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VRおじいちゃん ~ひろしの大冒険~  作者: オイシイオコメ
まだまだ現役
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ようこ、ピンデチへ駆け戻る

 おばあさんと黒猫は2号店に到着すると、シャッターを開けて中へ入った。


「さて、商品だけでも置いておこうかしら」


 おばあさんは持ってきた商品を店に並べると、ピンデチの店で作っておいた商品の価格表をカウンターに貼り付けた。


「あとは、みなさんと相談しながら飾り付けしましょう」


「すみません!」


 すると、店の外から一人の男性がおばあさんに声をかけてきた。


「はい、いらっしゃいませ」


「あの~、道を聞きたいんだけど」


「はいはい、わたしも詳しくないのですが……」


 おばあさんはそう言うと店の外へ出ていった。


 黒猫はカウンターの前に座ると、突然他の男が店の中に入ってきた。


「よし、今のうちに……」


 その男は黒い飾り羽を付けていて、店の商品を次々に手に取ると、そのまま店の外に出ようとした。


 なんと、この男は道を聞いてきた男と仲間の泥棒だった。


「合計で、520プクナです」


「えっ!?」


 男は振り返ったが、黒猫が座っているだけだった。


「な、なんだ、空耳か?」


 黒猫はもう一度言った。


「合計で、520プクナです」


「なんだ、しゃべるNPC猫か。悪いが、これは(もら)ってくぜ」


 それを聞いた黒猫は骸骨(がいこつ)の魔法使いの姿に戻った。


 ブゥゥウウン


「う、うわっ!」


「合計で、520プクナです」


「は、はいっ! すみません!」


 男は慌てて1000プクナの電子チケットを出現させると、店に落として逃げていった。


 黒猫はまた猫の姿に戻ると、電子チケットをくわえてカウンターの上に飛び乗った。


 するとおばあさんが店に戻ってきた。


「もう、あの人ったらぜんぜん説明しても分からないんですもの……」


 黒猫は電子チケットをカウンターに置くとおばあさんに言った。


「洋子殿、商品が売れました」


「あらまあ! この1000プクナの電子チケットがそうね」


「はい。釣りは要らないようでした」


「あら、シャームの人は太っ腹ね! 2号店をここにして良かったわ」


 おばあさんは電子チケットを仕舞(しま)うと、黒猫を撫でた。


「さて、そろそろピンデチに戻ろうかしら。みんなが来る頃だわ。猫ちゃんも一緒に行きましょう」


「はい」


 おばあさんは店を出てシャッターを閉めると、黒猫は少し考えながらおばあさんに尋ねた。


「洋子殿。ピンデチとは、始まりの村の事でしょうか」


「ええ、シャームの港から海峡を挟んで向こう側の大陸にあるのよ」


「なるほど。では洋子殿、また我の背に乗ってください」


 ボンッ!


