第1章-4
シュトライエン王国を統べる王、ベルディアス・レクサンドラ=シュトライエンには3人の姫と2人の王子がいる。
王位継承権は王子にのみ与えられ、第二王子レオニスが第1位、第一王子ファルカが第2位の継承権を有している。生まれた順番と継承権の優先順位の差は、そのまま2人の出生の差であった。
第二王子レオニスは、由緒正しい家柄の正妃を母に持つ。対する第一王子ファルカの母は王の3人目の側妃。実家は弱小貴族。
今年19歳を迎えるファルカ王子は、様々な事情から生後数年を母親の実家で育ち、4歳になる頃に王子に恵まれなかった王のもとへ、母親ともども迎えられた。
血統を重んじる貴族たちは不満を顕にしたが、世継ぎの王子がいない現実は如何ともし難く、そして半分とはいえ曲がりなりにも王の血を引く子であれば、そうそう軽視することもできない。
しかしそれからいくらも経たず、貴族たちに思いもかけない朗報が届いた。
―――正妃懐妊
熱狂的なまでの期待の末に、正妃は男児を産み落とす。14年前のその日、王国は国を挙げて第二王子レオニスの誕生を祝した。第一王子の存在など忘れ去ったかのように、貴族たちのみならず民心までも、第二王子へと急速に傾いていった。
表向きは何事もなかったかのように、一部には薄氷を踏むような緊張が続くこと、7年。事件は起きた。
第三妃と、当時12歳の第一王子に与えられていた離宮から火が出た。後の調査では、屋内からの出火が原因とのことで、火の不始末による事故だと考えられている。宮は一夜のうちに焼け落ち、第三妃と彼女に仕えていた侍女が死んだ。
しかしどうしたことか、第一王子の遺体は見つからなかった。逃げ延びた可能性を考慮して周囲の森にまで捜索の手を伸ばしたものの、消息不明となる。
その生存を信じるものは誰一人としていなかったのは、当然といえば当然かもしれない。一部の口さのないものたちは、事件について面白おかしく憶測を巡らせ、厄介払いができたなどと嘯いた。
その2年後、成長した第一王子が戻って来るなどとは、誰ひとり想像だにしていなかった。
ご覧いただきありがとうございました。
少しでも楽しんでいただけましたら幸いです。
誤字脱字等ございましたら、お知らせください。




