特別になれるはず
スマホを見れば時刻は午後8時を指している、
あれからかなりの時間が過ぎたようだ。
スマホには琴蝶さんからのメールや不在着信がたくさんきている、かなり心配をかけてしまったみたいだ。
プルルルル
琴蝶さんから電話がかかってきた。
少し気まずいが電話にでる、
「もしもし…」
「! 少年、今どこにいるんだ!」
「えっと…ここは…」
辺りを見渡せばここは辻斬りと戦ったところだ。
(避けただけだけど)
「辻斬りと戦ったとこです」
「分かったすぐに行く、絶対にそこから離れないでくれよ!」
「…はい」
プゥープゥー
(今日も何だか色々濃い1日だったな)
空の星を、と言ってもマチマチだが、見ながら色々なことを考える。
(ママも心配してるだろうな)
(これからどうなるかな…)
色々な事を考えていると少しだけこれからの事に不安をおぼえる。
(いつになれば能力は目覚めるのだろうか…)
(本当に僕は椿さんの役に立てるのだろうか…)
(結局、僕は足手まといでしかないのだろうか)
(そんな訳はない、琴蝶の言っていたことはした、色々な情報も椿さんから教えてもらった、)
(僕は…特別になれるはずだ。)
「…少年…はぁ…はぁ…」
「琴蝶さん!」
琴蝶さんは走ってきたらしく、息を切らしている。
「大丈夫ですか?」
「久しぶりにこんなに長距離を走ったよ…ここまで落ちているとは…思わなかったけど…ね…」
琴蝶さんは両手を僕の首にまわし、ハグをしてきた!
「本当に良かった…君が生きていてくれて」
僕は……本当は怖かった…包み隠していたんだ…考えないようにしていたんだ…辻斬りと相対したときも自分自身が薄れていったときも…
怖かったんだ…僕は…ははw…なんて情けない奴なんだ、僕は…
「君はよくやったさ、ちっとも情けなくなんかない、だから自分を責めるな、少年」
ハグが解かれる、琴蝶さんの眼鏡の縁には
淡く輝く2匹の青い蝶が止まっていた。
「…家に帰ろう、お母さんも君の事を心配していたよ」
「はい…」
僕の頬には微かに跡が残っていた。
「お疲れ様、作戦成功だ」
「家まで送ってくよ」
「はい…」
「大丈夫、君は私にとって特別だ」
あぁ…僕は本当に…この人の事が好きになってしまったようだ。




