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◆致死率96%■  作者: 湖灯


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【ウォーター・ウルフ作戦③(Operation Water Wolf)】

 人民解放軍海軍には3隻の空母があった。



 1番艦「遼寧りょうねい」は北方艦隊に所属していて黄海に引きこもったままで動かない。

 この船はウクライナで建造途中に取りやめになった旧ソ連の「ヴァリャーグ」を改造したもので、進水から既に40年も経ち老朽化が激しく荒い海には出ることは難しい。



 2番艦「山東さんとう」は、その「遼寧」の図面をもとに中国で新たに建造したもので南海艦隊に所属していたが、つい最近に海南島の基地に停泊中のところをベトナム軍のドローン部隊に襲われて基地内で転覆した。



 3番艦「福建ふっけん」は「遼寧」の図面を参考にして少し改造を加えられたものを新造したもので先の2艦に比べて少し船体か大きく飛行甲板もスキージャンプ方式から電磁カタパルトによる射出方式に変えた。


 だが設計に対して盛り過ぎた装備に船体の基礎構造はこらえきれずに、艦中央部でひび割れが発生してしまい、長くドックにて修理が行われていた。

 ひび割れの原因は、艦底部の基礎構造が艦の重量を支えきれなかったため。

 ふつう基礎構造の修理はできないもので、やり直すには初めから造りなおすのが常識とされていたが人民解放軍はその常識を覆し修理は完了した。




 数多くのフリーゲート艦に囲まれて軍港を出る福建。


 目的地は沖縄。

 露払いを兼ねた先鋒として、既に十数隻の潜水艦が先行している。


 沿岸部にある八つの空軍基地は壊滅されてしまったが、数は少ないが他にも空軍部隊の動員はできた。

 潜水艦のあとには、対潜用のフリーゲート艦が続き、福建はその後方から多数のミサイルフリーゲート艦に囲まれて続く。


 その列の最後尾には上陸部隊と共産党幹部とその家族や富裕層が乗る豪華客船が連なる。

 まるで勝つことが当たり前のような陣形。


 航空母艦「福建」は80機前後の戦闘機や戦闘爆撃機の運用能力を持つ。

 そしてその甲板にはJ-15BやJ-35と言った艦上戦闘機が、ところせましと並んでいた。


 80機の戦闘機は那覇基地に本部を置く航空自衛隊第9航空団の通常戦力の約2倍相当になるうえ、この有事に虎の子の戦闘機たちは那覇だけではなく与那国島、石垣島、宮古島、久米島の各飛行場に分散して防衛にあたっていて、今はその数を補うためにT-4練習機にハードポイントを取り付けて何とか対応している有様。


 しかもこの「福建」を取り囲むように配置されたフリーゲート艦の数も60隻以上もあり、現在沖縄海域に横須賀基地から応援に来ている海上自衛隊の艦隊の実に6倍の数にあたる。


 さらに頼みの綱だった米軍部隊はことごとくグアムに移動していて、わずかに嘉手納基地にF-22ラプターが10数機残って支援してくれてはいるが、それも状況次第ではグアムに移動してしまう。

 つまり、まともに考えるなら、自衛隊がこの戦いに勝てる要素は一つもない。

 だから彼らの自信は当たり前なのだ。



 そこでゲームチェンジャーとしてカギを握るのが、ウォルター・ウルフ作戦に参加した3隻の特殊工作潜水艦なのだ。

 いまのところまだ何の動きもないように見えるが、この穏やかさを見れば彼らが既にいくつかの戦果を挙げていることは明白だった。


 中国人民解放軍の進路を慎重に分析しながら夜を待つ。

 日が暮れたあとゲームチェンジャーは動いた。


 穏やかな東シナ海を航行していた福建と、その周囲を取り囲むように共に航行していた最新鋭のイージス フリーゲート艦群が突如として忽然とレーダーから消えた。


 露払い的に艦隊の先鋒を担っていた部隊は慌てたが、もっと慌てたのは福建の後から付いていた部隊だ。

 彼らはただ普通に航行していただけなのに、次々にまるで滝つぼに落ちるように海に吸い込まれていった。

 レーダーから消えた数は実に20隻近くに達した。

 半分ほど沈んで、また浮かびあがってきた艦もあったが、それはそう多くはなく、その中には船体に甚大な損傷を受けたものもあった。


 何が起きたのか呆気にとられ、怯えた艦隊は海上で停止し、ある艦はカッターを降ろして消えた部隊を探した。

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