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第23話「再び王都へ④」

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 ダンとスオメタルは王都の情報屋ジャンの家……

 隠れ家に居た。


 スオメタルとジャンは初対面だ。


 当然ながら、ダンは紹介する事にした。


「ジャンは初めてだったな。この子はスオメタル、俺のパートナーだ」


「ほう、パートナーか」


 ジャンはシルバープラチナ髪の美少女を一瞥すると、僅かに微笑んだ。


 しかし、スオメタルは即座にびっと手を挙げた。

 きっぱりと言い放つ。


「マスター、パートナー違うでございます。スオメタルはマスターの妻、でございますよ」


 個人差はあるが……

 スオメタルは己の立ち位置と名称をはっきりしたいタイプらしい。


 ただ、いずれスオメタルが妻になるのは……

 お互いに認め合う厳然たる事実。

 なので、ダンも反論する気はなかった。


「お、おう! だったな、訂正する。俺の妻スオメタルだ」


 はっきり言い切ったダンの言葉を聞き、スオメタルは大いに満足したようだ。

 改めて自ら、名乗る。


「初めまして、ジャン殿。ダン・シリウスの妻スオメタルでございます」


「あ、ああ、俺はファザーガットのジャンだ」


「……ファザーガットとは、妖精猫《ケット・シー》の王……でございますね」


 スオメタルの言う通り、ファザーガットとは、

 妖精猫《ケット・シー》の王を指す呼称だ。


 補足しておくと……

 妖精猫《ケット・シー》とは、人語を喋り、二本足で歩く猫である。


 文字通り、種族は妖精族。

 変身を得意とする者も居る。

 外見は一般的な猫と殆ど変わらないので、識別しにくい。


「ふっ、良く知ってるな。まあ宜しく頼まあ、スオメタルちゃん」


 ジャンは少し話すと馴れ馴れしく、否、フレンドリーになるらしい。


「妖精の事は、いろいろ学びましたでございます」


「へぇ、そうかい」


「念の為、ひと言申し上げます」


「何だい、スオメタルちゃん」


「……貴方の言う《ちゃん》の呼称は微妙ではございます。が、一応、良しと致しましょう。……ジャン殿、こちらこそ宜しくお願い致します」


 ちょっとだけ、引っ掛かりはあったが……

 あいさつは無事済んだ。

 と、なれば早々に用事も済ますのが賢明である。


「よっし、ジャン。お互い時間がないだろうから、早速頼む」


 ダンはジャンに対し、世界各地に点在するガルドルドの遺跡調査を依頼していた。

 ドヴェルグのオルヴォ程深い付き合いではないので、スオメタルの真の身体の事を伝えてはいない。


「うし! お前から依頼のあったガルドルド遺跡が新たに3か所発見された」


「……朗報だな」


 新たな遺跡は、まだダンとスオメタルのチェックが入っていない場所だ。

 探し物が見つかる可能性が多少は上がる。


 と、ここでジャンが衝撃の発言を。


「それとだな、補足しておくと……1か所は魔導工学の研究所だそうだ」


「……了解」


 しかし、ダンは努めて冷静さを保つ。

 厳しい訓練を経て、このような場合に魔力が乱れないように心の均衡を保つ事が出来た。


 しかしスオメタルの波動に驚きの感情が見られたようだ。

そんな些細な変化もジャンは見逃さなかった。


「……スオメタルちゃんの波動に一瞬乱れがあったが、魔導工学の研究所に何かあるのか?」


「そうか……特にないが」


「…………」


 ジャンは余計な追及をして来なかった。


 ダンもスオメタルも表情を変えず、もう魔力に変化はない。

 ジャンは机の引き出しを開けると、

 3枚の地図と報告書をセットにし、ズラリと並べた。


「まあ、良い。これが地図と報告書だ」


「ありがたい、いつも仕事が速いな」


「当たり前だ。それが売りだからな」


「助かる! これが金だ。ちょっと色を付けた、金貨500枚だ」


 未発見の遺跡1か所につき、金貨150枚が約束した金額である。

 但しダンは、今後の事も考え、若干金額を上乗せしていた。


「毎度! お前が紳士的な奴で良かったよ。俺の心を読めるお前がちゃんと金を払って情報を買う。邪悪な奴ならそうはいかん」


「いやいや、オベロン様との兼ね合いもあるし、無茶は出来んよ」


「ふっ、そのオベロン様、そしてティターニア様ご夫婦を救ってくれたお前は妖精族全員の大が付く恩人だ。オベロン様からは何かあれば、全面協力するように言われてる。本来は金も受け取れんくらいだ」


 ダンはドヴェルグ族だけでなく、妖精族も救ったらしい。

 しかし、いつもの通り、功をひけらかす様子はなかった。


「ふっ、それはそれ、これはこれだよ。ところで、ここから直で転移し、帰って構わないか?」


 ダンが転移魔法の「直帰」可否を尋ねると、

 またまたジャンから意外な発言が。


「ああ、構わん! そうだ、今度お前の家へ遊びに行っても良いか? ウチの娘がお前に憧れててな。念話で連絡するから、宜しくな」


「おいおい、構わんが、魔境は、この街と違って、な~んも無いぞ」


「何も無い? ふっ、そんな事はない。俺達猫族は犬コロほどではないが、相当鼻が利く。お前とスオメタルちゃんの身体から、美味そうな魚の匂いがする」


 よく見るとジャンは鼻をひくひくさせていた。

 鼻が利くのは本当らしい。


 ここでスオメタルがフォロー。


「ああ、それは鱒でございます。この前いろいろ料理、作ったでございますから」


「お~! 鱒か! そりゃ、美味そうだ!」


「丸々太った鱒でございます。スオメタルは生まれて初めて食べましたが、即マイフェイバリットの端に加えました。超美味しいでございますよ」


「即マイフェィバリットで超美味しいか! ははははは、スオメタルちゃん、最高だな!」


 話は盛り上がり、若干予定の時間は過ぎたが……

 ダンとスオメタルは満足して、情報屋ジャンの隠れ家から引き揚げたのである。

いつもご愛読頂きありがとうございます。

※当作品は皆様のご愛読と応援をモチベーションとして執筆しております。

宜しければ、下方にあるブックマーク及び、

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東導号の各作品を宜しくお願い致します。


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