決意、そして再出発
「吉田さん、話してくれて、ありがとうございます。これで、僕達は本当の仲間になれましたよね?」
吉田さんは、最初は僕を殺そうとして近づいてきたとしても、結果、僕を殺さなかった。それに、吉田さんは何も分からない僕に手を差し伸べてくれた。それだけで、吉田さんが悪い人じゃないって分かる。
「お前、俺たちに助けてほしかったんだろ、だからあの時、わざとボロ出した、違うかよ」
意外だった。雷さんは僕の言葉に反論するかと思っていた。雷さんはベッドに座りなおして真剣な面持ちで吉田さんを見ている。
「そうかもしれません、貴方たちを裏切っておいて、助けてほしかったなんて、おこがましいですよね」
吉田さんは、肩を落として、力なく、小さい笑いを零した。
「悠斗の家で、俺と悠斗、金茶を眠らせる前に普通の妖なら知り得ない情報出したのが、なによりの証拠だろ。意味もなく、ボロ出すような奴じゃないだろ……そんなにお前の事知らないけどな」
雷さんの言う通りだと思った。
「少しでも、カッコつけたかったのですが、もう必要ないみたいですね。みなさんを眠らせた後、私は一人であの方の所へ行き、弟を殺された恨みを果たすつもりでした。ですが、やはり私如きがあの方に勝てる筈がなかった。傷一つ付けることが出来ませんでした。
そして、返り討ちに遭いました。雷さんの言う通り、助けて欲しくてわざとボロを出したのかもしれません」
吉田さんが、あの時僕たちを眠らせたのは、僕たちを巻き込まずに全てを終わらせたかったから、だろうか。
僕が意識を手放す直前に聞こえた吉田さんの声が震えていた理由が今分かった。
それにしても、なんで僕と雷さんは、目が覚めると妖界にいたのだろうか。
話を聞いていると、僕たちを移動させたのは、吉田さんではない事が分かる。そして、何故金茶だけ居なかったのだろうか。
「恐らく、悠斗さんと雷さんをこちら(妖界)へ連れて来たのは、あの方でしょう。金茶さんが連れてこられなかったのは……普通の猫だと思われたからではないでしょうか」
吉田さんは、僕の疑問に答えてくれた。心を読まれたのか。
吉田さんを見たら、微かに微笑んでいた。
これは……どっちだ。
「全く、私は立派な妖怪なのに、只の猫だと思われたなんて、雅様の兄上の目は節穴じゃないんですかね?」
金茶は不服そうな顔をしている。
金茶には申し訳ないが、分かる気がする。僕も金茶が言葉を操っていなければ、ただの猫だと思っていたかもしれない。
「それで、俺に助けを求めて来たってわけだ。雷は勿論気づいてたと思うが、お前たちを此処まで転移させたのは俺。金茶から聞いて直ぐに我骸邸に駆け付けたら、思ったより事態が深刻そうで凄く焦ったな……雷とそこの客人は潰れてるし、なんか雅は兄貴の事平手打ちしてるし……まあ、お前達が無事でよかった」
「ねえ、源十、みんなの無事を噛みしめてるところ悪いけれど、私、全く話の流れが掴めないのだけれど」
「源十、わたくしも、何が起こったのか分かりません」
童と癒麻さんを置いて、勝手に話を進めて、終わらせてしまっていた。
「雷、お前が話してくれ」
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雷さんが、童と癒麻さんに今までの流れを説明し終えた。
「吉田さんだっけ、話聞いた限り、悪い奴じゃないわね。雅様もそう思うでしょ」
「わたくしも、吉田様が悪いお方だとは思えません」
僕は二人の言葉に頷いた。二人の言う通りだと思う。
「吉田さん、僕たちと一緒に来てくれませんか。僕たちには共通の敵がいる、それだけで十分じゃないですか」
雷さんは、僕の言葉に頷いてくれた。源十さんも、金茶も、童も癒麻さんも。
「……ありがとうございます。悠斗さん、貴方の為に、あの方を殺すために、この身捧げます」
再び、吉田さんに手を差し出した。
吉田さんは、僕の手を取った。
「あ」




