11.ギルドでも嫌われる日本からの転生者の俺
「お金がないんだよね」
転生者が勇者をやっているということは、自分にもスキルがあるのかな?
「冒険者ギルドみたいなものがありますか?」
「ギルドは、平民街にあるにゃん。行くにゃんか?」
「魔力があるかないかとか、そういうのはどうやって確かめるんですか?」
「魔法は、魔術学院で習って覚えるにゃ」
「能力は、ギルドや神殿で鑑定できるぴょん」
ソフィアがチート能力は地球での能力と関係があるといっていた。ニートがそれほど体力があるとは思えない。悠も体力はそれほどないが、もしチートスキルがなければ、行政学院で雇ってもらって政治学でも教えようと冒険者ギルドに行くことにした。
貴族街を出ると人通りが増える。そうかフリージア神殿は、貴族街にあったから人通りが少ないように見えたのか。
屋台や酒場もある。3階建ての石造りの集合住宅もある。地震が少ないのかな。
近衛兵がギルドまで案内してくれた。ギルドはレンガ造りの3階建ての建物の中にあった。受付には、数名の女性が座っている。
「ギルドの登録の仕方がわかる人?」
「私は神殿で聖騎士になったぴょん」
「私も宮廷魔術師だにゃん」
仕方がない、受付で聞こう。
「すいません、冒険者ギルドに登録したいんですが、どうしたらいいでしょうか?」
悠やルベリア達の服装から貴族というのはわかったらしい。
「少々お待ちください」
受付譲に案内されて、ギルド長室に案内される。
40代ぐらいの筋肉質の男が現れた。
「転生者かね?」
「そんなものです」
ギルド長は露骨に嫌な顔をした。
「1万ソフィアを支払って、魔法石で能力値を調べて冒険者登録をする。あとは、ギルドの依頼をこなせば、冒険者ランクが上がる」
お金がない。
「誰か、お金を持っている人?」
近衛兵とルベリアが首を振る。
「自分達で買い物をすることはないにゃん」
そうか、ここにいるのは全員貴族か。
「神殿に行って、1万ソフィアをミール法皇様に借りてきてもらえますか?」
近衛兵に頼む。
「転生者は、神殿で鑑定してもらう。神殿なら無料で鑑定してくれるよ。俺が立て替えるから、冒険者登録をしたらなるべく早く街から出て行ってくれないかな」
「無礼だぴょん。この方は」
サルトをなだめる。
相当、嫌われているな、転生者は。
「なるべく早くお金はお返ししますから、鑑定と登録をお願いできますか」
ギルド長は職員に魔法石を運ばせる。
悠は魔法石に手をかざす。
「知力140、魔力140、体力90、剣90、運、測定不可能。スキル、ソフィアの手(転生者の能力封印)、ランク測定不可能」
ギルド長は驚いた顔で悠を見る。
「あんたは、調停者様か?」
「ソフィア様も調停者、調停者というんですが、調停者って何ですか?」
「女神フリージアは気まぐれだ。異世界からトラブルメーカーを連れてくる。異世界のトラブルメーカー達を封印するために大精霊ソフィア様が異世界から直々に召還した者を調停者と呼ぶんだ」
「それで、ギルドには登録できるんですか?」
「ほれ、フリーパスの登録証だ」
「冒険者には、A、B、C、D、Eの5ランクがある。依頼を受けてランクを上げていくんだが、調停者の仕事は転生者の取り締まりだ。だから、どのランクの依頼でも受けられるようにフリーパスの登録証を渡している」
「魔法が使えたりするんですか?」
「魔法は覚えなければ使えない。魔法を覚える前にお供の子等に戦って貰った方がいいだろうよ」
「残りの人達の能力も鑑定してもらえますか?」
「いいぜ」
「じゃあ、ルベリアから測るにゃ」
ルベリアが魔法石に手をかざすと、
