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波にさらわれたぼくの楽譜
ぼくの楽譜は
波にさらわれてしまった
だから声も
動きも
いつも場違いで
ちぐはぐなんだ
ぼくという音楽から
ぼくだけが締め出されてしまった
虫も風も花々も
それを知っているような顔で
ぼくを見つめる
影のなり損ないを見るような目で
ぼくの楽譜は
失われてしまった
ぼくは即興だ
ぼくは不器用な自由だ
ぼくは不完全な試みだ
波を恨まない
波のようなかたちでぼくを連れ去った事象と人々を恨まない
ぼくの楽譜は
そうなってよかった
ぼくの演奏は
よくなるばかりさ
死が耳を澄ます
異邦の海では




