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第7話:願いよ、届け…!



 不安になった私は恐る恐る周りを見渡す。国王からも嫌味野郎からも反応は無く、むむむと、眉間に皺を寄せている。王妃様とお父様に関しては、2人の反応を窺っている様子だった。




(なるほど。権限はあくまで、国王陛下にある訳ね)




 私は、同じように国王陛下の反応を待った。すると、国王がゆっくりと体を椅子の背もたれにもたれかかる。




「其方は見た事があるか? 第二王子リアムの今の姿を」




 国王の冷たい眼差しが私を突き刺してくる。私は思わず身を縮こめてしまう。




「い、いえ」




 私が横に首を振ると、国王はふぅっとため息を漏らし、先程の眼差しとは違う、悲しさを含んだ表情を見せる。




「では、わからぬだろう。あの悪魔のような姿を……。あの姿が"光の力"を持つ者の姿とは、到底思えぬわ」




 自嘲しながら宙を仰ぎみる国王。王妃様はその様子を哀しげに見つめていた。


 国王も王妃様も、どうやらリアム様のお姿を見て諦めの境地にいるようだ……。


 私は少しでも希望のある言葉を掛けるように言葉を選ぶ。




「それは、力を制御出来るようになれば、消えるはずです」


(原作ではそうだったから、間違いない)




 私は小説の内容を思い出しながら、説得をする。しかし、私の言葉など耳を貸さない国王は、自身の話を始める。




「我は、あの神託を受けてから、悪夢にうなされるようになった」




 え? 私の話は無視なの!? 貴方の夢の話はどうでも良いんですけど!!!


内心、怒りに震えるが、ここは耐え抜く……。『隠れオタクスキル』よ、我に力を!!




「悪魔になったリアムが、我を殺す、という悪夢だ……。夢とは思えぬ、なんとも生々しい夢を毎晩見る。それも、神からのお告げだと我は思っておる」


「……」




 はぁああぁーー!!?? だから、私の言葉は信じない、ですってぇえーーーー!! 自分都合もええとこじゃあぁ!! ゴラァ!!!


 ……あ、危ないッ! 口に出そうになってた。表の顔は、悲しむような表情を見せる。よく耐えた、私!




「ドラゴンの力……光の力など、ありえぬ……!」




 国王が続けたが、私の話を全く聞く気もないようだ。


 私が表情に出さず俯いていると、横から声が聞こえた。




「私からもよろしいですか?」




 そちらに顔を向けると、嫌味な表情のサドウスキー卿が手を挙げていた。国王の許しが出ると、嫌味顔サドウスキー卿は、私の方をチラリと横目で見ながら口を開く。




「ルシア・クロス様。貴女は、神職者でも、聖女でもありません。そんな者が、神の声を聞く事などありえないのですよ。神のお告げがあった場合、ご存知でしょうが、我々神職者達もそのお言葉を聞いているはずです」




 眼鏡を押し上げながらサドウスキー卿は、国王達には見えないように下衆な笑いを私に送ってきた。


 お、お前もかぁあ!! 私の言葉は嘘だろう、と言ってる訳ですね。はいはい。うるせーよ! 何故こうも嫌味な顔で言えるのかしら!!




「つまり、貴女のお話は信憑性が低い、という事です」




 追い討ちと言わんばかりに嘲笑いながら告げるサドウスキー卿に、私はなんとか打ち勝ちたいと、国王陛下へと視線を向けた。




「ですが、私はリアム王子の力について聞いたのです。 だからこうやって、お話をしたいと参上させて頂きました」




 出来るだけ落ち着いた声色で、国王と王妃様へ訴える。




「幽閉をしたままでも構いません! 私がリアム王子の元に通い、友人としてお世話をさせてください! 少しは状況が変わるかもしれません!」




 私の言葉に、王妃様が反応した。しかし、あくまで国王陛下の言葉に従うようで、国王の反応を窺う。その国王はというと、変わらない態度で私を見下ろしている。その意図を汲み取ったように、嫌味サドウスキー卿が私に問う。




「4歳の貴女に何が出来ると言うのですか?」




 サドウスキー卿を見ると、わかりやすい程の嫌味でニヒルな笑みを浮かべている。




「それは……限られているかもしれません。ですが……っ」




 リアム様が今もひとりで苦しんでいるのに、こんな所で立ち止まっている暇はないのよ……ッ!!


