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21話

2024/02/04 誤字修正。

『げぇっ!?本当に生き返ってんじゃん!?怖……』


「アイテム回収してきたぞー」


屋根を見つめてぼーっとしていたらトータ達が帰ってきた。


「……ああ、助かる」


起き上がってポーチと剣を受け取る。


「大丈夫か?」


無問題(もーまんたい)。それより情報の共有だ」


そうしてトータに分かった事を話していく。

まず相手のステータス。

生命力(VIT)にボスとしての補正が掛かっているのではないか、加えて耐久力(DUR)の高さ。

火、氷、鉄が弱点なのではないかという事。

地面から出てきた根っこ。


「……なるほどな、それで殺られてたのか」


「当然の事だけど気付くことも出来なかった。多分最後逃げ方が雑になってたのもあるけど」


「火とか氷が弱点なのは分かるけど鉄ってのは何なんだ?」


クレハもそこが気になっていた所だった。

だが──


『は?何言ってるんだ?妖精にとって鉄が毒なんて当たり前だろ?』


アルフェにしてみればこういう事らしい。


「え、じゃあ俺が斬った時はアレでも弱点突いてたってことかよ?」


『じーちゃんはアタシよりかマシだけど、うん』


「えぇ……どんな硬さだよ……」


『だから硬いって言ったんじゃん』


弱点があるのは有難いがそれを突いても尚硬いのは有難みプラマイゼロである。


「……一応弱点毎にランクみたいなのがあって火はA+で氷と鉄はC+だった」


「火が一番効くってことか?」


「……多分」


「うーん。なら油ぶっかけて燃やすのはどうだ?」


『えぇ……』


アルフェはドン引きだが悪くない案である。


「採用。でもそれだけじゃ足りなさそう」


人間(オマエら)本当おっかないな……』


続きは後々考える事として大まかな方針自体は決定している。


「取り敢えずレベル上げだな。35まで何とか上げよう」


「後20かぁ……クレハ今なんぼだっけ」


「16……だったけど何故か17になってる」


「俺は16になってた。やっぱり倒さなくても上がってるよな」


今のところレベル上げに最適なのは迷宮(ダンジョン)だが、果たしてあそこで35まで上げられるのだろうか。


「……魔法屋の婆さんに聞いてみる。魔力操作についても……」


「冒険者ギルドと……後、鍛冶屋のおっさんも頼ってみようぜ」


作戦会議も早々に切り上げ方々を駆け回る事にした。




「お前はこっちに着いてくるんだな」


『だってトータの行くとこは鉄の武器があるんだろ?』


「……まあ鍛冶屋だしな」


日もまだ高いので早速動くことにしたクレハとトータ。

クレハは魔法屋とギルドへ、トータは鍛冶屋へ。


「ちゃんと隠れてろよ」


『わかってるよーだ』


アルフェはポーチに隠れている。

街──セーフゾーンに入れたという事は魔物(モンスター)ではないのだろうが面妖な事に変わりはないし、他のプレイヤーにあれこれ聞かれたくもない。




「婆さんまた来ましたー」


「はぁ……ウチは喫茶店じゃあ無いんだよ!とっとと帰った帰っ……うん?」


「いや魔力操作について聞きたい事が……どうしました?」


いつもならしっしっ、と追い払われる所で婆さんが固まる。


「……アンタ何隠してるんだい」


「げっ……」


まさかの即看破であった。

婆さんは椅子から立ち上がって左手をクレハに構え、炎の玉を滾らせた。


「よくもまぁ、アタシを謀れると思ったもんだね!」


「い、いやいや、害意は無いんですって!」


と、わたわたしていると──


『本当だよ!この人間達には助けてもらってるだけだ!アンタに悪いことなんてしない!』


アルフェがポーチから出てきた。

それを見た瞬間、婆さんはより一層の怒気を強めた。


妖精(フェアリー)じゃないかい!?何てモノ連れてくるんだい!!」


今にもその炎の玉を放たんとしている。


『うわぁ待って待って!』


「ちょっと落ち着いて下さいよ。コイツは見ての通り無害な小妖精(ピクシー)です」


『そうそう!アタシ悪いことなんてしないよ!』


クレハ達の様子を見て婆さんは一旦左手を下ろす。


「……だからタチが悪いって話だよ、まったく……アンタ誑かされてんじゃないだろうね?」


「た、誑かされてなんかいませんよ……」


