱狂で湧き上がる。
【コメント】
「すげえええええ」
「ルピたんファンになりました!!」
「おめでとー!」
「盛り上がりヤバイ」
「最高の配信じゃん!登録したぜルピたん」
「ルピアちゃん大好き!!」
「みんな、本当に応援ありがとうにゃ! ルピたんと皆は、ルピメイト、ずっ友だよ!!」
「しゃ、社長! お姿が!!」
ルピアの愛らしい声でポージングする俺の姿は、既にハーフマスクの大男へと戻っていた。
フィーバータイムが切れたらしい。
「わお、やっちゃったにゃ! みんな、次のフィーバータイムをお楽しみににゃー!」
【コメント】
「ずこー」
「駄目だ、脳が理解を拒否するうう」
「可愛いルピたんを返して、社長!!」
「俺はエルミアちゃんを信じて推す!」
「ルピたんまたねー」
「フィーバータイム楽しみ!」
配信で盛り上がっていると、気絶していたゼラが目を覚ました。
「くっ……まさか、この我が……負けるとは……」
俺たちは警戒態勢を取ろうとしたが、既にゼラは満身創痍で戦闘不能の様子だった。
だが、彼は納得いかないように顔を歪ませ、最後の力を振り絞って言葉を紡ぐ。
「何故だ。何故、お前達は強い。何故、そんなにも楽しそうに、戦うのだ……」
俺はゼラに向かって、からりと笑みを浮かべた。
「人を熱狂させるのが、好きだからさ!」
エルミアの肩を組み、カメラへ向かってガッツポーズをしてから、俺はゼラへ顔を向ける。
「そうして爆発した思いの力は、世界を動かせるほど強いんだ!」
「……」
ゼラが憮然とした表情で、配信画面を見つめる。
【コメント】
「良いこと言うぜ、社長!」
「社長、その場所俺と変わって。エルミアたん!」
「ゼラもまあ強かったけど、ルピアが無法過ぎた」
「ルピたん最強!」
「これからも応援するぜ!!」
「……そうか」
ゼラは流れていくコメントを見つめて苦笑した。
それは半分納得しつつ、半分諦めたような、複雑な表情だった。
「だが、魔族にとっては強さが全て。秩序が全て。それが魔王様の御意志だ」
そして身体を起こし、真っ直ぐに俺を見つめた。
「敗北した我に、もはや存在価値はない。殺せ」
隣でエルミアが息をのむのを感じた。
エルフパーティ達も、緊張したように俺たちを見守っている。
俺はゆっくりとゼラへ歩み寄り、自分の懐へ手を入れた。
「断る! そんな配信は、バズらないからな!!」
俺が取り出したのは、真新しい名刺だ。
Vtuber事務所バズリア社長であることが明記され、チャンネルのコードも記載してある。
「そんなことより、俺の配信を見てくれよ。チャンネル登録も忘れずにな!!」
唖然とするゼラへ名刺を押し付けて、俺はカメラへ向き直る。
「今日は配信を見てくれて、ありがとう。次回も宜しくな!」
俺はエルミアとエルフパーティを画角に収めて、決めポーズをとった。
「明日も世界をバズらせようぜ!!」
「皆さん、ありがとうございました!」
◇ ◇ ◇
この日の100万同接を記録した配信は、伝説級の話題になった。
バズリアの知名度と人気は一気に駆けあがっていく。
通りで声をかけて貰う機会も増えたし、広場では子供たちがフィーバータイムごっこをしていた。
実に良い光景だ。
【考察】バズリア、普通におかしくないか?
1:名無しさん@視聴中
最近見始めたんだけどあの事務所って何なん?
2:名無しさん@視聴中
どこから突っ込めばいい?