 私は、睨むように彼の方へまっすぐ視線を向けた。




「やってみないと、わかりませんわ……!」


「!?」




 その時、サドウスキー卿が顔を歪め、怯んだように見えた。かなり驚いているようなその表情の意図はわからない……が、ザマァみやがれってんだぃ!!




 私が、内心仁王立ちの気持ちでいると、私の隣から声が聞こえた。




「国王陛下、娘の提案を一度考えてみては、頂けないでしょうか?」


(……お父様?)




 突然、話を聞いていたお父様が国王陛下へ頭を下げ、願い出た。家では、反対していたのに……どうして? 私はお父様の行動を不思議に思いつつも、お父様と同じように頭を下げた。




「むぅ……」




 国王は目を瞑り悩み出す。昔からの旧友にお願いされ、国王も考えてくれようとしているのだろう。


 ……いや、私の言葉わい。全く聞いてなかったやろがい。お父様のお願いには、悩む価値があるってか。まぁ良いけど。


 ただ、少し望みがあるのかも……!


私は祈るように、国王の言葉を待った。




「ふぅ……ルカリオ、申し訳ないが、帰ってくれ。仕事も山積みなのでな」




 結局、ダメなんかーーーーい!!! なんて親よ!! リアム様を、世界を……なんならアンタの命と権威も守ってやるって言ってんのにぃいーーーー!!(言ってはいないけど)


 もちろん1番は、リアム様のため!!!諦めたくない……!!




「陛下……!」




 私は一歩前に出て、もう一度考えてもらえないかと申し出ようとした。しかし、それは呆気なく止められてしまう。




「ルシア!」


「!」




 お父様が私の肩を掴み、止めてきたのだ。私が振り向くと、お父様は首を横に振り、『これ以上は無駄だ』と目で訴えてくる。




「かしこまりました。貴重なお時間を、ありがとうございました」




 私はお父様の言葉を聞きながら、悔しさに震えた。4歳児ながらに涙を堪えるのに必死だった。この頃の涙は、抑えるのに苦労するわ……。


 グッと涙を堪えると、私はお父様に合わせて挨拶をし、冷静を装ってあの大きな扉を見つめた。その時見えたサドウスキー卿の顔には、『してやったり』『お前如きに、何が出来る』と、書いてあった。




 クソがッ!! またここに舞い戻ってきてやる!!


 ……おっと、お口が悪くなってしまいましたわ。


 35歳の脳内には、ありとあらゆる罵倒の言葉が飛び交う。が、顔には出さない。こんな所でクロス家の名誉を汚しては、何の徳にもならないもの。




 また、別の方法を考えなきゃ。


 私は、太陽の間を出るまで、次の作戦を考える。もちろん、良い作戦なんて思い浮かばず、太陽の間を後にした。




(お父様へ、お礼を伝えなきゃ)




 大きな扉が閉められ、私は先程のお父様のお願いに感謝を伝えようと見上げる。


 その時。




ーーコツ、コツ




「?」




 廊下にズラリと並ぶ騎士達の間から、1人の女性が現れ、私とお父様の元へ歩んできた。私達の前に立ち止まると、静かにお辞儀をし、口を開く。




「ルカリオ・クロス様、ルシア・クロス様。どうぞ、こちらへ。ご案内致します」


「え?」


「……」




 私は何のことかわからず首を傾げる。しかし、お父様はその女性を知っているのか、黙ったまま、暫く何かを考えている様子だった。




「お父様?」




 私は不安を抱きながら、お父様に声を掛ける。すると、お父様は私の手を取ると、「行くぞ」と一言告げ、その女性の後をついていった。




 ちょ、ちょ!? どういうことなの!!?




.

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