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第6話:原作キャラ続々と。



 教会のような高い天井の続く廊下をひたすら歩く。白い空間に煌びやかで、華やかな装飾が飾られ、たくさんの騎士が列をなして私達を迎え入れる。




 私はごくりと生唾を飲んだ。


 そして、装飾で太陽の絵が描かれた扉が現れる。そびえ立つような扉に、私は目を見張った。


 こんなに扉を大きくする理由があるのかしら?




 太陽が今にも落ちてきそうな威圧感を感じる扉。この向こうに、今から対峙する国王陛下がいるのだ。心臓がとてつもない速さで脈打ってくる。


 うぅ……っ、心臓が口から飛び出そうだわ……。


 お父様の手を握る手に力が入る。すると、お父様が私の手をスッと離してきた。驚いていると、お父様が片膝を床につき、私の両肩に手を置いてくる。




「娘よ、大丈夫だ。父が付いている」




 優しく微笑むその顔は、クロス家の当主の顔ではなく、父親の顔だった。




「お父様……!」




 その瞬間、私の心臓は嘘のように静かになった。


 ありがとうございます、お父様……!


私はお父様に微笑み頷いて見せた。それを見て安心したのか、お父様はスマートに立ち上がる。


 そうよ、落ち着きなさい、ルシア! 作戦なんて無いけれど、とにかく愛嬌で乗り切るのよ!!←




 深呼吸をして前を見据える。それと同時に、太陽の間の扉が、ゆっくりと開かれた。




 ーーギィイイィ




扉の開かれる速さと鈍い音から、その扉の重さが窺える。




(遂に、ご対面ね……っ!)




 ーーズゥン……




 重厚な扉が鈍い音を立て止まる。私達は門番に促され、太陽の間へと足を踏み入れた。


 ろ、廊下よりも天井が高い! それに、全体的にキラキラし過ぎだわ! 何より国王陛下までの距離遠っ!!




 太陽の間の広さや豪華さに、圧倒されながらも、『隠れオタクスキル』で顔には全く心の声を出さない。隠れオタク、舐めんなよ。


 暫く歩き、だんだんと国王陛下が見えてくる。そこには、王妃様も並んで座っていた。




(王妃様……噂さながらの美しさだわ……!)




 原作でも描かれていた王妃様。その美人な姿は原作以上だった。私の視線は、王妃様に釘付けになる。




 リアムに受け継がれる流れるような銀髪のまっすぐな髪に、サファイアのような輝く青い瞳。神聖ささえ感じる姿勢に、品のある佇まい。女性なら誰でも羨む細い首に細い腰回り、出るとこは立派に出ている。首元まであるドレスに身を包んでいらっしゃるが、豊満なお胸はここから見てとれる。


 そりゃあ、国王に見染められる訳よ……。




 ただ、その理由は容姿だけでない。王妃の出身や能力も買われている。


 原作のままであれば、王妃はこの国随一の魔力の高い貴族:ソアレス公爵家の次女だ。魔術の使い手で、得意な魔法は、結界と水…だったはず。


 そんな女性をみすみす見過ごす国王ではない……と言うところでは、やり手の国王なのかも。




 チラリと国王陛下を見ると、胸を張り堂々と椅子に座る姿が見える。国王の象徴である黄金の髪はオールバックにセットされている。その頭の上には、同じく黄金の王冠が乗せられており、遠目で見ると、髪と同化して変な髪型に見える……が、笑わずに無言で歩く。


 リアムと同じ翡翠色の瞳が、ジッと私達の方へと向けられている。切れ長で疑るような目は、原作で闇堕ちしたリアムに似ており、私は少し複雑な気持ちになった。




(ルシア、深呼吸よ……。動揺せず、愛想良く……!)