『アタシそんな悪いことしないよお……』


そんな二人に婆さんはさぞ不機嫌極まれりという風である。


「はん、どうだか。何せ妖精(ソイツら)はその悪戯感覚で子供を湖に引きずり込んだり道行く旅人に岩を落としたりして殺しちまうような種族だからね」


「えっ」


今何かとても怖い話が聞こえた。

クレハは思わずアルフェを見やる。


『い、いやいやいや!しないしない!そんなことはしないよ!……す、少なくともアタシは……だけど……』


つまりする妖精も居るという事だろうか。


「……まあ口でそう言ってるんなら……」


突然何か納得したような婆さんが椅子に座り直した。


「……で?そんな小珍しいモン連れて何しに来たんだい。冷やかし客に出す茶は無いよ」


「いや、何か森に邪霊樹精(イビル・トレント)が出て……」


「はぁぁぁ?邪霊樹精(イビル・トレント)だぁぁぁ?」


婆さんは素っ頓狂な声を上げる。


「老人を驚かすもんじゃないよ!まったく……」


『本当なんだって!じーちゃん、突然ヤバくなってアタシの友達も皆食っちまったんだよ!』


「……まあ妖精(フェアリー)なんてモンを連れてる時点で嘘は言ってないんだろうがね……霊樹精(トレント)が邪道に堕ちるなんて話はそうそう信じるモンでもないよ」


婆さんはやはり疑わしげな眼を向けてくる。


「……第一、俺妖精(フェアリー)とか霊樹精(トレント)とかよく分かってないんですが」


「…………」


クレハの鶴の一声に頭を抑えてしまう婆さん。


「……まさか御使い全部が“こう”なんじゃないだろうね……妖精(フェアリー)ってのは魔素(マナ)で受肉した自然霊のことさね。精霊(エレメンタル)は流石に分かるだろう?」


「分かんない……」


「……精霊(エレメンタル)。自然の化身さ。そっちは霊体だけの在り方だが、妖精(フェアリー)ってのはそれが肉体を纏っている在り方って事さ。まったく……恐るべき世間知らずだよ……」


霊樹精(トレント)っていうのは……?」


妖精(フェアリー)の一種だよ。千年万年の膨大な時間をボケッと過ごす奴らさね。争いを嫌い他者との競争ってのにまったく以て興味すらない。だからそんな奴らが力に溺れて邪道に堕ちるなんて有り得ないのさ」


『ほ、本当だよう!』


「はん!どうだかね!」


婆さんは完全にアルフェを信用していない様子であった。

そんな状況を打開すべく──


「いや、こればかりは本当です。俺はちゃんと〈解析(アナライズ)〉でアレのステータスを確認しました。間違いなく邪霊樹精(イビル・トレント)でした」


『そ、そうだよ!じーちゃんは小鬼(ゴブリン)共に何かされたんだ!それであんなに……』


小鬼(ゴブリン)~~?あの木っ端共に霊樹精(トレント)をどうこうする力なんてありゃしないだろうがい」


『アタシもそう思ってたんだよ!でもあの小鬼(ゴブリン)共、ある日突然鉄の鎧なんか身に付けだして、それで皆で別の森に引っ越そうって話してたら……』


それはそれでなかなか物騒な話ではある。

婆さんはふぅー、と溜め息をつくと──


「……そうかい。まあそういう事にするとしようじゃないか……それで?そんな当たり前でどうでもいい事を聞きに来たのかい、アンタら」


邪霊樹精(イビル・トレント)を倒す方法を教えて欲しいんです。後あの森にある迷宮(ダンジョン)よりもレベルを上げるのにいい場所についても……」


「……まあ霊樹精(トレント)なら火だね。火で攻めるしかない。魔法で焼き殺すのが手っ取り早い」


「根っこを鞭みたいにして攻撃してくるんですけど、それは……」


「そんなの魔素(マナ)の流れを感じれば幾らでも察知できるだろうがい」


「な、なるほど……」


婆さんはやはり自身の体外にある魔力や魔素を感じ取れるようだ。


「それどうやったら感じ取れます?」


「魔力操作の精度を上げて感覚を高めるしかないよ」


つまり努力あるのみ。


「レベルを上げるのに良い場所云々はアタシに聞くもんじゃないよ。森にでも籠れば多少はマシになるだろうさ」

自然霊の中に霊体のみの精霊(エレメンタル)と肉体がある妖精(フェアリー)のカテゴリーがあって、妖精(フェアリー)から細分化して小妖精(ピクシー)って種族がある。


精霊(エレメンタル)は属性毎+無属性の全9種のみだけど妖精(フェアリー)は結構種類が居る。

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