 黒猫はそう言うと再び子馬くらいの大きさになった。


「あら猫ちゃん、本当に助かるわ。港まで行ってくれるのね。ありがとう」


 おばあさんが黒猫の背に乗ると、黒猫は一気に町を走り出てシャームの港へ向かって加速していった。


 ◆


 シャームの港が見えてくると、海峡を挟んで向こう側に大陸が見えてきた。


「ほら猫ちゃん、あの海の向こうの大陸にピンデチがあるのよ」


「なるほど、さほど距離はありませんな。では、そのまま行きましょう」


「えっ!?」


 黒猫はそのまま港を走り抜けた。


「猫ちゃん! この先は海よ!」


「ご安心ください洋子殿」


 すると黒猫は走りながら海の上に沢山の小さな魔法陣を一列に出現させ、その上に跳び乗った。


 そして、そのまま魔法陣の上を走って、海の上をどんどん進んでいった。


「まぁ猫ちゃん、すごいわね!」


「いえ。これは防御魔法陣を並べたもの。大したことではありません」


 黒猫はそう言うと、さらに防御魔法陣を次々と出現させ、魔法陣の道を伸ばしながら加速していった。


 おばあさんは黒猫の「防御魔法陣」という言葉を聞くと、思い出したかのように黒猫に尋ねた。


「そういえば、防御魔法陣って守ってくれる魔法陣よね」


「はい。ですので、もし洋子殿に危機が及ぶならば、我がお守り致します」


「まぁまぁ、とっても頼りになるわ。ありがとう猫ちゃん」


 おばあさんが黒猫の頭を撫でると、黒猫は嬉しそうに目を細めた。


 ◆


 黒猫は海峡を走り抜けてハーイムの近くに上陸すると、さらに加速して荒野地帯を通過した。


 そして人混みの大通りをさけて裏からピンデチに入ると、そのままピンデチの時計台の前までやってきた。


 ザザッ!


「あれ!? 洋子ちゃん? 猫に乗れるの? すご!」


 おばあさんが黒猫に乗ったまま時計台の前まで来ると、偶然ログインしたばかりのマユに出くわした。


「あら、マユさん! この猫ちゃん、さっきお友達になったんです」


「ええ、かわいい!」


 マユが黒猫を撫でると、黒猫は嬉しそうにして小さい猫に姿を変えた。


 シュゥゥゥウ!


「あ、普通の猫になった」


 マユが驚くと、黒猫が話し始めた。


「洋子殿のご友人殿、はじめまして」


「うわ、しゃべった! しかも、めっちゃイイ声」


 すると、おばあさんがマユに説明した。


「この猫ちゃん、わたしを背中に乗せてシャームから海を越えてピンデチまで連れてきてくれたのよ」


「ええ! ほんとに? 猫ちゃん凄いね」


 マユが黒猫を撫でると、ちょうどメイがログインしてきた。


「あ、マユ、洋子ちゃん、おはよー。あ、猫!」


 メイが黒猫に近づいてマユと一緒に撫でると、ナミもログインしてきた。


「みんな、ぉはよ。ぁ、ねこ」


 ナミも一緒に黒猫を撫でた。


「みなさん、はじめまして」


「うわ、しゃべった!」「うわぁ」


「驚かせてしまってすみません……」


 するとおばあさんが言った。


「この猫ちゃん、さっきお友達になったんです」


 こうして、おばあさんは黒猫の話をしながら、みんなでお店へ向かった。



 お店に着くと、哲夫が店を開けて店番をしていた。


「「おはようございまーす」」


「おはようございます!」


 ちょうどそこへ和代と美咲もやってきた。


「おはようございます」「おはようございます」


「「おはようございまーす!」」


 こうして、みんなが揃ったところでおばあさんが黒猫を紹介した。


「みなさん、さっきお友達になった猫ちゃんです」


「みなさん、はじめまして」


「しゃべった!」

「あららら」

「ふふっ、しゃべるの可愛いね」


 すると黒猫は続けた。


「我は洋子殿を主人とさせて頂きました。皆様方は洋子殿のご友人。何なりとお申し付けください」


 黒猫が話し終わると、みんなは笑顔で迎えた。


「よろしくね」

「よろしくー」

「宜しくお願いします」

「宜しくお願いします」

「うん、よろしく」

「よろしく」


 挨拶が終わるとマユが哲夫と和代にお礼を言った。


「哲夫さん和代さん、ピンデチの売上が先週の倍以上になりました。ありがとうございます!」


「え、すご!」

「まぁ、本当ですか!?」

「やったね、おじいちゃんおばあちゃん」

「すご」


 それを聞いた哲夫は嬉しそうに言った。


「いやいや、まだまだ序の口ですよ! もっともっと伸びますよ!」


「もう、哲夫さん! 調子に乗ってはいけませんよ」


「あ、あぁ、ははは。すまんすまん」


「「ははははは」」


 みんなは笑い合うと、今日もスマイル道具店を開店した。

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