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兄弟様は主人公らしい  作者: トミネ
本章 兄弟様は主人公
35/46

 この世界の四つの国は、一応四季っぽいものがある。春夏秋冬とは言わないし、それらを明確に表す言葉もない。なので暮らしている人達は、暑い季節、寒い季節、暑くなるまでの季節、寒くなるまでの季節って言う。そして暑くなるまでの季節はスペルリングが、暑い季節はサーマルクが、寒くなるまでの季節はオルスタムが、寒い季節はウィンファルターが長いらしく、その国によって季節の長さがまちまちだ。ゲーム都合で国の名前が春夏秋冬の英語読みを変えたやつだって何となく気付いてたけど、季節もそんな感じだった。

 で、だ。時間も時計があって24時間。カレンダーもあるし一年って言う概念もあるけど、365日ではない。一ヶ月全部28日で、1日から始まって7日の一週間、計四週間で終わる。曜日も無いので休みや盆暮れ正月なんてのも無い。精々一年の終わりと始まりや、国王の誕生日とかを祝うだけ。どこのお店も何曜日休みーなんて言わず、週の真ん中定期休み、週の頭休み、今月は休み無し、とかそんな適当な感じだ。シフト制とかもある。奴隷は例外だけどね。

 何でこんな話をしたかって言うとだ。ティナとアーク、私の三人は、ティナの休息について来ている。宿屋は年がら年中やっている。しかし、休まずに働いてたら身体を壊す。と、言うわけで、宿屋をやり始めてから初めて、一番お客様が少ない時期を勝手に見極めて、二週間お休みを取った。それが今、と言うわけで、我々は現在、ティナが普段出来ない、やりたい事をやるのに付き合っている。アークは護衛、私は賑やかし。


「アーク、これ何?」

「うん?コレは…キノコだな」

「嘘よ、こんなぶよぶよしたキノコ見たこと無いわ!」

「いや、どう見たってキノコだろ。なぁ、イナ?」

「…そこで私に振るんだ?」

「赤いけれど、食べられるのかしら?」

「止めとけ!」


 先ず、キャンプ。私がいた世界の話になって、森や川、海なんかにテントを張ったりして泊まる、所謂この世界の野宿をすると言い出した。令嬢だったティナは、今まで色んな経験をしてきたし、それを全て実力として身につけた凄い人だ。私が言うと安っぽく聞こえるのは、それをちゃんとした言葉で表せないせい。とにかく、一人で基本何でもやってのける。今回だって、スカートをズボンに履き替えて、リュック背負って、長い手入れの行き届いた綺麗な髪を縛って気合十分だ。


「それにしても、てんと、なんて物、売ってなかったわね」

「他国でも見たことがないから、売ってないだろうな。でも、作って売ったら売れそうな代物だな…」

「雨を弾く軽い素材の布なんて有るかしら?」

「そこだな。紐や金具にしても、基本的には水に強いやつが必要なんだろう?んー…今度サーマルクで見てくるかな」

「何でサーマルク?商業なら此処じゃないの?」

「前に話したでしょ、サーマルクは工業国家。鉱山も資源も豊富な国なの」

「あ、そうか。原料なら揃いそうってことね」

「そう、工業関係の生産はサーマルクが群を抜く。ウィンファルターも多少は出るが、全く足りずにサーマルクから買っているからな」

「お金、宝石といった類、鉱石やエネルギーの元になる全てがサーマルク産と言っても過言ではないから、もし戦争にでもなれば真っ先に狙われる国でもあるわね。でも、供給がストップされて困るのはどの国も一緒だから、資源物資不足の回避と他国からの圧力回避出来る国じゃなきゃ無理でしょうけれど」

「ふー…ん」


 決して関心が無いわけじゃないからね、ナードの事を考えただけ。彼は国に帰った。つまり、王として今、我々が話題にしている国を率いている。ティナやアークが話す内容は、起きない話ではない。この世界に住む彼女達が言うのだし、過去大きな世界戦争もあったと、サブちゃんから聞いた事もある。という事は、戦争になれば、彼は戦わなければならない。そして、殺すか殺されるか。王だから。

 …私の周りに居てくれた人達が、もし死ななければならなくなったのなら、せめて望む死に方であって欲しい。生まれた定めは変えられない、ならば死は自由で、ってね。


「…というわけで、戻ったら少しサーマルクに行ってくる」

「商売する気ね、良いわ。フィルに会ったらよろしく言っておいて」

「あぁ、会えたらな。と言うか、久しぶりに冒険者として動けるな…」

「…そうね、貴方冒険者だったわね」


 一人しんみりしていたら、話が続いていたようで、アークがサーマルクに行く事でまとまっているしね。いいんだけど、そんなに売れるんだろうか、テント。キャンピングカーとか言わなくて良かったかもしれない。てか、そうだね、冒険者だったね君。私も忘れてた、ゴメン。でもそのアークが言うなら、売れるのかもね、いいお金儲けが出来たらいいね。…あれ、冒険者ってそういう職業だっけ?




 〇




 さて、メルーソルが無事に王様になった、という事は、だ。ゲームだとその内イベントが起こる。四国間の会議だ。これは国から出る事がほぼ無い王が集う、スペシャルレア並みのイベントとなる、筈。何処の国でやるんだったかとか、詳細は全く覚えてないというか知らないレベルだから、私は誰の何の役にも立たないんだけども。と言うか、王が国から出ない事自体、ここで生活してて知ったわけだし、ゲームでそこに触れて、田中さんが知ってるかどうかも分からないんだけど、もしそこが語られていて、神の使い云々と関係するなら、流石神の使いって言うチートになって盛り上がる部分だろうね、多分。各国の王を集わせた!って。…と、話を戻して何が言いたいのかって事だけど。


「…君たち、何してるの?」


 そりゃこっちのセリフだよ。キャンプ2日目の昼、ランチを取った後にまったりティータイムとしゃれ込んでいた私たち3人の前に、突然現れた一人の男性の第一声がコレである。その男性が、町の人とか、それこそ冒険者だったら何も言わない。何で、どうしてアンタが此処にいるの!?


「…それはこっちのセリフだわ」


 よく言った、ティナ!私が心の中でしたツッコミを見事代弁してくださった!


「ううんっ!ルイザゼラ宰相閣下、ここは森の中ですよ?迷ったのですか?」


 ティナのツッコミをかき消すように、嘘の咳払いをして誤魔化したアーク。流石、咄嗟のフォローに入るのが早い。ティナは元令嬢であれ、今はただの宿屋店主、宰相とじゃ身分が違いすぎる。普段の関係で、私もマヒしているところがあるけど、そう、この世界は身分至上主義の男性至上主義だ。此処に居ることが謎な状態であれ何であれ、彼は、ルイザゼラはとにかく宰相様だ。


「見るに、護衛が…居ないようですが…?」

「あー…うん、お忍びだからね。それよりも、君たちはこんなところでティータイムなんてして、どうしたの?」


 いやいや、お忍びだからね、じゃないでしょ。しかも私たちの事よりそっちの方がおかしいからね、状況的に。


「我々は野宿をしております。宿屋が休みを頂いておりまして、簡単な冒険者の真似事と言いますか…数日外で生活をして英気を養っていると言いますか…」

「成る程、それで君が…アークエストだったかな?」

「はい」

「面白そうだね、俺も混ぜてくれない?」

「は…?」


 ……何だって?今、コイツなんて言った?コイツとか言っちゃうの許してくれるかな、心の中だけだから!

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