「知力150、魔力150、体力120、剣技120、運130、宮廷魔術師2級、Bランクと出た」
サルトが手をかざすと、
「知力120、魔力120、体力150、剣技150、運120、聖騎士とBランクと出た」
そうかルベリアより知力が低いのか。悠達3人は、冒険者登録をすると、壁に貼られた依頼書を見る。
10万ソフィア、魔獣討伐、狼型魔獣(Dランク)
50万ソフィア、魔獣討伐、中型スライム(Cランク)
100万ソフィア、魔獣討伐、大蛇魔獣(Bランク)
100億ソフィア、ドラゴン捕獲(Sランク)
「この中で、魔獣と戦ったことがある人いますか?」
全員が手を挙げる。
「皆さん、どれくらいの魔物までなら倒せるんですか?」
「武装して戦えば、3人でBランクかCランクぐらいだにゃん」
「武装しているのは近衛兵だけか」
外はだいぶ暗い。
「とりあえず、登録料と宿代が必要ですから狼型魔獣を狩りにいきましょう」
近衛兵が真っ青になる。
「悠様、城外に出るのであれば近衛師団が警備しますのでお待ちいただけませんか?」
「いいですよ、そんな大名行列みたいなことをしなくても」
「ルベリアとサルトは武器や防具はありますか」
体操服にブルマ姿のルベリアとメイド姿のサルトに尋ねる。サルトは剣を持ってきている。
「私達は服が魔道具ですから防具になっているぴょん」
2人が安全ならそれでいい。もし、悠が死んだら地球に転送されるだろうと城外に続く門まで歩く。
南門はすでに閉まっていたが、近衛兵がいるので通してくれた。
30分ほど歩くと森がある。
「魔物ってどこにいるんですかね?」
「それより、悠にゃんはどうやって戦うにゃ?」
「ルベリアさん、魔法は呪文を唱えて使うんですか?何かと契約が必要ですか?」
「この世界にある魔素を魔力に変換して使うにゃ」
「魔素を変換して使うんですね」
森の中から、2匹の狼が飛び出してきた。近衛兵達は剣を構える。
悠は狼型魔獣が炎に焼かれて消える姿をイメージする。
サルトが剣を構える。ルベリアが魔法の詠唱をはじめる。
その目の前で、2匹の狼は一瞬で炎で焼かれて消えた。
驚くルベリア達に悠は説明する。
「魔素エネルギーが身体の中や大気の中にあるならイメージすれば使えるんですよ。あるいは、神や大精霊と契約が必要なら、大精霊に召還されている私は魔法が使えるかなと」
「悠にゃんはすごいにゃん。ただ、魔獣は討伐した証拠の魔石を持っていかないと賞金はもらえないと思うにゃん」
「丸焼けで、何も残りませんでしたね」
悠は反省した。
「魔法が使えるということは」
悠は、自分とルベリア、サルトの3人が浮かび上がる姿をイメージする。
3人の身体が空中に浮かび上がる。
「浮遊魔法も使えるにゃん?」
300メートルほど上空に浮かび上がると森の中に嫌な雰囲気がするのがわかる。ゆっくりとその嫌な影に近寄っていく。
大蛇だった。悠は、大蛇の首が切れている姿をイメージする。
今度は上手く、首だけを切り落とすことが出来た。
そうやって嫌な影があるところに飛んで行き、狼や猪、大蛇の魔獣を10体ほど狩ると死体を浮かせて近衛兵達のところに戻る。
近衛兵達を回収すると王都まで飛んで行き、門から中に入った。
門の警備兵に荷車を借りると、魔獣の死体を乗せてギルドまで運んでいく。
受付譲は、顔を引きつらせると、何も言わずに魔獣を買い取ってくれた。
全部で、大蛇3体、狼3体、猪4体、全部で370万ソフィアの賞金が出た。
3万ソフィアをギルド長に返すと、近くの宿屋に入る。1泊1人1万ソフィアで、3人分の部屋を借りた。




