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6話

街を出て数分。

草原にて角兎(ホーン・ラビット)に出くわした。


「おっ、あれがモンスター?」


角兎(ホーン・ラビット)らしい。試しに戦ってみるか?」


「戦る戦る!」


トータは直剣を抜き放つ。


「すっ飛んでくるから当たるなよ」


「オッケー!」


クレハは少し離れた後ろから見ていることにした。

ジリジリとトータが角兎との距離を詰めていく。

そして、角兎の跳躍。


「──うおっ!?」


トータは咄嗟に身を捻って回避する。


「こえぇぇぇぇ!!」


と言いつつも楽しそうだ。

トータはそのまま着地直後の角兎に突進し、剣を振り下ろす。

しかし、角兎は素早く駆けて振り下ろしを回避、剣先は虚しくも地面を叩いた。


「すばしっこいな!」


角兎は円を描いてトータの背後を取り、跳躍。

これは不味いかと思ったクレハだったが──


「──ふんっ!!」


トータはぐるん、と上体の捻りを加えて剣を振るった。

背後への回転斬りだ。


「ピギッ!?」


斬撃は見事角兎の胴体を捉え弾き飛ばす。

トータはそれを逃さず倒れ込んだ角兎を叩き斬った。


「おおー」


思わず感嘆を漏らすクレハ。

初っ端から着地直後を狙ったのは早計すぎる気がしたが、その後の背後への回転斬りは凄まじかった。


「お、なんか落ちてる」


兎肉と毛皮がドロップしたようだ。


「肉は110。毛皮は120らしい」


「確かにあんまり金にならないな。森に入ればもっと稼げるのか?」


「分からない。けどここより先にあるってことは危険度も高くて良い素材が落ちるんじゃないか」


そうして二人は奥に見える森へ向かう。


「そういやクレハってレベルどんくらい?」


「確か3だったかな。あぁ、そうだ、トータはステ振りとかどうしたんだ?」


「俺は生命力と筋力と耐久力!タンクやりたいんだよ」


「じゃあ盾と鎧買わないとだな」


「おう!その為にもじゃんじゃか稼がねーと!」


遂に森の直前まで辿り着いた。

鬱蒼と茂る木々で光を遮られたそこはまさに魔物の口。


「雰囲気あるねぇ」


「こう暗くて木が多いと何も見えない」


などと森を進んでいる内に──

ガサリ。茂みが動く。


「──お」


「──!」


二人に緊張走る。

剣を構えた二人が見守る中、茂みから出てきたのは醜悪な小人。

小汚ならしい緑の肌、尖った鼻と耳、黄色に輝く眼球。汚れた腰布一丁。


「ゴブリン?」


まさしくトータの言った通りの小鬼(ゴブリン)


「ギャッ!?」


ゴブリンはクレハ達と出くわして驚いている様子だ。

クレハが素早く動く。

ゴブリンに近付いて下から斜めに斬り上げ。

ゴブリンは大慌てで横っ跳びに回避。

しかしそこに──


「ぅおりゃ!」


トータによる斬り下ろし。

見事に脳天を捉えた。兜割りだ。


(グッロぉ)


色々と飛び出しているのが光になって霧散する直前、少しだけ見えて思わず酷い顔をするクレハ。

ドロップアイテムは……無し。


「一匹だけか?」


一方トータは何食わぬ顔で直剣を肩に置いている。


「何も持ってなかったな」


「ああ、歯応えね──伏せろ!!」


「──っ!?」


二人がしゃがんだ瞬間、頭上を二本の矢が通り抜ける。


「──さっきのは囮か」


「マジかよ凄ぇAIだな」


茂みの更に奥から三匹のゴブリンが現れる。

今度は骨で組み上げた槍や錆びた鉄剣、石ナイフで武装している。

そして奥に恐らく弓矢持ちが二匹。


「俺は奥の弓矢を片付けてくる。何とか凌げるか?」


「きっついな。けど、何とかするさ!」


クレハはトータの返事に頷くと駆け出す。

三匹の近接を迂回するが勿論三匹はクレハに飛び掛か──


「オラぁ!」


トータが剣を大きく薙ぎ払い、三匹のゴブリンを退ける。


「ちょいと遊ぼうぜ、ゴブリン共!」




(──居た!)


茂みの裏に回ると案の定二匹のゴブリンが次なる一射を弓につがえている最中であった。

クレハは一番手前のゴブリンを蹴り跳ばし、奥に居る奴の首に刃を突き立てる。


(次!)


蹴り跳ばしたゴブリンは木に激突し、今に起き上がろうとしていた。

ゴブリンは石ナイフを取り出そうとするも──


「──ギャっ!?」


一歩早く踏み込んだクレハに肩口から斬り裂かれた。




(攻撃に出れねぇ……!)


三匹のゴブリンがトータに追い縋る。

石ナイフ持ちは懐に入れなければ問題無い。

しかし剣持ちと、何より槍持ちが厄介だった。


(一匹斬りに行ったら他の奴らに殺られるし)


だから下がるしかない。

しかしこの森の中、逃げられる場所には限りがある。

と、その時、茂みを掻き分けてクレハが乱入。


「剣頼む!!」


「了解!!」


一転攻勢。

トータは槍持ちに斬りかかる。

槍持ちはトータの剣を受け止めるも──


「──っらぁ!!」


「グゲッ!?」


蹴り跳ばす。

浮き上がるゴブリン、目掛けて横薙ぎに斬り跳ばす。

一方クレハは剣持ちに斬りかかっていた。

二度、三度と剣戟を交わすも、ここでゴブリンがよろけた。


「そこッ!!」


隙を見逃さず剣を突き入れる。

刃はゴブリンの胸部を貫通した。

その視界の端で石ナイフのゴブリンが見えた。


「─ッ!」


剣を手放して飛び下がったクレハの眼前を鋭利な刃が掠める。

しかしクレハは拳を握り込み──


「──ふんっ!!」


ゴブリンの腹部にアッパーを喰らわせた。

吹き飛んだゴブリン。

それを槍持ちは一旦無視して向かってきたトータが一刀の元に切り捨てる。

クレハは自分の剣を回収、トータは虫の息だった槍持ちにトドメを刺した。


「いやー、ハラハラしたわ」


「あの時矢に気付けたのがデカかったな。助かった」


「おおさ!」

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