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縲朱ェク縲?髮??上→縺?≧逕キ


 「持っとけ」

 

 また雷さんから飴をもらった。もちろん苺味。


 「まず始めに、お前は人間じゃない」

 

 あまり驚かなかった。むしろ答えが見つかったようにスッキリした感覚さえあった。

 

 「妖怪、とかですかね」

 

 二人の顔色を伺いながら冗談半分に言ってみる。


 




 「そうだ」





 雷さんが口を開くまでに少しの沈黙があった。

 一発で言い当てたことに驚いたのだろうか。

 「俺とこいつも妖怪だ」

 雷さんは自分を指した後に雷さんから見て斜め右にいる吉田さんを指した。

 

 「雷さんは、雷獣ですか」

 「そう、だけど。何で分かった?」


 雷さんはグイっと僕の方へ身を乗り出してくる。

 

 「名前から、そうかなって」

 

 雷さんから逃げるようにソファの背もたれの方へと身体を引いた。


 「確かに、分かりやすいな」


 雷さんは肩を落として乗り出していた身をひっこめた。

 欲しかった答えと僕の答えが違ったのだろう。


 「吉田さんは、何の妖怪なんですか」

 「私は天狗」

 

 「全く妖怪を知らない僕でも聞いたことあります」

 「それで、僕は何の妖怪なんですか」

 

 「九尾の狐」


 「僕が、九尾の狐?」

 

 九尾の狐も知っている。色々な作品に出てくる妖怪だ。



 「そう、しかもかなり位の高い」

  

 すんなりと「僕は九尾の狐なんですね」なんて信じられる筈がなかった。


 けれど、簡単に嘘だと決めつける事も出来ない。自分の常識を超える出来事を体験してしまったのだから。

 

 「まあ、信じられないよな、取り敢えず握手しよう」


 「今、ですか」


 戸惑いながら手をテーブルの上に出して雷さんと握手をする。

 そろそろ手を離そうと手を引いたとき。


 「痛い痛い!!」


 ビリっという音と共に身体に痛みが駆け巡る。


 「今お前の身体に電流を流した。これで信じるだろ」


 確かに、今のは静電気では無かったし本当に雷獣なのだろうか。


 「それと、妖怪は人間に比べて治癒能力が格段に高い。お前が死ななかったのもこれで説明できる」

  

 確かに、それで説明がつく。僕は無意識に吉田さんを見る。


 「吉田さん、信じていいんでしょうか、雷さんの言うこと」


 信じざるを得ない事は分かっている。


 「はい。雷さんの言っていることは全て事実です」


 「これで信じてもらえるでしょうか」


 吉田さんは左手を身体の前に伸ばして掌を僕の前に置かれているカップに向けた。


 次の瞬間、置かれていたカップがのテーブルの上から十センチほど浮かんだ。


 「どうです?」


 「信じます」


 色々とあり得ないことが起こっていて、流石に信じるしかない。


 「吉田さん、もう大丈夫です」

 「あ、すまない」

 

 吉田さんが手を引っこめるとカップもテーブルに上に下りた。


 「お二人と僕が妖怪だっていうのは理解できました、けど。そもそもどうして僕は殺されなきゃいけなかったんです?それに雷さんは何故あの場に居たんですか。吉田さんも。あと僕を殺した人が僕のこと『こいつほんまに○○なのか』って言ってたんですけど、この○○の部分が聞き取れなくて、殺されたことと関係あることなんですか」


 矢継ぎ早に質問する。僕が『○○』と言った瞬間に吉田さんと雷さんが顔を見合わせたのを僕は見逃さなかった。


 「関係あるんですね、僕が殺されたことと。教えてください。もう何言われても多少のことなら動じません」


 真っすぐと二人を見る。少しの沈黙の末に雷さんが口を開いた。


 「分かった。先ずは何故俺たちがあの場に居たか、だ。

俺はお前を殺そうとしている奴が居ることを知っていた。そいつの後を付けたらあそこに着いたって訳よ」


 「私は、悠斗さんの血の匂いが風に乗って来たので、風の声を聴いて駆けつけました。天狗は風の声を聞くことが出来るので」


 「雷さんは、僕が殺されるって分かってたのに助けてくれなかったって事、ですよね」


 別に責めている訳じゃない。ただ聞きたかった、雷さんの答えを。

 

 「それは違う、お前を護る為だ」


 「どうして見殺すことが僕を護ることになるんです」


 「先ず、その男が言っていた『○○』は多分『鬪ク縲?髮』だろ。人間語に直すと『骸 雅』(むくろ みやび)になる」


 「その、『骸 雅』(むくろ みやび)って誰かの名前ですか」


 なるほど、聞き取れなかったのは人間の言語じゃないからか。


 「ほんと、なんも覚えてないんだな。お前の名前だよ」



 渇いた笑い交じりに雷さんは言った。その顔はどこか寂しそうに僕には見えた。



 「悠斗さんは、簡単に言うと命を狙われているんですよ」


 「お前を殺した男はおそらく雇われた殺し屋だろう。雇い主は恐らくだが彼奴等だろう。話を戻すと、あそこで助けに入ればお前が『雅様』だとバレる可能性があったから、見殺しにした」


 「なんで、僕を助けるとバレる可能性があると思ったんですか」


 「『雅在る所に天城あり』って言われるほどだからな。雅様が居る所には必ず俺が居るって妖なら誰もが知ってる事だ。これを雇い主の彼奴等が知らないはずが無い。多分殺し屋にも伝えてたぜ。それを踏まえて俺がお前を助ければ殺し屋はお前が『骸 雅』だと確信して、彼奴等に連絡する危険性があった」


 「しかもお前程の妖怪なら、殺されても死なねえし見殺しても問題なかったって訳よ」


 「恐らく、殺し屋は一回殺して死ななかったら悠斗さんの身柄を引き渡せと命令されていたのでしょう。ですが殺し屋は悠斗さんが気絶した事を死んだと勘違いして、そのまま雇い主に報告した。

死んだかどうかきちんと確認しないアホで良かったです」

 

  「ほんと、アホで助かったわ」


 吉田さんと雷さんが額に手を当てて溜息を吐く。


 

 


 

 


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