17話
暫く通路を行くと小部屋に辿り着く。
骸骨槍使い二体と骸骨剣士一体と遭遇。
開幕はクレハが槍持ちの片方の頭部をLv,2の無属性魔法〈魔力弾〉で撃ち抜いて砕き数の不利を打ち消す。
先までの戦闘で骸骨は打撃に弱いという事が分かっていたのでトドメは蹴り潰し。
トータはやはり骸骨剣士と斬り合っていたが掴んだ何かは確信に変わっていたようだった。
「魔法も結構有効だな」
〈魔力弾〉の消費魔力は少なめ。
だが魔力強化の事を考えるとあまり使いたくはない。
近接戦闘で魔力を節約する方針は変わらなかった。
「ふん!」
骸骨の頭蓋を掴んで壁に叩き付け粉砕するトータ。
「よっし!勝てる!」
かなりゴリ押し気味ではあったが着実に強くなってきていた。
今の二人のレベルはクレハが16、トータが15。
この迷宮を攻略する上で最低限の戦力は整ったという所だろうか。
ただ──
「この迷宮、まだ続きそうだな」
探索を始めてかれこれ2時間。
まだ奥が続いている。
慎重に進めているのもあるだろうが……そろそろ戻らないと夕飯の兎が巣穴に帰ってしまうだろう。
「この先に行くには準備しろって事か」
「だなー。次は食料とか持ってこないと」
「寝袋とかも要るし、そもそもこのポーチじゃ足りないだろうな」
次の目標が決まった所で今回は帰ることになった。
帰り際、森の中で影狼に遭遇し仕留めるも毛皮は落ちず。
兎肉を四つ確保して街に帰還した頃には日が傾いていた。
「そういやこれってどうすりゃいいんだ?」
と、トータが取り出したのは魔晶。
「よく分からん……から、魔法屋の婆さんに聞いてみる」
幸いまだ夕暮れには少し早いので時間はある。
「じゃあ俺は武器屋のオヤジに引き取ってもらいに行くわ」
「おう。また後で」
「婆さん居ますかー」
と、入ると珍しい婆さんはカウンターに座っていた。
「なんだいアンタ。今日はもう店仕舞いだよ」
「いや魔晶っていうの手に入れたんで教えてもらいに来たんですけど……」
「何でもかんでも教えて貰えると思ってたら大間違いだよ……ったく……」
と言いながらクレハから受け取った魔晶をまじまじ睨み付ける婆さん。
「間違いなく魔晶だね。これなら2000リルくれてやってもいい」
「えっ!?2000!?この石ころが!?」
婆さんの話によると魔晶は魔素の結晶。
魔力を回復するための魔素ポーションの材料らしい。
「この魔素密度と大きさなら小ポーション一本分だね」
とは婆さんの談。
「でも魔素は体内に取り込んでない自然な物の筈なのに何でそれが骸骨から出てくるんです?」
「そりゃ迷宮は地脈を乗っ取ってその魔素を吸い上げて魔物を作り出してる訳だからね。作る時たまに魔素が結晶化しちまって魔物に埋め込まれちまうのさ」
「な、なるほど……」
「たまに強い魔物は自分の余剰魔力で体内に魔石を生成しちまう事もあるがね。そっちはもっと希少だよ」
体内に石が出来るというのは諸々想像してしまい苦い顔をしてしまう。
「ちなみに人間でも魔力を上手く排出出来ないと石が出来るからね。魔石病だよ」
本当に嫌な顔をしてしまう。
「で、これどうすんだい」
「あ、買い取っていただけるなら是非……」
こうして思わぬ収入源が見付かったのは僥倖と言える。
店仕舞いだよ帰った帰った、という婆さんの言葉を背後にクレハは宿屋に帰っていった。
トータの方では180リル。
雀の涙であった。
しかし骸骨は六体駆除したので9000リル貰えるのが確定している。
森での狩果は小鬼10匹で1000リルと影狼3匹で3000リル。
「ひょっとしなくても迷宮の方が良いんじゃねえか?」
「魔晶の出次第だが……明日は午前中から迷宮潜ってみるか」
「おう!」
徐々に希望が見え始めた一日であった。
翌日、ギルドから駆除報酬13000リルを受け取り昨日の収入は15230リル。
まずまずの金額ではあるがこれで所持金はクレハが39100リル、トータが38860リル。合計77960リル。
「とはいえ、やっぱりある程度の貯金は必要だろうしな」
目標は20万リルである。
12万リルを装備に使って残り8万を二人で4万ずつに分ける。
「今更だけど俺の防具に対してクレハの防具が安いのは良いのかよ?」
「別に良い。壁役が硬くなってくれるならそれでイーブンだ」
「まあ、クレハがそう言うなら有難い限りなんだが」




