表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/23

18.回復薬を作って儲けよう、予算ないからね

 「どうした社蓄大賢者様」

 「回復薬やマジックポーションの作り方を教えてもらえませんか?」

 ギルド長は、苦々しい顔をする。

 「やっぱり、回復薬やマジックポーションも自作する気か」

 悠は頷く。

 「回復薬は、この薬草から作る。マジックポーションはこの薬草。万能薬はこの薬草とこの薬草だ」

 ギルドで採取依頼を出している薬草を見せてくれた。

 「平たく言うと、酒や水で薬草の成分を抽出して色や味をつけたのが回復薬やマジックポーションだ」

 悠は、薬草を手にとって見る。

 「少し食べてもいいですか?」

 「苦いぞ」

 回復薬もマジックポーションの原料も、魔素の塊である。時間をかけて、薬草は空中や地中の魔素を溜め込んだんじゃないのかな?大気中の魔素は微量である。

 

 悠はギルド長に礼を言うと、1人で転移魔法で草原に移動する。星が綺麗だ。

 目を瞑って、深呼吸をする。

 転移魔法分の精神エネルギーが減っているはずである。

 大気中や地中にある魔素がエネルギーとして、身体に取り込まれるイメージを持つ。

 ゆっくりと静かに呼吸する。

 悠は、精神力が回復していくのを感じた。

 1時間ほど、草原でイメトレをして悠はギルドに転移魔法で戻る。

 「悠にゃん、心配したにゃん」

 食事を食べ終え、ギルドで悠を待っていたルベリアとサルトに怒られた。

 それから、3人で大衆浴場に行った。悠は、男湯で実験をする。湯船に入る前に、身体がお湯と泡立った石鹸で洗われ綺麗になる姿をイメージする。

 「洗浄」

 身体が綺麗になっている。成功だ。それから、悠は浴場に来たのだからと本物のお湯で身体を洗い、湯船につかった。

 そして、浴場を出ると、灯りのついた広場でルベリアとサルトを待った。

 「お待たせぴょん」

 2人が一緒に浴場から出てくると、3人で宿屋に帰った。

 部屋に入るとベッドに寝転び、悠はすぐに眠りについた。

 翌日は、王宮に出勤するのをやめ、薬草採取に出かけることにした。

 ギルドで10ソフィアを支払って、薬草の見本を借りた。

 「頼むから、回復薬を作ったら、ギルドを通して売ってくれ」

 ギルド長が悠に懇願する。

 悠は、飛行魔法で回復薬が生えている場所を探した。回復薬の薬草、マジックポーションの薬草、万能薬の薬草、同じ魔素のエネルギーを探す。ルベリアとサルトと空を飛び、薬草を見つけて採取すると、見本と照らし合わせる。そして、数時間すると、大きな袋一杯の薬草を採取することができた。

回復薬は薬草3束、マジックポーションは薬草10束、万能薬は3束の薬草を2種類使う。一度、悠は転移魔法でギルドに戻った

 回復薬やマジックポーションを入れる瓶を買うと、水を入れる。薬草を手に持ち、成分が瓶の中の水に溶け込んでいる様子をイメージする。

 悠が手にしていた薬草は干からびている。

 回復薬、マジックポーション、万能薬を教えてもらった薬草の配分どおりにイメージで水に溶かす。それから、購入した回復薬、マジックポーション、万能薬と魔素の量を比較した。

 悠は、ギルドに戻るとギルド長に、透明な回復薬、マジックポーション、万能薬を見せる。

 「たぶん、成功したと思いますが、鑑定をお願いできませんか?」

 「薬の鑑定なんか無理だよ。決められた作り方で作って飲んで効果があれば、成功なんだろう。鑑定できないから、粗悪品や偽の回復薬が出回らないようにギルドで作って売っているんだよ。預かって効果を調べてやるよ」

