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◆致死率96%■  作者: 湖灯


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【沖縄沖航空戦①(Air Battle off Okinawa)】

 前哨戦は日中双方とも航空機による対艦ミサイルの打ち合いとなった。


 海上自衛隊の艦隊後方上空には早期警戒機E2-Cが空を舞い、中国艦隊の後方には同じようにKJ-500早期警戒管制機が飛んでいた。


 ただ違うのは、日本は早期警戒機E2-Cの他に電子戦機EC-1も飛ばしているということ。

 このタイプの装備は、現在日本しか保有していない。


 ※早期警戒機:期待上部に大型のレーダーを装備し、敵・味方の航空機等の空中目標を探知・警戒する航空機。

 ※電子戦機:飛行しながら電波を傍受したり、その電波を識別して情報収集を行ったり、戦闘では妨害電波照射ジャミングなども行い敵のレーダーをかく乱する。




 航空自衛隊から艦隊戦に派遣されたF-2戦闘機はわずか8機で、装備する93式空対艦誘導弾(改)は射程170㎞から発射が可能でマッハ0.9の速度で超低空を飛翔し、目標を狙う。


 しかも物理的に敵艦の位置情報をミサイルのレーダーで捕らえて記憶させる方法を取らなくても、敵艦の現在位置と進行方向を入力して発射すればあとは画像認識と赤外線ホーミングがミサイルを誘導してくれるので、射程圏内で高度を上げて自機のレーダーで目標をロックオンする必要がない。


 つまり敵のレーダーの目を避けるための超低空飛行を続けたまま、ミサイルを発射して基地に戻ることが可能なのだ。


 F-2の後方には、最新型のF-3戦闘機2機と小型無人輸送機フライング ハンガー4機が追従していた。




 これに対して中国人民解放軍空軍のJ-16とJH-7は合わせて40機と5倍の数がいて、彼らが搭載するYJ-91空対艦ミサイルは対イージス艦用に設計されマッハ3.5前後の超高速で飛翔するため迎撃は困難とされる。


 ただしこのYj-91ミサイルはレーダーホーミングのため、ミサイル本体に搭載してあるレーダーで目標物を捉えて覚え込ませる作業が必要となるため敵に身を晒す時間が長くなる欠点もある。




 中国軍のYJ-91空対艦ミサイルより若干射程の長い93式空対艦誘導弾(改)に衛星から受け取ったデーター入力を済ませると、F-2戦闘機は直ちに誘導弾を発射して低高度を維持したまま横スライドするように飛行ルートを外れ、その空いたスペースを突き切るように小型無人輸送機を連れたF-3戦闘機2機が真直ぐに前に進む。



 いっぽう日本のF-2より1分ほど遅れて中国軍のJ-16とJH-7は高度を上げ、ミサイルにデーターを読ませる作業に取り掛かってミサイルを発射した。


 旧式のJH-7は発射後に翼を縦に傾けて急旋回して進路を180度変えたが、ミサイルのデーター入力に時間のかかった2機は既に海上自衛隊のF-2にロックオンされていて発射する前にミサイルによって撃ち落された。


 J-16のほうは再び高度を下げ加速して前に進んだ。


 彼らの目的は、航空自衛隊機が発射した93式空対艦誘導弾を狩るため。

 JH-7だけ引き返したのは、航空自衛隊機も同じような意図で直進してきた場合に空中戦になってしまうから。


 1992年に運用が開始されたJH-7では、2000年に運用を開始した日本のF-2と空中戦になった場合、まったく勝ち目がない。

 航空機の8年の差とは、余程の傑作機ではない以上その年の差を埋めることはできない。


 だから2015年より運用を開始したJ-16だけが、前に進んだのだ。



 中国軍機がミサイルにデーターを送り込むために高度を上げたとき、F-3のレーダーにも直接その機影を捉えることはできた。


 方角はかなりズレていたが、そう離れていない。

 F-3のパイロットは敵を焦らせるために、わざと急上昇をしてその姿を敵のレーダーに晒した。


 こうすることで敵は考える余裕なく、ミサイルを発射する。


 つまりどの艦にミサイルを集中するべきなのか、それとも均等に分散させるべきなのか?

 レーダーに映っている情報は正しい情報なのか、それとも電子戦によりかく乱されたイミテーションなのか?


 重量約1トンもある対艦ミサイルを抱えたままでは空中戦など出来ないのに、すぐ近くに敵機影があると分かれば考える猶予もなく発射してしまうだろう。


 たしかに飛翔速度マッハ3.5を誇るYJ-91空対艦ミサイルは優秀だが、それが上手くいくかどうかはそれを扱う人の精度に頼るところもまだ大きい。


 それに比べると93式空対艦誘導弾(改)にはC4Iシステムとそれに連動するAIが組み込まれているから打ち出されたミサイルが仲間同士でそれぞれの情報を共有し合う。


 例えば目標となる艦が8隻いてミサイルも8発だった場合に各々の目標が重複しないように避けるべきなのか、それともその8隻のうちに潜在的脅威が高いいくつかの艦に狙いを集中するべきなのかを飛翔中に判断して最高の戦果をあげるように努めてくれる。


 たしかに簡単に見える数字上のデーターはYJ-91空対艦ミサイルのほうが魅力的だが、魅力的なデーターを持つ兵器が必ずしも最適な兵器とは限らない。


 このミサイル対決、どっちに軍配が上がるのか……。

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