7話
11/27 アビリティのプラスとマイナス間違えてたのと変な計算してたから修正。
その後も二人は狩りを続けた。
そうして三組、数にして16匹のゴブリンを倒した時だった。
「コイツらも売れそうなもん持ってねえな」
「ギルドの受付で討伐したモンスターの危険度に応じて報酬が出るとか言ってたろ。ゴブはそれなんじゃないか?」
「なるほど?」
等と話していると、ガサガサと茂みが揺れる。
「お?次のゴブか?」
茂みから出てたのはゴブリン。ではなく──
「──狼……」
低く獰猛な唸り声を上げるのは、黒い狼。
「や、ヤバくね?」
緊張が走る。
黒狼は迅雷の如くクレハに飛び掛かった。
「うっ!?」
何とか避けるも爪が肩を掠めた。
「早ぇ!?」
トータは驚きつつも斬り掛かる。
しかし黒狼は機敏な動きで避ける。
黒い毛並みが森の暗がりに溶け込んで視界が混乱する。
「どうする、逃げるか?」
「あの機敏さで追い掛けられて逃げ切れる気はしないな」
「だよなぁ……」
黒狼はジリジリと此方ににじり寄ってきている。
「……よし、俺が捨て身で前に出る」
「頼んだ。俺は側面からアイツを仕留める」
トータは真っ直ぐ黒狼に、クレハは黒狼の側面に回るように走り出す。
「うおおおお!!」
斬り掛かるもやはり避けられる。
しかしトータもそれは重々承知。
いつでも剣を引いて防御に回れる様に腰が入っていない。
黒狼の噛みつき。後ろに下がって避けるトータ。
ガチィン!と凄まじい音を立てて顎が閉じられる。
横薙ぎに斬り払うも避ける黒狼。
更に後ろに着地したと同時に黒狼はその後ろ足に力を溜め──
(来る!!)
剣を引き戻して防御姿勢。
黒狼は大きく跳躍。
トータは押し倒されるも、爪は剣で受け止めた。
ガチン!ガチン!と鼻先間近で噛み合わされる顎。
トータに食らい付くのに必死な黒狼。
その側面から迫るクレハ。
大上段からの斬り下ろし。
しかし黒狼はトータから飛び退き、ギリギリ刃を回避する。
「まだだッ!」
クレハは剣を逆手に持ち替え黒狼に追い縋る。
トータも上体を捻って起き上がろうとし始めた。
クレハの放った首元を狙った斬り払い、黒狼は首を持ち上げてギリギリ回避。
しかし返す刀は下からの斬り上げ。
今度は確実に肉を捉えた。
しかし首を斬り跳ばすには到底至らず、軽く肉を抉った程度。
踏み込みが浅すぎたのだ。
だが──
「──おおっ!!」
──起き上がったトータが大上段からの斬撃一閃。
黒狼はクレハの斬撃を避ける為に前足を伸ばしきっている。
つまり後ろには回避不可能、トータの刃が黒狼の背中に叩き付けられた。
と、同時にクレハ、三度目の斬り返し。
小剣が黒狼の首元に突き立った。
ピク、ピクと動いていた黒狼の身体は脱力し、光の粒子になってほどけはじめた。
「──ふうぅぅぅ……ヤっ……バかったぁ」
ドサッと尻餅をついて息を吐くトータ。
「……何とかなったな」
「マぁジで死ぬかと思った」
「毛皮、と爪?牙?か……」
「切り替え早ぇな」
ドロップアイテムを漁りだしたクレハに苦笑いのトータ。
「何か結構良さげな毛皮なんじゃないか、これ」
クレハはバサッと漆黒の毛並みの毛皮を広げてみせる。
「分かんね。でもマントとかにしたらあったかそうだな」
「……売る前に防具の材料になるか調べるか」
クレハは毛皮をクルクル巻いて紐で吊り下げる。
「ストレージとかねぇのかなこのゲーム」
「アイテムBOXみたいなやつ?あったら便利だろうが……」
と、その時。
ぐぅ、ぅぅ……とクレハの腹が鳴った。
「……このゲーム腹減るんだな」
「俺も驚いてる。滅茶苦茶腹減った」
クレハが自分の腹をさすりながら言う。
と、釣られたのかトータの腹も鳴った。
「俺も腹減ったわ」
「これリアルの腹が減ってるってことか?」
「いや……まあ確かにいい時間ではあると思うけど」
「向こうは今……5時くらいか?」
「そんくらいだな」
夕食にはまだ早いが……。
「街戻ってログアウトするか」
「そうするか」
街に帰還した二人は早速ログアウト──
する前に。
「あ、そうだ。フレンド登録しとこうぜ」
「ああ」
フレンド登録の招待は対面で送るか相手のIDを検索して送ることが出来る。
登録しておけばメッセージのやり取りとパーティーへの遠隔招待、自身の位置情報の送信が可能になる。
「今日は何か疲れたから飯食って寝るわ!明日出来るか?」
「俺は出来るけど」
「そしたら明日もまた一緒にやろうぜ!」
「そうするか」
「じゃあまあ明日な!」
「ああ、また明日」
トータは一足先にログアウトした。
(気のいい奴だったな)
明るい青年だった。
頼りになる事は勿論、人に頼ることも出来る人間は好かれる。
ナチュラルに貸し借り無しに出来るというのは良好な人間関係を構築する秘訣だろう。
恐らく年の頃はクレハと同じかやや上。
(自分が嫌になるな)
そんなことを思いながらクレハもログアウトした。




