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こんな世界は、嫌だ
ああ、そういえば
竹取物語も
男からの求婚を拒否して異界へ旅立つのか
源氏物語も
いちど死にかけた浮舟が男を拒否して終わる
遠くギリシアの叙事詩イーリアスは
怒りを歌え、女神よ
という一節で始まって
殺しあいに明け暮れる男たちを描く
作者や語り継いできた人間の意図が奈辺にあるかは知らないが
こんな世界は、嫌だ、という怒りは
人間の情念としてなによりも強い
神の子にもそんな怒りをわたしは感じる
こんな世界は、嫌だ
今夜もわたしはわたしの嫌悪で
この身が膨らみつづけて破裂しそうだ




