第5話 愛、限界突破中
――数年前、まだ俺がガキだった頃。
俺は家族でひと時王都で暮らしていた。その時、内緒で一匹の犬をこっそり育てていたのだ。
まぁ名前を付けたら懐いて来たので、なんとなく一緒に居てやる事にしたんだ。
雑種だったので王都の家に連れて帰る事も出来ず、平民のふりをして街で犬と遊ぶのが日課になっていた。
「ワンワン!ヘッヘッヘッ、ペロペロ」
「うへっ、やめろよクロベェ」
尻尾を振るそいつはいつも嬉しそうに俺の周りを駆け回っていた。
そんなある日、クロベェの姿が見当たらず探しに少し遠くに行ったんだ。
そこで見たものは、数人の成りの良いガキが俺のクロベェを棒を振りまわしてイジメていたところだった。
「なんだこの痩せた犬、おい!鳴け!ほら、鳴けよ!」
そんなの見たら一気に頭に血が上ってさ。
「お前たち!俺の友達になにしてやがんだ!!」
まぁ相手はガキと言っても俺より大きい奴らが3人。
勝てるとも思えない無謀な飛び出しだった。
武器も無し。
まぁ見事に滅茶苦茶にされて意識が飛びそうだった。
ガキ同士の喧嘩でそこまでするか?って当時は思ったが、相手が貴族だったら平民のガキなんか殺してもなんとも思わないって大人になって知った。
中身は貴族なんだけどな。
「も……もう、やめ」――ボスッ!ボスッ!ボスッ!
「ワンワンワンワン!!」
「うるせぇ犬だな!先に死んどけよ!」――――バキッ!!
一瞬だった。
あんなに一緒にいたクロベェは目の前で動かなくなったんだ。
ん?そりゃ泣いたさ。でも意識も飛びそうだったし、痛いって方が大きかった。
蹴った奴を睨むのだけは止めなかったけどな!
でもその時さ。現れたんだよ、小さな、俺より小さな女神が。
「集え、風の精霊!ウィンドスラッシュ!!」――シュパパパパパパパッ!!
「風魔法だと!誰だ!」
「……私の名を聞く前にその醜い物を隠された方がよろしいのでは?」
三人のクソガキは服が細切れになり素っ裸だ。
「おい、不味いぞ。風魔法にあの金髪縦ロール……」
「まさか……悪魔の公爵令嬢テルマイル!」
「プチッ――私の名を呼ぶ許可は与えてませんし、誰が悪魔ですって?風よ――」
「に、逃げろーーっ!」
「全く弱い者には威張る馬鹿な子達。あなた、生きてまして?」
「……クロ、ベェを」
「はぁ……仕方ありませんわね。爺、爺はおりまして?」
「はい、お嬢様ここに」
「この男の子と犬、助けてあげる事は可能?」
「犬は既に死んでおります。平民の男児の方は……はっ!これはボーデン侯爵家のご長男ですぞ!」
「い、急いで治療を!」――――。
――――
――
――「――ケホッケホッ」
あーそっか。私、卒業パーティで断罪されたのね。
辺りを見渡し、そこが牢屋である事はわかる。
「あの馬鹿王子。こんな事をしてタダで済むと本気で思ってるの?国が荒れるわよ」
マミリー男爵令嬢、あれは必ずこの国を亡ぼす。
私の鑑定スキルで見たあの女はこの世界の人間ではない。
「でも滑稽ね、今更あの子の事を思い出すなんて。……でも、あの男の子……イズナだったらこんな事も笑って跳ね返すんでしょうね」
◇
「親父?」
「ばっかもーーーーーーーん!!」
「ひっ!」
「銀髪のエルフがどう言う存在かお前は知っているのか!」
ん?銀髪のエルフだろ?すんごい美人だよな。
「美人だろ?」
「びっ!それは儂でも見ればわかるわ!そーではない!銀髪はエルフ王族の証だぞ!」
な、なんですと?
ティアを見ると、彼女は笑顔で微笑む。
あっかーーーーん!これアカンやつ!
俺は思わずティアの頭を両手で鷲掴み、アイアンクローをお見舞いする。
が、笑顔で耐えやがる。なんて奴だ!脅威度MAX女!
「はぁ、そこまでその子を愛しているのだな」
「え?」
「わかった、だがイズナ。それはいばらの道ぞ」
「ん?」
「お前には今まで辛く当たってしまって申し訳なく思っていた」
「んん??」
「我が侯爵家の名に於いてお前たち二人が安心して暮らせる場所を用意する。必ずだ」
なんだか話が見えないので――《直観》!
ライオット=ボーデン辺境侯爵
愛
■■■■■■■■■■限界突破中
内政
■■■■■■■■■□90
家族愛
■■■■■■■■■■限界突破中
状態
(愛)
あ、愛に溢れとる!!




