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24話

俺の頭の中では既に13章くらいまで書いてるんやけどなぁ……

存在する記憶なのに存在しない現実。

8時前、ゲームに再度ログインする。

ゲーム内においては夜中の11時前。

丁度良いから寝るか、と干し草に寝転がると──


『うわ!マジで帰ってきた!?』


と、アルフェ。


『突然消えて突然現れるとか訳分かんなすぎ……』


どうやらログアウト、ログインというのはアルフェから見ればかなり不合理な現象のようだ。


「ちゃんと大人しくしてたか?」


『おう!他の人間には見つかってない!』


「……?」


何か違和感がある言い草だ。


『マチってのを探検する時はちゃんと姿隠してたぞ!!』


その瞬間クレハは起き上がってアルフェをむんずと掴んで詰め寄った。


「言ったよな??見付かったらマジで標本にされるかもって俺言ったよなぁぁぁ??」


『うわぁ!怖い怖い!いや本当に見付かってないって!ちゃんと魔法だって掛けてたし!そもそもアタシちっちゃいし!』


それで隠れた上で魔法屋ババアに見付かったのだが。


「魔法屋の婆さんみたいなのがどれだけ居るか分からんだろ」


『いや、あれは婆ちゃんがヤバいだけだって……マチの人間は見て回ったけど婆ちゃんよりヤバいのなんて居なかったし……』


「……待て。“婆ちゃん”……?お前そんな呼び方してたか……?」


『あ、そうそう!婆ちゃん全然悪い人間じゃなかったぜ!顔怖いけどお菓子くれた!!』


まさかの。

どうやらアルフェは勝手に魔法屋の婆さんの所に行っていたようだ。

頭を抱えるしかないクレハ。


『どしたん?大丈夫?』


「……いや、お前を信じた俺が馬鹿だった」


『え?お前馬鹿だったの?』


「……」


マトモに取り合ってはキリがない。

クレハは諦めの境地に立った。


『いやマジで婆ちゃんに悪い感じ……害意は無かったって!あったらすぐ逃げてくるもん!』


「……害意?……まるで向けられてる害意が分かるような言い草だな」


『え?分かるけど……』


「分かるのか」


『……逆に人間(お前ら)は分かんないの?』


「分かるわけ無い」


どうやら妖精は他者の感情をかなり正確に読み取る事が出来るらしい。

子供は純粋だから妖精が寄ってくるけど大人は邪念が混ざっているから~云々のような物だろうか。


『ちなみに粉々も売ってきたんだけど婆ちゃんはグラム辺りイチマンって言ってたぞ!あとメチャクチャ怒ってた!」


「へー……一万!?」


『あ、イチマンってやっぱ高いのか?』


「……いや、お前が一日に妖精の塵(フェアリー・ダスト)どんだけ出せるかに寄るけど……」


『あんまやると翅がボロボロになるし……溜まったのだけ落としてきたからよく分かんない……』


「……」


次婆さんに怒られに行った時にでも聞くことにして一旦保留である。

それにしても恐るべき値段の高さ。

妖精の塵(フェアリー・ダスト)はクレハが想定していた以上に貴重な品のようだ。


『金は次来た時に渡してやるって婆ちゃんが言ってた』


との事なので、どうせすぐに顔を出す。


「……今日は取り敢えず寝る。明日は買い出しして迷宮(ダンジョン)にでも潜る……」


『人間って寝ないと駄目なんだっけ。本当に難儀な奴ら……』


トータを待つ間もなくクレハは眠りについた。




翌朝。

寝ている間にログインしていたらしい。

ぐがー、と干し草の上で大の字になっているトータを横目にクレハは起きる。


(……そう言えばこのゲーム、汗とか体臭って……)


自分の腕やらをスンスン嗅いでみると……


「……くさい」


大変、臭い。

まさかの体臭まで再現されている。


『……なんで朝っぱらから不機嫌?』


「……身体洗ってないから臭くて……」


『水浴びでもすりゃ良いじゃん〈ほら〉』


その瞬間、クレハの頭上に巨大な水球が形成、バシャーン!と落ちてきた。


「うおお!?」


『そんで〈ほい〉』


更にクレハの周囲に暖風が吹き荒れて物の十数秒で水分が飛んだ。


「……おお……?」


目を白黒させている内に濡れ鼠になって乾いた。


『ふふーん、どうだ?アタシの〈泉の乙女(ニンフ)の水浴び〉は』


「お前便利だなあ」


そう言えばアルフェはあの霧の結界を張る程度には魔法が使える奴なのだ。


「そう言えばお前の魔法って何なんだ?水属性?風属性?」


『え、なにそれ。属性?』


「……?」


『……ああ、アタシの魔法は人間が使ってる魔法じゃないぞ。妖精郷で教えて貰った妖精の魔法だ』


どうも、この世界の魔法は属性魔法だけではないらしい。

アルフェ曰く、術式とかはよく分かんない。何となく教えて貰ったから何となく使える!らしい。

詰まるところ感覚派の極みだ。


「それ、トータにもしてやってくれ。アイツも同じくらい臭いだろうし……」


『分かった!後でやっとく!』


その後、馬小屋にて爆睡していたトータはこれで叩き起こされるのだった。

アルフェの〈泉の乙女(ニンフ)の水浴び〉はただの水をぶっ掛けて全身ドライヤーする魔法じゃないです。

多分浄化みたいな何かが働いてるはず……

じゃないとただの臭い濡れ鼠になるだけやし。

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