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4、俺は仕事を選ばない

閲覧感謝です!


 

「もうっ!なんでこんなことになってんのよ!!」


「おい、オレ達って普通のオークを狩りに来ただけだよな?」


「そうよ」


「だったらなんで、目の前にクラウンコングがいるんだよ!?」


 焦り混じりで怒り叫ぶ男と女の声。男は自分の背丈程の大剣を軽々と背負う冒険者。ちょっと強気な口調な女はその特徴的な風貌と杖を持っていることから魔法使いだろう。


 そして何故か二人の目の前には、人の背丈の倍以上は余裕にある巨大なゴリラのモンスター、クラウンコングが荒れ狂っている。


「しかもコイツってこんな見た目だったけか?」


「普通茶色。でもコイツの色は真っ黒。てことは……」


「「ボス個体!!」」


 通常のクラウンコングなら危険度は上から二つ目のAランク程度。しかしそれが群れの長であるボス個体ならそのランクは最も危険とされるSランクと並んでも遜色はないだろう。


「よりにもよってこんな時に現れるなんてな……」


「ねえ、私達が本気出せば勝てると思う?」


「……無理だな。ここから逃げられたならそれだけで勝ったみたいなもんだ」


 クラウンコングは後退りする冒険者達をジリジリと追い詰めていく。


「だけどあっちは逃す気は無いみたいよ…」


「みたいだな…」


 彼らに残された時間は残りわずか。それでも彼らは諦めることなくこの状況を打開しようと無い頭を必死に回転させる。


 その中で、ただ一人。必死な二人の後ろでただ震えながらその時を待っている一人の青年がいた。


「もうダメだ…誰か、助けを呼ばないと……!!」


「なに諦めてんの!人に頼る前にまずは自分でなんとかしようとしなさいよ!!」


 魔法使いはだらしない青年に檄を飛ばす。


「アンタ本当は強いんでしょ!?なのにどうしてそんなヒノキの棒なんて持って突っ立ってられるのよ!」


「そんなの分かってるさ!でも、今の僕にはこれしか装備出来ないから……」


「っ…。こんなことになるならアンタのレベル上げとやらの為にわざわざオークなんか倒しにくるんじゃなかったわよ!!」


「やめろよこんな時に!今はそんなこと言って仲間割れなんてしてる場合じゃ、ぐっ!…」


 もう待ちきれないと、先に動き出したのはクラウンコング。

 その大きな拳を盛大に振り上げ、冒険者達に襲いかかる。大剣を持った冒険者が辛うじて迎え撃つが、その強大なパワーに太刀打ち出来ず吹き飛ばされてしまう。


「バンバ!」


「よくもやってくれたわね!!これでも……」


 魔法使いは魔法陣を展開し、呪文を唱える。全ての詠唱を終え、魔法を放つ。


「喰らいなさい!!」


 クラウンコングに直撃した光の波動。


「グオオオオッ!!」


「嘘でしょ!?」


 だがクラウンコングには傷一つ与えることは出来ない。


 その攻撃は寧ろクラウンコングを苛立たせたようで、叫び声を上げながら魔法使いに襲いかかると、その巨大な手で鷲掴みにしてしまう。


「離してよ、離してってば!!…」


 言葉も、心の叫びも通じるはずは無く、ゆっくりと魔法使いを握りしめる力は強くなっていく。


「みんな!!」


 自分ではどうすることも出来ず、ただ声をあげることだけが精一杯。

 クラウンコングは上から見下ろしながらそんな青年の様子を嘲笑うかのようにほくそ笑む。


「くそッ……!」


 悔しくても、手に持っているのはヒノキの棒だけで、この場を打開出来るような碌な魔法も使えない。


 今なら、全速力で走れば自分だけなら助かるかもしれない。

 死にたくない。生きたい。

 しかし、こんな自分でも仲間に迎え入れてくれた彼らを見殺しにしていいわけがない。


 残された時間だけが刻々と過ぎていが、それでも青年は自らの選択を決められずにいた。


「誰か…助けてくれ……!!」


「だったら俺に依頼すればいい。このゴリラを殺してくれとな」


 突然隣に現れたナタリアの姿に動揺を隠せない。


「あ、アナタは……?」


「誰でもいい。さっさと決めろ。グズグズしてると仲間が握り潰されるぞ」


 ナタリアの言う通り、もう迷っている時間は無い。男は藁にもすがる思いでとにかく叫んだ。


「なんでもいい。アイツを、殺してくれっ!!」


「その依頼、引き受けた」

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