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6. 新メニュー

去年は3日で連続途切れたから今年は10万文字まで完走する!(つもり)

 俺は秋傘隼人、ただの喫茶の店員だ。

 ここは本当に色んな人が来る。

 街のご老人、帰り際の高校生、休憩中のサラリーマンなど、人目につきにくくても客はけっこういる。

 常連さんが座る席はほぼ一緒だしどのメニューが好きかも覚えているが、あまり客と会話はしない方だと思う。

 閉店後の午後9時半、俺はとあることで悩んでいた。

 「...ここはそば粉の量をもう少し増やして...だけどそうすると硬さが...それにチーズの種類は...ああもうめんどくさい!!」

 そう。新メニューの開発?である。

 最近、軽食を食べているときのお客さんの表情や、最後まで食べきる前にスプーンを置く人が増えたこと違和感があって、

 (軽食...飽きたのかな?)

 と考えるようになっていたのである。新メニューを作るにもそれは専門外で、一から独学で挑んでいた、だからといって作らなくて客足が遠退くのも嫌であるため、仕方なく新メニューを作っているのであるのだが試作用の材料が底をつきそうである。

 「あー。また材料買いに行かなきゃ。」

 幸いこの付近には深夜営業をしているスーパーが有り、昔開店したての頃やここ最近お世話になっている。ただし、付近とは言っても歩いて10分はかかってしまう。車を持っていない俺にとっては、この寒い冬に帰宅以外の外出をしたくないのだ。

「まあいいや、もうこんな時間だし。とりあえずこれ食べてから残りは明日に...」

 自分に甘えるようなことを呟いて手元にある試作12号を見る。これは皮が硬すぎて到底客に出せるようなものではない。他にも皮が柔らかすぎて包むときにビリビリに破けたりとか、薄く焼きすぎてフラ急いでカウンターに戻りパンにこびりつき、取れなくなってしまったものなど、数多の犠牲を出してきたのである。

 そのため、俺もかなり疲れたのである。

 (早くしないと明日も一昨日と同じ事になってしまう。)

 俺はガチガチのそれを噛み砕いて食器を洗い、電気を消して裏口から帰路についた。

 「寒っ」

 外に出ると、外界の冷気が俺を襲った。息は白い霧となって夜に溶けてゆく。

 なんとか寒さをしのごうと自販機で温かい缶コーヒーを買って手を温める。

 「ああ...どうしようかな...」

 なんてつぶやきながら家のドアを開けるのであった。


◆◯◆◯◆◯◆◯◆


 次の日、ディッシュウォーマーから食器を出そうとするとなぜかあまり熱くなかった。いつもは手袋をして取り出しているので気付かなかったのかもしれない。もしかしたら、と思いコンセントを確認すると案の定抜けていて、差し込んで電源を入れ直した。

 (もしかしたら...原因これか?)

 6時になった。店を開けて客を待っている。この後の時間帯は朝食を食べに来る人が多く、パスタなどの温かい料理の注文が増える時間帯だ。

 カラーン

 ドアに取り付けてあるベルが鳴る。

 「いらっしゃいませ。お好きなお席へどうぞ。」

 いつも道りに案内する。

 「すみません。ナポリタンとカフェラテお願いします。」

 「かしこまりました。ナポリタンとカフェラテですね。」

 来た

 早速温かい料理である。

 早速パスタを熱湯に躍らせる。茹であがるタイミングを見計らい、フライパンで手際よく具材を炒めてソースを準備した。パスタが茹で上がったら、茹で汁少しと一緒にソースを茹で汁で伸ばしながらパスタを絡めて、温めたお皿に盛り付ける。

 急いでエスプレッソも淹れてそこにミルクを垂らし、完成したナポリタンと一緒に運ぶ。

 「おまたせしました。カフェラテとナポリタンでございます。」

 急いでカウンターに戻り、客を遠巻きに観察する。

 すると、表情もテンポももとに戻っている。

 (よかった。)

 安堵しながらも、昨夜まで積み上げた試作12号までの残骸を思い出し、苦笑いが漏れたが、戻って嬉しい気持ちが混じってできた変な感情を飲み込みながらこう呟いた。

 「さようなら、ガレット計画。またいつか作る時が来るかもね。」

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