25話
おおよその計画だけど今年中に一章くらいは終わらしたい。
そしたら幕間ちょっとだけ書きつつ二章に入ってヒロインが出る。
完璧な計画だぜ。
朝っぱらから清涼感に包まれたクレハとトータであったが、まずは迷宮に潜るための準備を整える。
つまり買い出しである。
まずは保存食。
兎の肉を持ち回るのもいいが、恐らく奥まで行って戻ると一日は経っているだろう。
第一レベリングの為にある程度篭るつもりなので──
「パンとチーズだな」
黒パン一つ270リル。
割と大きいので損をしている気分にはならなかった。
チーズは50グラムで250リル。
トータは干し肉が良かったようだが一切れ420リルもしていたので諦めた。
黒パン二つ、チーズ50グラムで合計790リルの買い物。
食料はこのくらいだろう。
次にトータが見付けていた雑貨屋に向かう。
目当ては灯り。
あの手作り松明では迷宮の奥へは行けないだろう。
「……何だこれ」
一見ランタンなのだが明かりを灯すべき場所には見覚えのある結晶──魔晶が填まっていた。
「そりゃ魔法の提燈だ」
店主によると、この魔晶を燃料にして、刻み込んだ術式を発動する魔道具らしい。
「このサイズの魔晶なら丸一日は持つぞ」
摘まめる程度の大きさの魔晶。
迷宮で手に入れた物よりも大きいが──
(迷宮の魔晶一つでも半日は持ちそう……)
ちなみにお値段は3万2000リル。
かなり高価な代物である。
「おぉー!なにこれ良いじゃん!」
トータは気に入った様子。
燃料である魔晶が現地調達できる点も魅力的だったので買うことにした。
加えて金属製のコップを購入。
流石にそろそろ手飲みは避けたい。
一つ750リルなので、二つ買って1500リル。
「門前で集合な」
ここでトータとは一旦別行動。
トータは武器屋その他へ行ってちょっとしたナイフと何かしら荷物を運べる物を買う。
クレハ(とアルフェ)は魔法屋婆さんの所へ。
「変なもん買うなよ」
「えー……」
金欠だというのにこんな様子のトータに任せるのは些か不安──最早不安しかないが魔法屋婆さんとのコネクションがあるのはクレハだけである。
(……また怒られるのかぁ……)
恐らくアルフェをほっぽって単独行動させた事についてだろう。
半分、どうしようもないと思うのだが。
かといってどうやって弁明したものか、と考えながらある裏路地の前に差し掛かろうとしたその時。
路地から人が出てきた。
「──ぅおっ」
「おうっ!?」
当然ぶつかる。
尻餅をつくクレハ。
「──っと、ごめん!大丈夫?」
「すまん。大丈夫だ」
「いや、今のは僕が悪かったよ。ごめんね」
路地から出てきたのはフードを目深に被った──多分少年。
白い髪と、チラッとだけ金色の瞳が見えた。
(NPCか……)
などと思いつつ尻を払いながら立ち上がる。
少年はクレハが問題なさそうな事を見留めると──
「いや、ホントごめんね!じゃ!!」
──と言い残してそそくさと駆けていった。
『……大丈夫か?』
ぴょこっとポーチから顔を出すアルフェ。
「大丈夫。それより隠れてろ」
『あーいよ』
アルフェがしっかり引っ込んだ事を確認してまた歩き出した。
「こんちわー」
『婆ちゃん来たぞー』
店内に入ると奥から魔法屋婆さんが出てくる。
「来たかい。このバカモンどもが……」
と言いつつ婆さんは何やらシャーレのような物を取り出す。
「あんだけ言い聞かせたってのに危機感の欠片も無いってのかい……アンタらの神経の太巻き具合にゃいっそ感心するさね」
怒りを通り越して呆れ、といった様子であった。
婆さんは大銀貨とシャーレのような物をカウンターに置く。
「さっさと帰った帰った」
「ありがとうございます」
『また来るな!』
1万リルとシャーレのような物を受け取ると店を出る。
このシャーレのような物──粉々入れとでも称する事になったこれにアルフェの妖精の塵溜め込めば良いのだろう。