3:名無しさん@視聴中
まずエルミアな
4:名無しさん@視聴中
素手でドラゴン倒したやつか
5:名無しさん@視聴中
あれまだ信じてない
6:名無しさん@視聴中
流れが綺麗すぎるんだよな
助けに来る→善人→戦う→武器壊れる→素手で撃破
7:名無しさん@視聴中
しかも笑ってから殴るの怖すぎる
8:名無しさん@視聴中
あそこで人気爆発したよな
9:名無しさん@視聴中
物理エルフとかいう新ジャンル
10:名無しさん@視聴中
あれだけでも意味わからんのに次がやばい
11:名無しさん@視聴中
フィーバータイムな
12:名無しさん@視聴中
社長が突然女になるやつ
13:名無しさん@視聴中
ルピたん可愛いから困る
14:名無しさん@視聴中
いや可愛いとかじゃなくて現象がおかしい
15:名無しさん@視聴中
コメントが攻撃になるの意味不明すぎる
16:名無しさん@視聴中
ルーピルピルピで爆撃は草
17:名無しさん@視聴中
しかも効いてるのが一番意味わからん
18:名無しさん@視聴中
敵が真面目にキレてるのもじわる
19:名無しさん@視聴中
「そんな攻撃があるか!」←正論
20:名無しさん@視聴中
からのルピア砲
21:名無しさん@視聴中
あれ演出も含めて完成度高すぎる
22:名無しさん@視聴中
弾幕がそのまま攻撃になるの天才だと思った
23:名無しさん@視聴中
視聴者参加型ってレベルじゃねえ
24:名無しさん@視聴中
あそこ同接やばかったらしいな
25:名無しさん@視聴中
コメント速度えぐかった
26:名無しさん@視聴中
で、結局ボス倒すのも意味わからん
27:名無しさん@視聴中
エルミア→物理で殴る
ルピア→配信で殴る
28:名無しさん@視聴中
戦闘スタイルどうなってんだよ
29:名無しさん@視聴中
あの事務所、常識が違う
30:名無しさん@視聴中
でもちゃんと熱いのがズルい
31:名無しさん@視聴中
わかる
32:名無しさん@視聴中
ネタっぽいのにちゃんと王道やってくる
33:名無しさん@視聴中
結論:バズる理由がある
34:名無しさん@視聴中
見てないやつ損してる
「くくくっ、魔導掲示板も仕上がってきたな。ここで切り抜き動画を投下だ!」
「社長、さっきから何をしているんですか?」
「ああ。火に油を注いでいるのさ!」
「言い方! 言い方、可笑しいですって!」
「いや、そうでもないさ。良いか、エルミア。こういう配信は、盛り上げるだけ盛り上げた者勝ちさ。タイミングを見計らって、打つべし、打つべし、打つべし!」
「社長が楽しそうで良かったです。それにしても、バズリアの切り抜き動画も凄い数ですね」
「この世界では特に転載に制限はないらしいからな。有志で広げてくれるんだ、ありがたいことだよ」
「ファンの方に感謝ですね! どれどれ……」
<<【切抜】素手エルフ爆誕>>
<<【切抜】エルミア、ドラゴンを殴り倒す瞬間>>
<<【切抜】フィーバータイム、ルピたん!!100万バズ!>>
<<【切抜】バズリア社長と素手エルフの軌跡>>
<<【切抜】可愛すぎるエルミア集【最強素手エルフ】>>
「私の呼び名が、いつの間にか素手エルフになってる!?」
「物理エルフから進化したみたいだな」
「そ、そんな。まだ杖は使っていく心算なんですが!」
「ははは。良いんじゃないか? まだ変身を残しているみたいで」
「それじゃ、私がラスボスみたいじゃないですかぁ!」
こうして宿屋で寛いでいたところに扉のノック音が響いた。
俺たちが不思議そうに顔をあげると、爽やかな男性の声がする。
「こんにちは、魔導システム局のものです」
「魔導システム局?」
「はい。こちら、バズリアの社長さんとエルミアさんの宿泊先でしょうか? 今日はお知らせしたいことがあって参上しました」
「はいはい。今開けますよ」
俺が扉を開けると、そこには神官服を基調とした魔導システム局の制服を纏った――ムキムキマッチョのツインテール男性の姿があった。
「るーぴたーん!!!!」
