6.好きな人がおっさんに会いに来ました
あさひー、今日わんちゃん見に行ってもいい?」
「えっ」
「えっ、じゃないよ。ずっと言ってるのにまた今度ばっかで、全然見せてくれないじゃん」
同じクラスの天野若菜ちゃん。彼女も犬を飼っていて、犬のお世話について色々アドバイスをもらった。
「いやーなんと言うか、うちの犬変わってるって言うか」
「余計気になる!会いたい」
んー、あんまり合わせたくないんだけどなぁ。
おっさんだし。
「なになに?東堂んち、犬飼い出したの?俺も見たいな」
「えっ、佐藤くんも?」
佐藤美奈斗くん、私が密かに気になっている男子だ。
佐藤くんがうちに来る?こんなこともう一生ないかも。
「し、仕方ないなぁ。いいよ」
「やったー。じゃあ一回家帰ってすぐ行くね」
ということで、2人がオリオンに会いに来ることになった。
事前にオリオンに言うと、めんどくせぇとか言っで逃げられそうだし、黙っておこう。
「こんにちはー」
あ、きた。
『ん?誰だ?おい、あさひ。なんで抱っこするんだ?』
「逃げないようにだよ。お願いだからお利口にしててね」
「わーめちゃくちゃ可愛い!なにこれぬいぐるみみたい」
「ほんとだ。ちっさくて可愛いな」
「あさひ、私も抱っこしたい」
「あーこの子結構人見知りだからどうかな」
オリオンに「じっとしててよ」と言いつつ、若菜に手渡した。
「きゃーふわふわできもちー。うちの犬大型犬だから、抱っこできないんだよね」
と言いながらオリオンを抱きしめる若菜。
オリオンはまんざらでもなさそうだ。
「次、俺にも抱っこさせて」
と言う佐藤くんに、若菜がオリオンを渡そうとするが、オリオンは若菜の腕にしがみついて離れない。
おい、おっさん、なにしてんだ。
「あー男の人苦手かも」
「えー残念だな」
「ねぇ、おやつとかあげたい」
「あーいいよ。じゃこれ」
「え、これスルメだよね?スルメ食べるの?ジャーキーとかじゃなくて?」
「うん、スルメが好物」
「おっさんみたいだな」
おっさんなんだけど。
「ほんとだー美味しそうに食べてる」
その後も2人はオリオンをたくさん可愛がり、帰って行った。
『あー疲れた』
「お疲れ。てかもう少し佐藤くんにも心許してよ」
『男にベタベタされるのは趣味じゃねーから』
「また来てくれるかな」
『なんだあさひ、あいつのこと好きなのか?』
「そ、そんなんじゃないよ」
『お前まだ中学一年生だろ?恋愛なんてまだ早い!わしは許さんぞ』
「なんでオリオンの許可がいるの。てか全然早くないし」
『最近の若いのはませてんだな』
◇◇◇
別の日の散歩中。
「お、東堂じゃん」「
佐藤くん?」
「オリオンの散歩中?オリオーンおいでー」
と佐藤くんはしゃがんで手を伸ばす。
行かないだろうな。
と思ったら、ゆっくりとオリオンが佐藤くんの元へ歩き出した。
「おー今日は撫でさせてくれるぞ。ご機嫌いいのかな」
佐藤くん、すごい嬉しそう。
オリオンがこっちを見ながら『貸し1な』とか言ってたけど知らない。