 悠は回復薬、マジックポーション、万能薬を5本ずつ渡す。

 昼食を3人で取り、フリージア神殿に行き、ミール法皇に神殿の図書館で魔法の本を見せてもらった。ミールやルベリアが教えてくれた魔法以外には、ゴーレムを作る魔法やドラゴンの召還魔法等について書かれていた。


 数時間、神殿の図書館で過ごしてから、王宮に向かう。

 王宮でも、宮廷魔法団長に頼んで魔法の本を見せてもらう。宮廷魔法団長は、35歳、侯爵家の当主でもある。

 「宮廷魔法団長の魔法を実演していただけませんか?あと、禁呪や禁書の類があれば閲覧させてください」

 「私の魔法なら実演しますが、禁書や禁呪を学ぶには、国王陛下、宰相、宮廷書記官長、宮廷魔法団長、そしてミール法皇様の許可が必要です」

 「それでは、閲覧、許可をいただけますか?」

 「悠殿が死者を蘇らせたことはルベリアから聞いています。法皇様と大賢者しか使えない蘇生魔法が禁呪なんですよ。一応、形だけですが閲覧許可の書類を作ってもらえますか?」

 魔法団長は苦笑する。

 ルベリアを使者に立て、ミール法皇に王宮に来てもらうことにした。

 王宮の禁書と禁呪全ての閲覧と学習の許可証の書類を作ると宰相、大法官、宮廷書記官長の署名を貰い、魔法団長が署名するとアルベルト3世に署名してもらう。

 ミール法皇が馬車で王宮にやってきたので、出迎え、書類に署名を貰った。

 王宮の禁書庫には国王とミール法皇、許可証を貰った悠しか入ることが出来ない。

 「これが、禁書にゃん」

 禁書には、大精霊召還、フリージア召還、隕石落しのメテオブレイク、完全呪殺、異世界の扉、勇者 召還、異世界人召還、異世界破壊等の魔法が書かれていた。

 「ミーレはフリージアやソフィア召還を試したんですか?」

 「私には、使えないにゃん」

 「これで女神フリージアを召還できれば、私の仕事も終わりですよね」

 ミーレ法皇の手を握る。

 「すぐに戻ります」

 アルベルト3世に告げてフリージア神殿に転移する。

 法皇室で悠は禁書の魔法を試す。

 「この世界を統括する女神フリージア、降臨したまえ。女神召還」

 何も起らない。生きた魚を神官に持ってきてもらう。

 ガラスの丸い水槽に入った金魚のような魚を神官が持ってきた。

 「完全呪殺」

 金魚が動きを止めて、浮かび上がる。

 「リザレクションをかけてください」

 「世の理を覆せ、リザレクション」

 ミーレが手をかざすが、魚は生き返らない。

 「リザレクション」

 悠が手をかざすと魚は元気に動き出す。

 「完全呪殺」

 悠はミーレにマジックポーションを渡し、数回、リザレクションをかけてもらう。

 ミーレはしぶしぶリザレクションをかけるが魚は生き返らなかった。

 悠がリザレクションをかけると魚は動き出す。

 「完全呪殺」

 「金魚がかわいそうにゃん」

 悠は、リザレクションをかける。魚は動かない。もう一度、リザレクションをかける。魚が元気に動き出した。

 ミールは神官を呼ぶと魚を片付けさせた。

 「何回も殺すのは可哀想そうだにゃん」

 悠は眩暈がしたが、マジックポーションを飲まずに瞑想して魔素を身体に取り込む。

 これで、マジックポーション抜きでも魔素切れを回復できるようになった。

 数分後、魔力が回復するとミールを連れて禁書庫に転移した。

 悠は禁書庫で待っていたアルベルト3世に詫び、禁書を返す。

 禁書庫を出ると、宮廷魔法団長に教えてもらった魔法の中で使えそうなものを試してみる。

