15話
そう言えばヒロイン?の登場は二章からになっちゃった。
ちなみに章一つの作品内時間は一ヶ月くらい。
一章が2月。
3月は飛ばして二章で4月。
飛ばした所は後で幕間にでもするかも。
「つかれた」
トータは干し草のベッドに倒れ込む。
さながら絞められ、まな板に載せられた魚の様である。
迷宮から出てくると、とっくに日が落ちており暗い森の中を一時間ほど彷徨い今に至る。
夕飯は節約である。
「明日は夕飯用の兎肉も採らないとな」
「……天井がある」
トータはホームレス生活から解放された感動に浸っていた。
余程辛い節約生活だったのだろう。
「流石に今日は疲れたな。さっさと──寝てる」
驚くべき入眠速度であった。
いや、余程疲れていたのだろう。
「俺も寝るか」
早朝。
二人は冒険者ギルドへと向かった。
昨日の狩果は──
影狼9匹。
小鬼41匹。
9000+4100で13100リルである。
更に──
「え、骸骨も駆除報酬あるの!?」
「はい。迷宮の魔物は放置すると溢れて外に出てくるので」
骸骨は一体1500リルの駆除報酬が貰えた。
これで合計14600リル。
山分けして一人7300リルだった。
これで所持金はクレハが18990リル。トータが18740リル。
目ぼしい依頼が無いか依頼板を眺めるも良さげな物はあまりない。
次は鍛冶屋のおっさんの所に向かう。
「そういや俺ら以外のプレイヤーってどんくらい居るんだろうな」
と、クレハのふとした疑問。
「朝とかはあんまり見掛けないけど昼になったら結構居るぜ。けど今出来る奴って1000人ぽっちだしなあ」
と言いつつ攻略情報サイトを眺めるトータ。
「今日も目ぼしい情報は無ぇ」
「情報は宝だからな。そうホイホイ教える奴は居ないだろ」
「特に今はスタートダッシュだしな。ここで差を付けねーと」
敵はモンスターばかりではないのだ。
本当はあの槍のプレイヤーだって助けず槍を奪いっぱなしにしておくべきだったのかもしれない。
(……けど、それは何か違うだろ……)
「おーい、おっさん居るかー」
「ちーっす。お邪魔しまーっす」
朝っぱらから武器屋に上がり込む男二人。
奥から物凄く機嫌が悪そうなドワーフ爺が出てきた。
「何だガキ共朝っぱらから……」
「これダンジョンでスケルトン殺したんすけど」
「……そんなもん屑鉄にしかならんわ」
等と言いつつ曲刀を引き取って5枚の銅貨を渡してくれた。
有難い限りである。
「後、影狼の毛皮なんだが今5枚あって……」
「防具なら2枚で一人分だ」
「それ以外なら?」
「マントも同じだ。ブーツなら一枚でも構わんが影狼の革をブーツにする位なら普通の革のブーツでいい」
「成る程……俺はマントでトータは防具にするつもりなんだが」
「なら大銀貨12枚でやってやってもいい」
「何か安くないか?」
鉄板入りの防具が確か8枚だった筈だ。
マントで4枚は安くないだろうか?6枚は行くと思ったが。
と、クレハが困惑していると。
「纏めてやるんなら少しは割り引いてやってもいいと言っている」
「なるほど……じゃあそうさせて貰う」
「……要らん毛皮は買い取ってやってもいい。一枚につき銀貨5枚だ」
「えっ」
呆気に取られるクレハ。
ギルドの提示していた影狼の毛皮の買い取り価格が4000リル。
つまり1000リル分高く買い取ってくれると言うのだ。
「ギルドの買い取り価格より高くないか?」
「当たり前だろう。アイツらだって商売だ。何でも買い取る代わりに相場より安く買い取ってるんだよ」
「えぇ……」
つまりギルドを通して売るよりも、実際にその素材を必要としている所にパイプを作って売った方が得だということ。
考えてみれば当然ではあるが、そんな所までリアルにしなくても……とクレハはげんなりする。
その後は影狼の毛皮を5枚全て買い取って貰って25000リル。
どうせ後生大事に持っていても嵩張るだけだからだ。
「これは……良いな」
思わず温もった懐にニマニマするクレハ。
「何か思ったより金になるな!狼狩り!」
「……ああ。ただこのゲーム、経済の再限度リアル過ぎないか」
「ってーと?」
「もしかすると相場の変動まであるかもしれない」
「……」
渋い顔をするトータ。
つまるところ市場に特定の商品の供給が増え過ぎると商品の価格も変動するのではないか、と言うことである。
「もし影狼金策なんて広まった時には……」
「……嫌な予感だが。俺はあると思うぜ。それ」
「当たって欲しくはないんだけどな……」
「やーっぱレベル上げにゃ迷宮なんかねー」
影狼にトドメを刺しつつぼやくトータ。
「俺の仮説が正しかったらな」
「実際昨日スケルトン倒したら1レベ上がったぞ」
「同じく。けど金稼ぎは影狼の毛皮が今の所一番良い」
「迷宮の奥行きゃ、もっと良い稼ぎ口もあるかもだが……」
影狼金策はこの先使えなくなる可能性がある。
やるなら今だ。
だが影狼から得られる経験値は少ない。
金を取るか、レベルを取るかである。
「……取り敢えず飯にしようぜ!ちょい早いけど!」
「……そうだな」
その日の午前中の狩果は小鬼10匹、影狼2匹。
毛皮は落ちなかった。
「デスペナについての情報が出てるぜ」
「デスペナ?死亡時の刑罰か?」
「そうそう。他のゲームだと大体経験値が減ったりするんだけどさ。このゲームではそれが無いんだとさ」
「……その代わりに持ち物を落とす?」
「らしい。持ってたもんは全部落とすんだと」
「……アイテム、預けとく所とか無いのかな……」
もそもそと半焦げの兎肉を食べて二人は英気を養った。
「……午後は迷宮に行くか」
「午前森午後迷宮?」
「今日はな。まだ迷宮の稼ぎを決め付ける段階じゃないだろ」
「もうちょい奥まで行ってみるか」




