表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
兄弟様は主人公らしい  作者: トミネ
本章 兄弟様は主人公
21/46

「あら、二人とも帰ってたの?」


 私たちは取り敢えず、お互いに落ち着いてから部屋を出た。そして下に降りたところでティナとアーク、そして寛いでいるお客様数名と出くわした。帰ってきた時此処には誰も居なかったから、私たちが落ち着くまでの間に集まったのだろう。私たちに気付いたティナが、こちらに手を振った。


「うん、少し前に。ティナは今?」

「ええ。ところでどうだったの?」

「あー、うん。私のは何の障害もなく取れちゃった。でも…」

「やっぱり、無理だったか」

「うん、もう一点張りだったね。年齢やら性別やらを聞いて一つでも当てはまって、当人がその場に居なければもう駄目って感じ。娘だって言っても証明もでにないからね…でも」

「…でも?」

「どれくらい掛かるか分からないけど、この国は、多分…」


 荒れるよ。ティナとアークにしか聞こえないように、ボリュームを極力小さくして言ってみた。…何か、私カッコよくない?中二病的なカッコよさじゃない?ふふふ、ふはははは…はぁあ、駄目だ、私には成りきれる自信がないわ、うん。


「それに乗じて、って方法が取れるんじゃないかなって、ナードと話してたんだ」


 自分の心を落ち着かせて、改めて二人に向き直る。ギョッとした表情を浮かべる二人に、そりゃそうだよなぁなんて呑気に構えながら。


「…どうして、急にそんな事…」

「此処じゃあんまり…」

「成る程、分かったわ。私の方も、報告があるの」

「?」

「この街に、王族が視察に来るらしいわ」

「!」


 ナードも反応を示した。あぁ、本格的に動き出したらしい。田中さん、出来るなら貴女が側にいて欲しかったよ。このイベントはゲーム中には無かった筈だけど、貴女ならどんな判断を下すのか、聞かせて欲しかったな。


「…誰が来るの?」

「それは分からない。でも、話が通じる相手であればいいと思っていたところよ」

「…成る程。それで、いつなの?」

「さあ?でも近い内よ」

「出来ればその間、お前には違うところにいて欲しいなって話してたんだ。取れたなら、可能そうだな」


 …私って悪役キャラなんじゃなかろうか、そんな考えがよぎった。だってどちらにしても都合がいいじゃないか。何というタイミングなんだろう。ティナは元令嬢で、王家の、第二王子の王妃という婚約者候補だった。この人の元へ王族が寄るのは間違い無いのだろう。其処には話しをされたかもしれない私と、神の使いの父親がいる。此処にいたら挨拶をしなければいけないのは当たり前だが、おそらくそれは私だけだ。あの人の存在は知られていないはずだから。…と言うか、そんな事はどうだっていい。問題はそこではない。視察に王族が来る。大事なのはその事実だ。誰が来るのか分からないが、一カ所に居られるよりも明らかに手薄になるじゃないか。警備が。つまり、狙いどころはそこだって事。…ね、悪役になれるでしょ、私。


「…ティナ、アーク」

「うん?」

「第二王子のご生誕祭って確か一ヶ月位先じゃなかったっけ」

「?ええ、そうよ」

「これから街は慌ただしくなるよね」

「…そうだな」

「ふーむ…」


 そう、王族の誕生日ってなれば、国を挙げてのお祭になる筈だ。そんなイベント、私が見ていたゲームには無かった。私が覚えている内容は本当に微々たるものだけれども、それでも、メルーソル王子のプロフィールは多少思い出せる。王子が王であった事、それはまぎれもない事実だ。


「街に視察に来るのをいつか分からないようにしているのは、刺客とかに狙わせない為かな、やっぱり」

「そうね、場所や時間を公にしていないのもそう」

「それで会いたい人や見たいものが観れなくなったらどうするの?」

「本当にどうしても見たい場所や会いたい人には事前に連絡を入れる筈だわ」

「…ウチには?」

「無いわね」

「けどウチの場合、ほぼ居るからな」

「そっか…じゃあ生誕祭は?生誕祭ってパレードみたいなのやったりする?」

「いや、流石にそこまではしないな。王族は宣誓台で挨拶するだけだ」

「成る程、じゃあやっぱり街に出てくるのは視察の時だけか」


 スペルリング王、ウィンファルター王、そしてサーマルク王、オルスタム王。確か田中さん曰く、王にはそれぞれトラウマがある。オルスタム王は愛情だ。誰からも愛されず、そして誰も愛さず。外面だけが厚くなり、他人は利用するものだと考えている。そしてそれを何とかするのが、主人公(兄)の方だ。つまり、スペルリングとオルスタムが主人公(兄)、サーマルクとウィンファルターが主人公(弟)、そして真相ルートで兄弟は…あれ?帰還したんだったかな?ん?そもそも何か時系列おかしくない?


「…イナ、さっきからどうしたの?何が言いたいの?」

「あぁ、ゴメン気になる事が多くて。ちょっとまとめてから話すからまた一旦部屋戻る。いい?」

「それは構わないけど…」

「ゴメンね、忙しくなる前になる前には出てこれると思うから…と言うか、出てこなかったら呼んでもらっていいかな?」

「わかったわ」

「ありがとう、よろしくね」


 本当なら掃除や、他にもやらなきゃならない事はいっぱいある。だけど、文字を書きながら考えたかった。その方が自分なりにも整理がしやすい。そう思って、部屋へ戻った。自分が整理したこの情報が、私の周りの人の役に立つ事だと信じて。




 〇




 先ずは私の頭の中の整理から。田中さんが愛してやまないキャラクターは、オルスタム王メルーソル、スペルリング宰相サシャ、ウィンファルター将軍ガーライルの三人。見た目の一番はサシャ、性格はガーライル、物語はメルーソルだって言ってた。それは良くて。ゲームの最初は、二人の主人公が各々別々の場所に降り立つ。スペルリングとウィンファルターだ。そしてそこで世界の現状を嘆き、願いを叶える力を持っている神の使いとして頑張る。

 さて、ここからだ。ゲームの通り主人公が兄弟であるなら、スペルリングが兄の神崎聖、そしてウィンファルターが弟の神崎奏になる。二人が来てから起こるイベントは、四国間の会議と、病気の原因解明と…あぁ、主人公が誰の、何の願いを叶えるのか、だ。誰の、のところで相手が愛する人になるわけなんだけど、真相ルートと言われる誰とも恋人にならないルートは、全てを解決して確か自分の世界に帰る筈。帰…ったよな。まぁいいや、そう言うことにしておこう、次。

 兄弟はお互いに自分と同じ神の使いがいる事は知っていて、会議の場で身内だと分かって何とかしようと話し合って…って流れだ。でも今、ズレている部分がある。主人公が降り立つその日には、既にオルスタムの王はメルーソルだ。ゲームの初っ端がズレている。私が来る前にはもう二人は居たわけだし、やっぱり来るのが早かったよね、二人とも。なら二人は主人公じゃないのか?ってなるけど、神の使いだって証明されているらしいし、間違いは無いのでは、ってなる。ゲームの主人公達はハイスペックだったし、やってきた主人公枠の二人も、私が知っている限りハイスペックだった筈だ。

 …あれか、慌てん坊のサンタクロース的な感じか。おっちょこちょいめ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