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問題児in追放修道院  作者: バタ足攣り太郎


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第95話 帰途+合流=荒

「ちょ、待って!待ってティータちゃん!」


 おっはー、あたしリタちゃん。


 今、ぐるぐる巻きにしたイルズ侯爵を肩に抱えて、クエイ公国のお城へと帰ってるとこー。


「ねえ!お願い!お願いだから止まってティータちゃん!」


 なんか、後ろでフランチェスカとかいうお姫様が騒いでる気がするけど、あたし聞こえなーい。


 ってな感じで森を進んでたんだけど、フランチェスカは痺れを切らしたのか、あたしの前にやってきて道を塞いでくる。


「待ってって!!」


「なんですかー?」


「いや、それ偽物!!本物じゃないんだって!」


「はいはい」


「だから、本物を捕まえないと意味がないんだよ!」


「だから、さっきぶっ飛ばしたのを追っかけて捕まえろって?」


「そう!」


「いや、なんでわざわざそんなこと・・・あ」


「"あ"って!今、"あ"って言った!」


「いや、今の"あ"は多分、フラン様の思っている”あ”とは違くて・・・」


「なら、どの”あ”なのさ!?」


 偽物との取り違えの”あ”じゃなくて、伝え忘れの”あ”だね。


 いやー、あたしとしたことが、戦闘でテンション上がってて、フランチェスカに本物の侯爵の現状を伝え忘れてたよ。


 まあ、とはいえ・・・


「大丈夫」


「いや、だから何も大丈夫じゃn」


 そこまでフランチェスカが言い募ったその時、あたしたちの脇から、何かの影がニュッと湧いてくる。


 そして、「待たせたな!」と気さくに話しかけてきたのだ。


 果たしてその影の正体とは・・・気になる続きはCMのあt


「うえぇぇぇぇ、イルズ侯爵!?」


 ・・・そう、その正体は本物のイルズ侯爵。


 しかも、両肩に一人ずつ人間を担いでいる。


 片方は少年で、もう片方は女の人だね。


 どっちもぐったりとしていて、意識はないみたいだ。


「な、なななんでイルズ侯爵、しかも本物がわたしたちのところn」


「それが、例の?」


 説明忘れを棚に上げ、すっごい動揺しているフランチェスカを無視して、あたしはイルズ侯爵(本物)に話しかける。


 ってかイルズ侯爵(本物)って長いな。


 こっからは本物侯爵でいいや。


「何か変なことを考えていそうな気配がするが・・・」


 ちっ、さすがは似た戦闘スタイルなだけあって勘が良いな。


「まぁ、良いか。」


「いや、何も良くはないんだけど!?」


「そう、この二人が「無視!?」・・・あー、後で説明しますから、姫様は一旦静かにしててください」


「・・・ちゃんとした説明があるんだろうね?」


「ええ。私は()()()()()ですので」


「わかった」


 その言葉で溜飲は下がったのか、フランチェスカはそれきり静かになった。


「それで?」


「ああ、そうだな・・・もう少し行った先に開けたところがある。そっちで運ばれてるのとこっちの二人の様子も見たいし、一旦そこまで移動しよう」


「おっけー」


 ということで、あたしたちは本物侯爵の提案通り、少し進んだ先で休憩と話し合いをすることになった。


 「ああ、そいつの拘束はもう解いても大丈夫だぞ。戦闘能力はほぼ皆無だから、逃走の心配もない」


 本物侯爵が偽物に対してそう言ったので、あたしは言われた通りに拘束を解いた。


 え?敵だったやつの言葉を素直に信じすぎじゃないかって?


 いや、だってこの偽物からは戦闘できる気配を一切感じないし。


 フランチェスカが特に何も言ってくることはないのも、静かにしていろって言われたからじゃなく、戦いを嗜む者として同じ感覚があるからだと思う。


「さて、さっきの感じからだとお姫様は私の現状はわかっておられないようなので、そこからになるな」


 そう言って、本物侯爵は自身の状況を話し始めた。


 まず、敵はどうやら改革派を名乗る一派らしく、高尚なのは名前だけであって、卑怯な手でやりたい放題らしい。


 それで、本物侯爵本来は王族派だったが、身内を人質にとられてしまい、改革派に従わざるを得なかったそうだ。


 そして、ここからが特に問題なんだけど・・・


「実は、私には双子の弟がいてな。貴族としての表の顔と事務処理の半分は弟が。そして残りの半分の事務と武力の必要な職務は私が熟していたのだ」


「へぇー。同じ貴族でもやっぱり国が違うと色んなやり方があるんだねぇ」


「・・ない」


「ん、どうしたんですフラン様?」


「わたし、それ知らないんだけど!?下手したら王家の誰も知らないんじゃないの!?」


「まあ、言ってませんでしたからね」


 わーお、まさかの王家未認可。


「え、いつから?」


「私が当主に就任してからですね」


「それって最初からでしょ!そもそも、双子の兄弟がいたってこと自体知らなかったんだけど!」


「一応、我が家の機密ですからな。陛下はご存知であられます」


「わたしが未熟なばかりに、知らされていない情報っぽいなぁこれ!」


 とんでもない事実がさらっと明かされて、フランチェスカがさらに荒ぶっている。


 っていうか、こんなことになってるなんて思ってないから伝えられてなかっただけで、いずれ教えられてたと思うよ、たぶん。


「うぅん・・・」


 とまぁ、そんなこんなで話し合いが盛り上がっていたところ、偽物のイルズ侯爵が目を覚ましそうだ。


 偽物のイルズ侯爵は目を空けながらゆっくりと起き上がると、


「どういうことか、説明してもらおうか弟イルズ!!」


「はいィ、ひ、姫様!?」


 荒ぶったフランチェスカに速攻で詰め寄られ、状況もわからないまま目を白黒させるのだった。


 ・・・うん、あたしはあくまで部外者だし、静かに見守っていようっと。

 


 次回の更新は5月23日(土)午前6時の予定です。

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