(──トータがマトモな買い物してくれてると良いんだが)
「オッス!どだった?」
門前のトータと合流。
「ふふん」
クレハは大銀貨を光らせて応じる。
なぜクレハがドヤ顔なのだろうか。
「おっほー!銀貨銀貨!」
「いやいや、アルフェ様々ですな」
「ゲヘヘ、わてらガッポガポですぜ」
『……やっぱりコイツらに頼ったの間違いだったカモ……』
とは言いつつも、アルフェが落とせる妖精の塵の量にも限度という物がある。
安定的な収入源ではあるが──他プレイヤーと差を付ける為、サボっては居られない。
「そっちは?」
「おう!まずナイフ!こちらお値段5500リルになります」
色々使う為のちっこいナイフ。
主にパンやらを切り分ける用になる筈だ。
「そんでこれがカバンで14000」
革製のリュックサック。
「こっちが寝袋!お一つ1万の所今回はお二つ纏めてお買上とのことで合計17000でした!」
既に巻かれた寝袋が二つ。
とはいえ、二つ同時に使うことは無いので一つで良かったかも、と思わなくもなかった。
「変な買い物してくるんじゃないかと不安だったが、案外巧い買い物してきたな」
「失敬な」
そんなこんなで街を出る。
リュックサックはトータ持ち。
ただ、前衛に出る時は荷物を降ろすらしい。
「それ荷物盗まれたりとか……」
『アタシが見張りやるんだって』
このちんちくりんに何が出来るのか……と、思ったが考えてみればアルフェはなかなか凄まじい魔法を使えるのだった。
今まではあくまでも妨害や補助的な魔法しか使っていなかったが──
『殺す魔法はあんま好きじゃないんだけどなー』
当然、攻性魔法も使えるらしい。
「具体的にどんな魔法が使える?」
『え?まあ、吹っ飛ばしたり切ったりするやつとか……でも精霊喚べば大体何でも出来るぞ?』
「……精霊を喚ぶ?」
『うん。人間は肉の身体が有るとか無いとかで別々にしてるみたいだけどアタシらとアイツらって大して変わんないよ?喚べば近場の奴らが来てくれる』
大体何でも出来る、というのが大雑把過ぎて良く分からないが多芸であることには変わり無いだろう。
(……あれ、アルフェってもしかして結構……)
というか戦力的にも金銭的にもこのパーティーに一番貢献してるのではないだろうか。
『あ、でもお前らこれから匣……じゃなくてダンジョン?ってのに入るんだろ?あん中は喚んでも来てくれないかもだから期待するなよな』
「そうか……」
『てかそもそも中の……魔素?……も限られてるかもだからアタシもどれだけ魔法使えるか分かんないし。最悪入った瞬間アタシの魔素まで吸収されちゃうかもだから』
「……え、つまり死ぬってことか?」
『まあ……お前ら風に言うならそう。そん時は入らずに外で待ってるからヨロシク』
「え、えぇ……」
あんな所喜び勇んで入ってくとか人間共やっぱ頭おかしいわー、とアルフェ。
(……先に聞いておけて良かった……)
妖精の常識やら重要なモノはあまりにも人間のソレと違い過ぎる。
どうにも話しぶりからして“死ぬ”という事に対する意識も違うようだし。
「……へー、なんか、よー分からんけど、そーなんだ」
トータは一人置いてけぼりだった。
妖精の塵は人間でいうフケみたいなもん。
ちなみにグラム一万でもかなり買い叩かれてる。
所持アイテム
●トータ Lv,17
片手直剣
紐 いくつか
解毒の丸薬瓶(下級・小) 1
治癒ポーション(下級・小) 2
ちっこいナイフ
●クレハ Lv,18
小剣
紐 いくつか
解毒の丸薬瓶(下級・小) 1
治癒ポーション(下級・小) 2
角兎の毛皮 5
角兎の角 3
粉々入れ
●革の背嚢(トータ背負い)
黒パン(割とデカイ)×2
バター(1ピースくらい?)50g
金属製コップ×2
寝袋(良品ではない)×2
魔法の提燈(燃料既に装填)
●アルフェLv,31
素寒貧
所持金17170




