22話
12/03 誤字を発見し修正。
12/19 羽→翅に変更
「アンタ本当にその妖精の話を聞いてやるつもりかい」
聞くべき話は聞けたのでお礼を言って帰ろうかとしていた時。
婆さんにそう聞かれた。
「……乗り掛かった船ですし、お金も欲しいので……」
「……そりゃアンタの勝手だがね。妖精ってのは無垢で無邪気だがそれ故に残酷さ。さっきも言ったように悪戯のつもりで害意も悪意もなく人間を“うっかり”殺しちまう」
『アタシは本当にそんなことしないもん!』
「アンタがそう思っててもそうなっちまう事だってあるだろうがい。妖精ってのは根本的にそういう存在なのさ。それにアンタ、小妖精だったね?」
『えっ、う、うん。そうだけど……』
「アンタもアンタで軽々しく人間に関わるもんじゃないよ。アンタ、アタシらの業界で小妖精がどう扱われてるか知ってるのかい?」
『えっ、えっと……良き隣人?』
「アホかい。商品だよ。小妖精の剥製なんかは王都のオークションに出しゃ一千万は堅いね」
『はくせい?オークション?いっせんまん?』
「…………」
アルフェの方は当然ながらピンと来ていない様だが、クレハの方は驚いて声が出なかった。
このちんちくりんが最低一千万である。
「剥製ってのはアンタを殺して、その死体が消える前に魔法で固定して見世物にするってことさね。妖精の身体は固定さえしちまえば腐らないからね」
『ひっ、ヒィッ!?なっ、なんでそんなことするのさ!!』
「そりゃ珍しいからだろうね。人間はそうやって他人に“珍しい物持ってるんだぜ、凄いだろ”って自慢したがるのさ。アンタの剥製なら……そうさね、三千万は行くんじゃないかい?」
『人間ってやっぱ怖いじゃん!!お、おいクレハ!サンゼンマンってヤバイのか!?』
呆然としていたクレハの髪をぐいぐい引っ張ってくる。
「……えっ、あ、ああ。うん。三千万もあれば一軒家が建つな……」
と、少し上の空なクレハに──
『ま、まさかオマエもアタシを剥製ってのにするつもりじゃないだろうな!?』
「いやいやいや!流石にそこまではしない!……多分」
要領を得ないクレハの返答に心胆寒からしめるアルフェ。
そんな二人にお構い無しに婆さんは忠告を続ける。
「後は儀式用に翅だけ引き千切って本体は生かしたままペットにしたり、ソイツの翅から落ちる妖精の塵を集める為に瓶に詰めたりとかかね。どっちにせよ金になる存在に違いはないよ」
何とも悍ましい話ではあるが、納得できる所業ではあった。
「ったく世間知らずの若造共が……ほら、帰った!帰った!これ以上居座るんなら金を落としな!」
婆さんに締め出されたので頭を下げてギルドへ向かうことにした。
冒険者ギルドでの収穫はまずまずであった。
迷宮と森以外にレベル上げの方法はない。
その結論が固まっただけである。
ただ、迷宮に出る魔物や内部の構造に関する情報は得られた。
骸骨の他、洞窟蜥蜴というデカいトカゲ、狗頭人なる立ち上がった犬のような奴、たまに蜥蜴人なる強い奴が彷徨いてることもあるという。
レベルは相手にもよるが25まで。
内部の構造は三本道何処から行っても奥に辿り着くことができ、どの道であっても小部屋三つ目が最奥なのだという。
迷宮の主とやらも居らずただ魔物を垂れ流しているだけの迷宮なのだとか。
(後は森の奥地か……)
恐らくアルフェが元々居た辺りであろう。
そこでなんとかLv,35まで持っていきたい。
それが無理なら……
(次の街か)
より難易度の高いところへ。
『…………』
アルフェはあの後から静かにしている。
恐らくあの話が余程堪えたのだろうが──
(にしたって脅かし方がなぁ)
その関係でギルドにも邪霊樹精の事は喋らなかった。
婆さんのあの反応からして霊樹精が邪霊樹精になる、というのは余程有り得ない事であろう、それを説明するにはアルフェを出さざるを得なくなる。
そうなれば……
(俺らでどうこう出来るのだろうか……)
ある程度対策は思い付いている。
思い付いてはいるが弱気にならざるを得ない。
後でトータにもアルフェについて教えておかなければならない。
そう思ってげんなりするクレハであった。
今かなり筆がノってる。