 「空間収納」

 空間を捻じ曲げて、収納庫として使う魔法である。

 「転移魔法が奇跡の魔法の1つですので・・・」

 宮廷魔法団長が苦笑する。

 転移魔法を使えるのなら、異空間の中に自分の収納庫を作れるはずですとやり方を教えてくれた。

 魔法団長でも、数メートル四方の空間しか維持できないという。

 悠は、ためしに10キロ四方の空間をイメージしてみる。かなり広い空間が出来上がった。

 魔法団長にお礼を言って、ルベリアとサルトと合流して王宮を出た。ミールは神殿に帰っていく。

 宿屋に戻る最中に、生きた鶏を買って空間収納の中に入れておいた。

 空間収納は、空間収納1、空間収納2と複数の空間を作ることが出来た。

 それから、ギルドに行くと、怪我人の確認をして、怪我をしている冒険者達にヒールをかけた。

 「社蓄大賢者様、ありがとうございます」

 悠は、感謝する冒険者達に囲まれる。ギルド長がやってくる。

 「おい、大賢者様。冒険者に試させたが、回復薬もマジックポーションも万能薬もギルドで売っている製品より効果が高いぞ」

 「ありがとうございます」

 

 今日は、ルベリアとサルトと宿屋の食堂で久しぶりに夕食をとる。

 「お疲れ様、社蓄大賢者様」

 親しげに何人かの冒険者が悠達に話しかけてくる。

 寝ている間に、意識がなくなると収納庫の中はどうなるのか実験したかったので、水の入った樽や食事、水槽に入った魚を入れてその晩は寝てみた。

 

 翌朝、目を覚ますと空間の中の水や食事は無事だった。収納3に入れておいた鶏も元気に生きている。

 水を魔法で温めてお湯にして、数時間、空間収納に入れておいた。お湯はお湯である。

 ルベリアとサルトを連れて、3人でギルドに行くと、薬瓶を3千本購入した。

 「頼むから、薬草を刈りつくすなよ」

 ギルド長が青い顔をして悠に懇願した

 昨日、役に立ちそうな魔法をいくつか習った。ルベリアとサルトにはギルドで留守番を頼み、悠は一人で薬草採取に出かける。

 まず、探知魔法の精度アップである。

 ぼんやりとしか魔獣や薬草がわからなかったが、探知魔法を使うと魔獣の種類や数、場所が正確にわかった。薬草も知識がある薬草はどこに何本ぐらい生えているかがわかった。

 そして、自分以外の物体の転移魔法。ミールの部屋に手紙を転送してみる。

 「この手紙が届いていたら、返事を書いて机の上に置いておいてください」

 「ラブレターありがとうにゃん」

 王都から離れ、冒険者を探知できない山奥に飛んで行き、回復薬、マジックポーション、万能薬の原料を転移させ収納庫に入れていく。種類別に回復薬の原料、マジックポーションの原料、万能薬の原料と収納庫をわける。そして、他の冒険者達のために生えている分の4分の1だけ原料を収穫した。

空を飛ぶ時の負担になるので、今日はルベリアとサルトには、王都で留守番をしてもらっている。多少、駄々をこねられたが宿屋で待機してくれている。

 物質の転移魔法も慣れてくると、収穫がはかどる。途中で、魔獣の気配を探知したが襲ってこない限りは無視して、薬草を集めた。


 3時間ほど飛んで薬草を集めまくってから、草原に降りると、回復薬を作る。

まず、転移魔法で薬草の成分だけ分離する。次に、分離した原液を収納庫の回復薬原液、マジックポーション原液、万能薬原液に分類する。それから、1千本ずつ、魔法で作った水に入れ完成品を収納庫に入れる。原液はまだ1万本分は残っている。刈りすぎたか?

