第89話 王城+邂逅=運命
追記:誤字の発見・修正を行いました。
おっはー、あたしリタちゃん。
「さて、それじゃ行くよ」
「いや、ついてきておいてなんだけどさ・・・マジで?」
時間は遡って、アリスを頼った少し後。
クエイ公国に潜入したあたしたち三人は今・・・
「言ったろ?こき使うって」
「だとしても、これは流石にマズいんじゃない!?ここ、王城だよ!?」
王城に侵入させられようとしています。
自発的ではない、ここ重要。
「特にガイルのおっさんはマズいでしょ!?立場的に!」
「いや、それに関しては実はそんなに問題ないんだよな・・・」
「え、そうなの?」
「・・・確かにガイルさんの現在のお立場を考えれば、明言さえしなければ問題ありませんわね」
ガイルのおっさんは、一応領地持ちの元貴族当主・・・なんだけど、現在はその後継が正当だったかの真偽が不明で宙ぶらりんってところかな。
要は、今の状態では貴族かすらも曖昧なただのおっさんなので、責任問題になりにくいってことか。
でも立場があったことに変わりはないから、非正規とはいえ貴人ではある、と。
・・・いや、ややこしっ。
「ほらほら、いつまでもごちゃごちゃ言ってないで、さっさと行くよ。腹括りな」
「ええい、女は度胸!行ってやりますとも!」
ってな感じでアリスの手引きで王城に潜入・・・ってか闇光専用の窓口から堂々と城に入ったあたしたちは、あれよあれよという間に王族と謁見をすることに。
いや、展開早すぎない!?
とはいえ、闇光はあくまでも暗部側。
謁見はあくまでも非公式にということらしく、あたしたちはそれ用のこじんまりした部屋に通された。
「して、アリスよ。火急の用ということで取り急ぎこの場を用意したが、いったい何があったのだ?」
そう問いかけるのはこの国の王様その人。
公務とかすっ飛ばして優先的に会ってくれるあたり、アリスの・・・いや、闇光という組織の信用度の高さが伺える。
「はい、それに関してはこの者たちのことも含めてお話できればと思います」
「ふむ。では、まずはそちらの客人の紹介をして貰おう」
「は。この者たちは・・・」
そして、アリスは語る。
あたしたちがシエル王国の人間であり、公国との戦争を止めにやってきたこと。
そして、途中で話を引き継いだあたしは、友好国であるクエイ公国へとシエル王国の姿勢を示すために話し始めた。
「『鉄のイバラを右腕に巻きつけたシエル王国所属の侍女』がご挨拶を申し上げます」
「なんと!?そなたらが出張ってくるほどの事態であると!?」
「ち、父上!?」
国王の狼狽具合に、近くにいたやたらキレイな少年・・・いや、男装をした少女が驚愕を露わにする。
「いったい、何が?」
「ふむ、詳しくは後で説明するが、とてつもない事態が起きているようだな。この者たちは、シエルの懐刀とも呼ばれる者らよ。かの国は滅多に他国へと出さないとされるそんな者らをウチに寄越したのだ。この意味がわからないとは言うまいな、フランチェスカよ」
「それは・・・はい、父上」
「うむ、よろしい。では、そなたがこれよりすべき行動はわかるな?」
うん?なんでそのセリフで親子揃ってこっちを見てるのかな?
「はい、この方々と行動を共にし、色々と学ばせて頂きます!」
ンン!?
「よし!!」
いや、こっちは何も良くないんだけど!?
「ということで、隣国からのお客人方よ。すまぬが不肖の娘を連れて行ってやってくれ。王族として緊急事態における経験はたくさん積んでおかねばな。これは友好国の国主として、正式に依頼させて欲しい。受けてくださるな?」
「・・・御意のままに」
それ、断れないやつじゃん!
友好国としての立場まで出してきやがって、こっち単独じゃ判断つかないレベルの問題を有無を言わさず押し付けてきた!
これだから、王族とか貴族は油断ならないんだよ!
ハァ・・・
「それでは、お姫様」
「フランで構わない。お世話になる身だ。この呼び名を許します」
「それでは、フラン様。事態が事態故、手荒い道中になります。それでもよろしいですか?」
「ああ、望むところだとも!」
「では、これより突貫かつ最優先で書類を準備させる。貴君らはそれを諸侯に届けてくれたまえ。ここからは時間との勝負になる。両国の友好のために、頼むぞ」
「「「「はっ!!」」」」
こうして、あたしらは手分けして行動することになり、お姫様ことフランチェスカはあたしと行動を共にすることになった。
正直、他国の王族の護衛とか面倒だから、さっさと離脱して貰おうとして全力おんぶダッシュを敢行したんだけど・・・
「おお!すごい!すごいよ、ティータちゃん!わたしたちは今、風になっている!!」
それが、こんなにウケるなんて、完全に誤算だったよね。
そうして、あたしはため息を吐きながら、はしゃぐフランチェスカを背に走り回る羽目になったのだった。
次回の更新は4月11日(土)午前6時の予定です。




