第22話
読んで頂きありがとうございます。
前回投稿から1カ月以上の日々が過ぎてしまいました。
お待せしてしまい大変申し訳けありませんでした。
なんとか完結目指して頑張って行きたいと思います。
今回は視点がレオン→ゴージョ(ライデントの兵士)→サイアスと展開します。
「ゴージョ、ここはお前に任せた。俺は正面から行く」
「はい、レオン様。お任せ下さい。必ずや国王と皇子を倒しこの国を手に入れてライデントに帰りましょう」
ゴージョは俺の言葉に深く頷き、最敬礼をとり剣を掲げた。
「あぁ、この国の精鋭をぶっ潰してくれ」
「はっ」
俺は抜け道の入り口となっている場所に選りすぐりの精鋭15名を置いて、城の正面へと向かった。
「ゴージョたちは大丈夫でしょうか」
俺と共に正面から城に入る予定の部下イリルが問いかけて来る。俺が引き連れているのはイリルとパートの2人だけだ。この2人は側近の中でも剛腕で、精鋭中の精鋭だ。
ハナとラインシートは死んだとされている。しかし、カテガルの者は棺の確認はしているが、死体は確認していない。細心の注意を払って行動するべきだ。仮に俺たちが今日国王を襲撃することが漏れていたとすれば、計画は失敗するだろう。当初は俺も抜け道を使うことを考えていたが、それは止めて兵力を分散することにした。幸い俺の道案内を買って出るこの国の貴族は多い。
「カテガル様」
王城の城門に着くと、この国の貴族が俺を待っていた。
痩せぎすで目つきのよくない男だ。確か、伯爵位を持つ国王の従弟の甥だったか・・・詳しくは忘れたが、国王の遠縁にあたるらしい。
俺はこいつにクスリを流している。
「今日は悪いな。式典前にぜひ国王にお会いして、直接祝いの品を渡したいんだ。正規の手順では時間がかかるからな」
こいつは俺をイーリアスの豪商と思い込んでいる。まさか、国王の暗殺を企んでいるとは考えもしていないのだろう。いや、その考えが頭をかすっても俺が持っている物の魅力には逆らえないのかもしれない。
「国王の謁見室までご案内するのは構いませんが、その・・・・」
「あぁ、勿論クスリは持ってきた」
俺がクスリの入った袋を掲げると奴の顔がニヤリと歪んだ。
これのどこがいいんだか。俺はこれを自分で試したことはない。使っている奴の狂気じみた姿をみると自分には到底受け入れることのできる代物ではないと感じたからだ。まぁ、俺にとってクスリは人を操る道具だな。
「エイト伯爵、今日はここから先は定刻になるまで誰も通すなと・・・」
「あぁ、すまない。国王に直接お伝えしたいことがあってね。それと祝いの品も早く手渡したくてね」
伯爵は門番の衛兵に声をかけられると、侍従が抱え持つ箱を指し示した。
「しかし、そちらの方は」
「わたしの友人だ」
国王の縁者にそう言われてしまえば制することはできない。
衛兵は探るように鋭い視線を俺に向けた。いい眼をしている。愚鈍であれば命を長らえることができたものを。
俺たちが城門をくぐった後、門を振り返ると、衛兵の一人がどこかに向かおうとするのが見えた。上に報告に行くか?
