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◆致死率96%■  作者: 湖灯


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【沖縄沖航空戦②(Air Battle off Okinawa)】

 2機のF-3が高度を上げたことと、そのF-3が機体のステレスシステムを一部解除したことにより、中国人民解放軍のJ-16に備え付けてあるレーダーにもハッキリと2機の機影が映った。


 28機のJ-16に対して、F-3はたったの2機。

「自杀吗?(死ぬつもりか)」と、隊長機が呟いて笑うと、隊員たちも笑った。


 中国軍のレーダーには、たしかにステレスシステムを切ったF-3が2機映っているだけだったが、2機のF-3の後方には4機の小型無人輸送機がさらに高度を高くとってついてきていた。

 小型無人輸送機は、人が乗り込むスペースなどが必要ないため、そのぶんステレス性の高い設計が可能となる。

 いわば現在の最高水準のステレス性を持った機体なのだ。




 レーダーに映し出されたお互いの機体の距離は、みるみるうちに縮まる。


 J-16は編隊を4つに分けて、ひとつはそのまま直進し、あとの2つは左右に大きく迂回して退路をふさぎ、最後のひとつは隊長機とその護衛機が高度を上げてこの新しい敵機の性能を確認するための隊形をとった。



 かたや2機のF-3は、お互いが左右に分かれるだけでなく、それぞれが2機連れている無人輸送機のうち1機はそのまま真直ぐ進ませて、一機だけ自機と同じコースを取らせた。


 すれ違ったあとはお互いに自機のミサイルにロックオンさせるために後ろの取り合いになり、パイロットの意識はターゲットスコープに向けられる。


 F-3は2機ともここで敵機に後ろを取られてしまった。


「小日本的新武器太搞笑了!(日本の新兵器は笑えるぜ!)」


「一个不反思历史的日本,不可能打败我们国家!(歴史を反省しない日本は、我が国には勝てない!)」


「你这混蛋!去死吧!(このクソが!くたばれ!)」


 今まさにF-3をロックオンしようかという状況で、勝ち誇った中国人パイロットたちの雑談が無線越しに聞こえたそのとき、F-3のパイロットはコクピット内のあるボタンを押してアフターバーナーを使って急加速をしてその勢いのまま機を垂直に上昇させた。



 ロックオンし損ねたJ-16のパイロットたちが、つられて上昇を始めたがF-3には遠く及ばない。


 J-16はロシアのSu-27のコピー生産と言われているが、J-16は複座戦闘機なので実際にはSu-27の複座練習機Su-27UBM1にエンジンを換装したタイプだと言える。


 ジェット戦闘機のエンジン性能は、推力と重量によって能力が決まる。

 たとえば最大推力10トンのエンジンの重量が10トンあったのでは、エンジン単体だけでも垂直に飛ぶことは困難という理屈。


 Su-27UBM1に搭載されているエンジンは、最大推力12.2トンで、重量は1,570kgの物を2基搭載していて、機体空虚重量は16,900 kgで最大速度はマッハ1.7。


 J-16に搭載されているエンジンは、最大推力14.7トンで、重量は1,630 kgの物を2基搭載していて、機体空虚重量は17,700 kgだが最大速度はマッハ2.0。



 これに対してF-3が搭載している国産のXF9-3エンジンは、最大推力15トン以上で、重量は1,360kgの物を2基搭載していて、機体空虚重量は15,900 kgだから、とてもJ-16などが追い付けるはずもない。

 しかもF-3の強みは、そのような小さな違いではなかった。


「什么?(なに?)」

「这是什么?(なんだこれは!?)」

「哇!!!!!!(うわぁ‼)」


 垂直で逃げるF-3を追おうとして速度の落ちたJ-16の周囲には無数のミサイル型ドローンが待ち受けていた。


 F-3の特徴はAIによるパイロット支援と、圧倒的なステルス・センサー技術。


 そして最大の特徴は、無人機との連携を可能にしたこと。


 つまりF-3が連れていた2機の無人輸送機は、F-3のパイロットの指示に従って敵を攻撃するミサイル型ドローンを輸送するものだったのだ。


 パイロットは上昇しながら、ドローンたちに追ってくるJ-16を攻撃するように指示を出す。

 あとはドローンに搭載されているAIたちが連携して、効率よくJ-16を処理していく。


「快跑!(逃げろ!)」

「低空逃脱!(低空で脱出しろ!)」


 上空で戦況を見ていた上官が部隊に指示を出し、次々に爆発しながらも何機か残ったJ-16数機がミサイルドローンを振り切って海面近くまで急降下して脱出した。


「啊!(あっ!)」


 ところがそこには、もう1機のF-3が指示していたドローンが海面近くに待ち伏せていた。


 急降下し続けていれば海面にぶつかる。

 しかし水平飛行に戻せば、速度が落ちてドローンに狩られる。

 J-16の生き残りたちは、わずかな望みにかけて水平飛行を選択し、次々にドローンに狩られていった。



 日本の驚異的な新型戦闘機の活躍を上空から見ていた隊長機だったが、急に共にいた2機の僚機がほぼ同時に爆発した。


「什么?所以它竟然垂直升到了最高点(なんだ?垂直のままここまで上がってきたというわけなのか)」

 言い終わる間もなく、その隊長機も爆発し、向かってきた28機のJ-16は瞬く間に排除された。

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