「ぐええっ」
そのあまりの情報力の多さに硬直している隙に、男は野太い歓声をあげながら俺を抱きしめた。
あ、だめ、強い強い、背骨折れそう……。
「社長ぉ!?」
エルミアが悲鳴をあげながら駆け寄ってくるが、どうすればいいのかわからずおろおろしている。
「ま、まて、なんだ、敵襲? 敵襲、なのか? なら、エルミア……配信、を……がくり」
「社長ー!!!!」
「敵襲だなんて、そんなっ。ルピたん、あたしよ、あたし! マッスル女将よ!」
二度目の走馬灯がちらつき、遠のき始めた俺の意識を、マッスル女将の名が呼び戻した。
「はっ!! マッスル女将!? 赤猫ルピアの最古参ファンじゃないかにゃあ!」
「そうなの、そうなのー!」
「え、まって、なんでここに居るにゃ? あ、あと、とにかく一回離して……」
「やだ、あたしったら嬉しすぎて、つい! うふふ!」
漸く巨漢のおかま――マッスル女将に解放されて、俺は膝をついた。
「ぜー、はー、死ぬかと思ったぁ。それで、なんでマッスル女将がここにいるんだ!?」
「それは、私も死んだからよ。ルピたんの引退配信を見ている最中にね!」
「ええっ、なんで!」
「ルピたんが事務所設立するって聞いて――嬉しすぎてショック死しちゃった!」
「そんな馬鹿な!?」
「それで昇天しかけたところを、同担のよしみでラブルピ女神たんに拾い上げて貰ったの」
「本当にやりたい放題だな、あの女神!」
「ルピたんと同じ世界に生きられるのよ。ハッピーハッピー!」
「そ、それでいいのか、君は?」
「良いの。推しこそが、ルピたんこそが、あたしの人生! こっちでも一生推すわ!」
「あの、社長、その、この方は……?」
ずっと会話を見守っていたエルミアが、躊躇いがちに声をかけてくる。
その瞬間、マッスル女将の目がギラリと光った。
「きゃあああああ! エルミアたん! エルミアたんだわああああ!」
「うにゃあああ!?」
「まて、マッスル女将! エルミアに抱き着くのは不味い! 事案になる!!」
こうして推しを目の前にして暴走状態に入ったマッスル女将をなだめるのに、10分を要した。
最後は、ルピアの『にゃにゃっと参上、ルピアタイム!』を歌ったら大人しくなってくれた。
猛獣使いになった気分だ……。
「……ええと、結局、魔導システム局から「配信登録ランク世界10位」になったお知らせに来てくれた、と言うことで良いのか?」
「そうなの! 本当にお仕事だったんだけど、ちょっと公私混同しちゃった。えへっ」
「ふ、ふええ……」
「しかし、魔導システム局で働いているとは」
「ええ。ここで働けば、ルピたんのお役にきっと立てるんじゃないかと思って」
「それはありがたいな。ここの配信システムは、元居た世界とは随分違うからな。頼りにしてるぜ」
「任せて! 魔導システム局にも、バズリアを布教しちゃうんだから」
「きゃー、ありがとうにゃ。ルピメイト」
「あーん、ファンサ最高!!」
「凄い世界です。私も勉強しなくちゃ……」
こうして俺たちに心強い仲間が出来た。
ますます、配信も盛り上がっていきそうだ!
◇ ◇ ◇
一方、この切り抜き配信を見ているのは、どうやら人間だけではなかったようだ。
「ふん。ゼラがくだらん敗北を喫したようだな」
「四天王ルーベウス様、ご安心ください。私はあのような浮ついた者どもには決して負けません」
「そうか。では、お前がこのバズリアとやらを始末して来い」
「承知しました。戦慄の詠唱姫カリーナ、必ずや勝利をお届けいたしますわ!」
Fever Gage ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
赤猫ルピアだよ!
ここまで読んでくれてありがとうにゃ!
面白かったらいいねとチャンネル登録を宜しくね!
赤スパ(評価)やコメントもお待ちしているにゃ!
目指すは世界一の箱!
どんな試練も再生数に変えて、頑張るにゃー!
応援よろしくね。
世界をバズらせるにゃ!