道具屋で買った小さなメモ帳に、「回復薬の原料、マジックポーションの原料、万能薬の原料、回復薬の原液、マジックポーションの原液、万能薬の原液、瓶詰めした回復薬千本本、瓶詰めしたマジックポーション千本、瓶詰めした万能薬千本」とペンで書く。

収納庫は、悠が忘れてしまうとどこに何があるのかわからなくなる。無限に収納庫は増やせそうだったが、そうすると何をどこに保管したかわからなくなる可能性があるのでメモをこまめに取ることにした。


 悠は、昼過ぎに王都のギルドに転移して、ギルド長に回復薬とマジックポーション、万能薬を売りに行った。

 「回復薬は1本6千ソフィア、マジックポーションは3万ソフィア、万能薬は12万ソフィア、売値の60%で買い取る。それで何本あるんだ」

 ギルド長が怯えた顔で聞いた。

 「それぞれ1千本ずつで、合計3千本ですね」

 悠は、透明な液体の入った瓶を空間から取り出す。

 「収納魔法も覚えたのか?」

 「ええ、味付けの素と色素も売ってくれませんか?3千本全部に味と色をつけて納品しますよ」

 「手数料に入っているから、色素と味付けの素はギルドの作業場から持っていけばいい。ただ、大賢者様。ギルドでも薬屋や魔法使いに回復薬やマジックポーションを作らせている。何万本も納品されると職を失う奴が出てくるから、それは注意して欲しい」

 「そうですね、気をつけましょう」

 悠はギルド長の案内でギルドの調剤部に行った。10名ほどの職員が白衣や魔術師のローブを着て、 薬草から原液を抽出していた。

 色素と味付けの素を貰うと、収納庫の瓶の中に転移させ、味と色を一瞬でつけると3千本を納品する。

 ギルド長は、それぞれ10本ずつ薬を抜き取る。

 「検査してくれ」

 30本を職員に渡す。

 「夕方までに確認をしておく。お金は確認が終わったら支払うよ」

 悠は、ルベリアとサルトを誘って、夕方まで街を彷徨ってみる。

 広場には屋台が出ていた。雰囲気は、欧州というよりも東南アジアみたいだなあと屋台を見て回る。

 「アクセサリーも売っているんですね」

 昨日、今日と悠に置き去りにされたルベリアとサルトは顔には表さないが不機嫌である。

 「ウサギとネコですか」

 悠はウサギとネコが彫られたブローチを手にする。

 「1個5千ソフィアですよ、大賢者様」

 ウサギを3個、ネコを2個手に取ると、屋台の売り子に料金を支払い、ルベリアとサルトに1個ずつ手渡した。

 「ありがとうにゃん」

 「嬉しいピョン」

 笑顔が戻った二人に告げる。


 「明日には、勇者討伐に旅立ちましょう」

 散歩がてら3人で屋台を見て、それからギルドに戻る。

 「ポーションは、本物だったよ、1億5千6百万ソフィアだ」

 ギルド長が皮袋に山詰めの金貨をカウンターに積み上げた。

 悠は、報酬を受け取ると収納庫にお金に入れる。

 ルベリアとサルトを連れて防具屋に行くと、ミスリルのローブを3着、ミスリルの鎧を1つ買った。

 「サイズは自動調整です」

 店主は、金貨を測りに乗せて数える。

 2500枚も数えるのは大変だよなと納得する。

 それから、ミール神殿に行き、ネルランド諸国連合のハーレム討伐に1人ついて来て欲しいとお願いをした。

 「今回は、マーレ大神官にお願いするにゃん」

 ミール法皇がそう言うと、マーレは嬉しそうである。

 「これ、良かったら着てください」

 ミスリルのローブをマーレに渡すと、じっと悠の顔をミール法皇とメール大神官が凝視し続ける。

 「今度、差し上げますから」

 「悪いから気を使わなくていいにゃん、でも、貰っておくにゃん」

 ミールとマーレ、メールにもウサギとネコのブローチを1個ずつ渡した。

 「これは、愛の告白にゃ?」

 「いよいよ、ハーレムを作る気になったぴょん?」

 悠はため息をつく。

 「では、明日、マーレ大神官をお迎えに参ります」

 そう伝えると悠は、ルベリアとサルトを連れて、宿屋に戻る。

 夕食を3人でとると、部屋に戻る。

 悠は目を閉じた。地球では国会待機中か・・・。書類と戦うか魔獣と戦うか?の違いか。いや、勇者やハーレムと戦っているんだった。

 そして、すぐに悠は眠りについた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