前へ目次 次へ 929/939 五メートル後ろのわたし わたしはわたしを 五メートル後ろから眺めている 五メートル先のわたしは 歩いたり だれかと話したり 周りに合わせて笑ったりしている それを眺めている五メートル後ろのわたしは 透明で だれとも話していなくて 世界と隔絶して無表情だ 生きているわたしとか 社会的に存在するわたしとかは 五メートル先のわたしのことを言うらしい それならここにいる 五メートル後ろのわたしはなんなのだろう この距離は永遠に埋まりそうにない まったくもって遠い五メートルだ