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第6話 魅了効果中

『スキル師匠の指示に従っていたら、買った奴隷が亡国のエルフの王女様だったのがバレて親父に匿われる事になった』


 昔そんなタイトルのラノベを読んだ気がする……いや、ないな。

 しかし銀髪のエルフが王家の証とか知らなかったわぁーマジかぁ。


「なぁティア。お前、俺と会った時耳普通だったろ?」


「はい、あの時はパッシブ魔法が効いていましたので」


……なんでパッシブ切ってんだよ!と、ツッコみたかったが今はそれどころじゃない。


 が、一応。


「なんでパッシブなの切ってんの?」


「耳に主の視線を感じるのでそのままにしております」


 き、聞くんじゃなかった……てか、それどころじゃない。


 親父曰く。

 エルフの国パーフィリアがその後どうなったのかの情報を集めるまで、俺とティアは自宅から一歩も出るなと命令され、その後折を見て領地へと戻すとの事。

 そして最後に。


「お前たち二人を部屋に閉じ込めてしまう事にはなるが……そのなんだ。儂としては孫の顔は早く見たいと思っとる」


 いや、しないからね?

 

 横を見ればニコニコ顔のティア。


「主様!私も子供は何人でも欲しいと思っております」


「……お前、まだちょっと臭くないか?」


「はい!?」――クンクン。


 自分の身体をくまなく嗅ぎだすティアをよそ目に、窓の外を見上げる。


「(はぁ、今回のスキル師匠……いつ仕事始めるんだろう)」


 そんな時、馬車が一台家の前に止まると、玄関が勢いよく開かれた音がする。



――バン!



「父上!父上はおられるか!」


 弟ファインの声だったが、あいつ卒業式後に帰って来るって言ってたよな。

 この時期だと卒業パーティの途中くらいで帰って来たんじゃないのか?


「主様、いかがいたしました?」


「あぁ、魅了に掛かってる弟が帰って来たみたい」


「魅了?ですか」


「よし、様子見に行くぞ」


「はい!」 


 階段を降り執務室へ向かうと、丁度ファインが部屋のドアを開け放つ瞬間だった。



――バン!



 俺とティアは開け放たれた扉から部屋へ入り、部屋の隅で様子を窺う事にする。


「兄上?ってそんな事はどうでもいい、父上!」


「おぉファインと……なんだ?二人はまだ何か用か?」


 ぶんぶんと首を振る俺とティア。


「お父様!用事があるのは私です!」


「お、おぉファイン。卒業式の後に帰って来るとばかり思っておったが、パーティ終わりでもう男爵令嬢を連れて来たのか?」


「……いえ、そうではなく」


「どうした」


「王子に」


「王子に?」


「王子に男爵令嬢を寝取られました……」


「ふぁっ!?」「へ?」「ほぉ~」


 俺とティアも思わず反応してしまうほどの衝撃だった。


 寝取られたって……まだ学生だろ!俺でもまだ童貞だぞ!

 こいつら学園で勉強もせずなにしてんだ!



――《直観》!



 ファイン=ボーデン

 自信

 ■□□□□□□□□□10

 内政

 ■■■■□□□□□□40(制限中)

 憤怒

 ■■■■■■■■■□90

 状態

 (憤怒)



 弟のファジーステータスがえらい事になってる!!

 自信10ってそれもう心折れてるよね!


 んーちょっと冷静に考えるか。


 内政にまだ制限が掛かってるという事は、まだ魅了が解けてない?怒りの感情、憤怒が勝ってしまってるって所か。

 自信はまぁ仕方ないとして、ここまで直接的にファインの感情を揺さぶってるって事は、もう魅了を使ってる犯人って男爵令嬢で確定だろ。


 だが王子に寝取られたって言ったよな……魅了を使うような馬鹿令嬢が王子を籠絡させてるっと……それ、不味いだろ……。



「ファ、ファイン。寝取られたはひとまず置いといてだな、王子は公爵令嬢と婚約しておられただろ」



「公爵令嬢は既に断罪され地下牢です」


「なんだと!な、なんと愚かな!――ファイン!」


「は、はいっ」


「公爵令嬢はどこに軟禁されておられる!」


「え?いえ、あんな悪女は地下に入れといた方が――」


「ばっかもーーーーーーーん!!」


「「「ひっ!!」」」


 お、思わず俺もちっさく悲鳴出ちゃったわ。あ、ティアも?わかるわぁ。


「あの方のスキルを知らんのか!」


「公爵令嬢のスキルですか?確か……人の内面を覗き見る卑しいスキルだったかと」


 俺は耳をふさぐ。


「ばっかもーーーーーーーん!!」


「「ひっ!!」」


 あ、ティアさん耳塞ぐの遅れたのね。


「お前たち、今日は家から出るな。儂は王城へ王に会いに行ってくる」



――バン!



 勢いよく扉を閉めて出ていく親父に取り残される俺達3人。


 王様が魅了されてなきゃいいけど……。


「兄さん」

  

「ん?どした」


「そちらの、お美しい方はまさか……あれ?」


「ん?あぁ、俺の護衛に今日雇ったの」


「エ、エルフを、ですか」


 彼女の耳に気づいたようだ。ってパッシブの意味!! 





 

――王家、地下牢。



「今王命により来週お前の僻地送りが決まった。命があるだけましと思え、悪魔の公爵令嬢」


「……王子様。一言よろしいでしょうか」


「ふん、これが最後だ。聞いてやる」


「あの男爵令嬢を傍に置いておくと国が滅びます」


「お前はまだそんな事を!!」――ガッ!!


「おい衛兵!こいつの食事は抜きだ!来週まで水だけ与えておけ!」


「み、水だけでは死んでしまうかもしれませんが」


「ふん。死んだら死んだでそれまでだ。行くぞ」


「は、はっ!」




………………《鑑定》



 ミハイル・フランツ・セレスティア第一王子


 HP250

 MP120

 攻撃力 :33

 防御力 :50(装備+効果中)

 魔法力 :25

 魔法防御:20

 敏捷性 :35

 命中率 :21

 回避率 :15

 運 :20/100

 装備 :ロイヤルベルベット防御率上昇

 状態

 (マミリー男爵令嬢より魅了効果中)

 


「――全く変わってないのね」


 











 

 





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