 そして、国王陛下と王妃様の前に、お父様と私はたどり着いた。4歳児には長い道のみだったわ。息を整え、お父様に合わせてお辞儀をする。




「国の太陽と月に、ご挨拶申し上げます。ルカリオ・クロス、その娘ルシア・クロス、参上いたしました」




 お父様の挨拶に国王陛下は「うむ」と、低くよく通る声で一言発した。




「よく来てくれた。頭を上げなさい」




 その言葉に私は顔を上げ、壇上にいる国王陛下へと視線を向けた。未だに冷ややかな視線を送ってくる国王に、私は負けじと見つめ返す。


 ……原作と同じく、嫌なイメージだな。


 すると、国王ではなく王妃様が口を開いた。




「本日は朝からご足労頂き、ありがとうございます。早速ですが、本題に入らせて頂きましょう」




 なぜか王妃様が仕切り始める。国王陛下は、喋らないつもりなのか? それとも、いつもこう言う流れなのだろうか……。私は不思議に思いつつも、お父様に合わせて返事を返した。




「その前に、ご紹介しておきます。あなた方の横にいるのが、神職伯のヨーゼフ・サドウスキー卿です。今回のお話を一緒に聞かせて頂きますので、よろしくお願いしますね」




 王妃様が優しく微笑む。


 なんで癒される笑みなのだろうか……!! 国王とは大違い! 女神とは、まさにこの事! 私の必殺『天使の微笑み』なんて霞んでしまうわ!! ……そもそも必殺技はクロス家にしか聞かないけれど……。


 ほっこり胸に温かさを感じつつ、神職伯とやらの顔を拝見した。




「!」




 私は、またも見覚えのある顔に固まる。名前だけではピンとこなかったが、この顔は原作でも見た。灰色のマッシュカットで、左の頬の横に長めの髪が伸びる、変わったヘアカットのキャラクター。掛けている眼鏡の存在が薄れる程の鋭い目の奥に、濃く深いマリンブルーの瞳が見える。




 原作では、国王がリアムに殺される時、一緒に亡くなる登場人物だ。この聖職者が、リアムを罵倒し、国王諸共殺される運命となる。


 まぁ、自業自得な死に方ね。リアムが殺さなくても、私達読者が殺っていたけれど……!




 ちなみに、神職伯とは、国王に属する聖職者には爵位が与えられ、伯爵と同じ爵位の事だ。だが、政治などには関わらず、あくまで聖職者として神に仕え、神の教えを説く。それに加え、神職伯は各地方の教会ともやり取りし、国とも良好な関係でいる為の架け橋をしている(小説『いばらのドラゴン』内説明より)




 私の記憶力もなかなかね。『いばらのドラゴン』を伊達に読み込んで無いわよ!


 それにしても、リアム5歳の現在で、この人は18歳ぐらいだったはずなのだけど、近くで見ると、意外と老け顔だったのね。




 私は挨拶で頭を下げるが、ヨーゼフ・サドウスキーは何も反応せず、私を睨むばかりだった。


 何よ! 感じ悪ッ!! 茶道好きー(サドウスキー)のクセにぃいい!!


 表の顔では、ニコリと微笑んで見せたが、心の中ではブーイングの嵐だった。日本にいた頃は名前の影響で、よくネットに茶道をしているヨーゼフのイラストが絵師達によって描かれていた。それから#(ハッシュタグ)茶道好きで書き込みもされていたのを思い出す。




 絵師達よ……。彼は絵師達が描くような若々しいイケメンではない。老け顔嫌味野郎だったぜ。


 フッと、内心嘲笑っていると、その老け顔嫌味細目野郎が、こちらに向かって声を掛けてきた。




「クロス卿から、貴女が神の声を聞いたと聞きました。それは本当ですか?」




 なんてイケボ!! 教会でも、よく通りそうな声じゃないのよ!? まるで三木 ◯一郎さんのようなお声……ッ!!……じゃなかった!


 思わぬ美声に、私は我を忘れそうになり、慌てて返事をした。




「はい。聞きました」


「その内容を説明してください」




 冷たく言い放つよう言い方で、嫌味イケボ野郎が私に説明を促してくる。




「私が聞いたのは、第二王子リアム様の与えられたお力は、"悪魔の力"ではく、世界を救う"ドラゴンの光の力"だという事です。今のように幽閉するのではなく、愛を持って接し、自由に生きさせてあげる必要があるのです」




 最後のは、私の妄想だ。こう言った方が良いだろうと、オタクスキル『妄想』を発動させる。




 しかし私が言い終えても、反応が無い。




 え、私……変な事言ったかしら……。




.






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