「殺れ」
小声でイリルに伝える。
「はっ」
俺の命にイルリが動いた。俺が前を向き、足を踏み出してすぐに、後方で人の倒れる音が2度聞こえた。イリルの仕事は迅速かつ正確だ。
☆
「抜け道の入口の兵士が持ち場を離れて城内に向かっているぞ。中央で異変が起きたらしい。今が侵入のチャンスだな」
俺は口唇術ができる。兵士の唇の動きを読み、城内に異変が起きたため、兵たちに集合がかかったことを理解した。
「しかし、ゴージョ様。罠では」
部下の1人が異を唱えた。
「そうかも知れんが、そうではないかも知れん。可能性が半々なら、レオン様にために行くぞ」
俺は立ち上がり、剣の柄に手をかけた。
「行くぞ!」
「はっ!」
俺と部下たちは抜け道に入り、足音をたてないように走り始めた。
暗い抜け道の中を走る。抜け道は狭いが足場は意外によく、かなりの速さで走り抜けることが可能そうだ。
「ゴージョ様、前方に明かりが。王の執務室でしょうか」
部下が声を潜め囁く。
「いや、早すぎる。地図上ではまだ抜け道の半分程度の所のはずだ。注意しろ」
歩を緩め、ゆっくりと明かりの方に近づいてくと、抜け道が崩されていることに気付いた。
そこから抜け道はなくなり、大きな空間へと出ざるをなくなっていた。
「やられた! 剣を抜け!」
「おぅ!」
レオン様のために闘う。仮に俺たちがレオン様に追い付くことができなくても、レオン様は国王の元に辿り着いて目的を果たすだろう。俺たちはレオン様のためにイーリアス軍の精鋭を可能な限り潰そう。
俺と部下たちは大きな空間へと躍り出た。
☆
「いやぁ、お疲れ。ライデントの精鋭さんたち」
ジャックが、抜け道から食堂であった空間に現れたライデントの兵士にニヤニヤと声をかけた。
先頭に立っていた兵士、おそらくこの場のリーダーであろう者は眼光鋭くジャックを睨んだ。特に慌てている様子も見られない。彼らにとっては想定内であったのだろうか落ち着いて剣を構えている。
「剣を捨てれば、命は助けてやるぜ」
ジャックは射るように睨んでくる兵士に声をかけ続ける。
「レオン様のために!」
「はっ!」
リーダーと思われる兵士が声をあげ、剣を揚げると、他の兵士もそれに続いた。
「勿体ないねぇ。じゃ、始めますか」
ジャックはニヤリと笑うと剣を鞘から引き抜いた。
それを合図にライデントの兵士たちとの打ち合いが始まった。
敵兵15名に対し、私たち近衛と軍の精鋭は20名。ジャックは私の隣で「余裕じゃねぇか。つまんねぇな」と小さく呟いた。
打ち合っている兵士たちをみていると近衛の兵士が優勢で、すでに確保される敵兵が数名みられていた。
「ジャック、やはりレオンがいない」
兵士に紛れているかと思っていたレオンが見当たらなかった。私の言葉にジャックは兵士達をザッと見回した。
「あいつに聞くか」
ジャックが目線でリーダーの兵士を示す。私は黙って頷き返した。
近衛の兵士と打ち合っていたリーダーの兵士の前に、ジャックが立ちはだかり、私はリーダー兵士の背後に回り込んだ。リーダーは怯むことなくジャックの胸部めがけて剣を立て突き進むが、ジャックはその剣を受け、半身を動かし軽く躱す。リーダーは素早く態勢を立て直すが、ジャックの方が速い。リーダーの剣を弾いて、その喉元に剣を突き付けた。
「レオンはどこだ」
ジャックの問いにリーダーは無言だ。
「国王の元に向かったか」
私の言葉にリーダーはニヤリと笑みを浮かべた。
「やっぱり生きていたか、ラインシート。レオン様は偉大だ。この国の王になるだろう。あの娘も今頃はレオン様の手の内だ」
リーダーの言葉にジャックの剣が緩んだ。奴はその隙をぬってジャックの剣を足で弾き、後方に回転しながら飛びずさった。
「チッ」
ジャックが大きく舌打ちして、リーダーと向き合った。
「行け! サイアス! 俺はこいつを倒したらすぐに向かう!」
ジャックは視線をリーダーに向けたまま叫んだ。
「待っている!」
私はジャックに叫び返すと、国王たちが避難している会場の控室に向けて走り出した。
私の動きを阻止しようと敵兵が襲い掛かって来るが、剣で弾き返して先を急いだ。
どうすれば、城内に侵入できる。定刻まで貴族の出入りすら禁じているのに、不審者が侵入したとの報告は受けていない。しかし、あのリーダーはレオンが城内に入り込んだことを確信していた。
城内は複雑だ。案内人がいなければ国王の元に辿り着けるはずがない。一体、どうやって。
クスリ・・・クスリか。それで誰かを操っているのか。
ハナ、待っていろ! 今、行く!




