【尖閣医療センター①(Senkaku Medical Center)】
医療区画は搬送台車用の通路でのみ移動できる仕組みで、人がその通路に入ることはできない。
この通路は強烈な殺菌力を持つ特殊な気体が封入されているので、生身の人間が無理やり通ろうとしてもすぐに気を失ってしまうだけ。
だから医療区画に通される際は、カプセル台車に乗って移動するのだ。
カプセルに入った人は、勝手に行動をしないように、麻酔薬によりいったん眠らされる。
中には住居棟から逃げ出そうと病人に成りすます者や、医療棟で暴れられると困るための措置だ。
医療区画に入った患者は、無菌室で全身が包まれる特殊な服を着せられ、そのあと重殺菌室を通って医療区画に入って治療を受けることになる。
もちろん服を着替えさせる看護師や、診療を行う医師も同じ全身が包まれる特殊な服を着ている。
この特殊な服は、センサーが内蔵されていて体温が測れるだけでなく、服のまま注射や点滴、それにレントゲンやCT、MRIも使用できる。
注射や点滴の際に出来た穴は、パンク修理キットのようなシールで塞がれる。
診療を終えた患者は、なにもなければ同じで順を逆に移動して医療棟から住居棟に戻り、入院が必要な患者はそのまま医療棟のカプセル式の部屋に移される。
カプセル式の部屋は日本のカプセルホテルよりも縦の長さが長くなっていて、奥にはトイレも付いている。
カプセルホテル同様に2段重ねになるが、診察後に病床用カプセルに入ってそのままセットされる仕組みで、2段目は搬送台車のリフトが自動で1段目の上にセットされる。
もちろん住居棟にあるカプセルとは違い、勝手にカプセルの外には出られないようになっていて、カプセルの中のセンサーが体調の変化を診て異常があれば医師に伝える仕組みとなっている。
仮に入院中にカプセルから抜け出すことができたとしても、カプセル病棟室は幾つもの区画ごとに閉じられているし、そこは酸素が薄く二酸化塩素濃度が高い環境なので人が自由に行動できる環境ではない。
特に全身を覆う特殊な服を脱いだ状態では、すぐに行動不能な状態に陥ってしまう。
医療棟に入院した場合、患者に食事の提供はなく、飲食は備え付けの水と栄養剤、または点滴となる。
医療棟の屋上にはヘリポートがあるが、そこに通じる通路や階段はない。
あるのは40㎝四方の、医薬品搬送用のエレベーターだけ。
エレベーターの箱の中には強いアルカリ性の液体が満たされているので、ウィルスを構成するたんぱく質は破壊されてしまう。
こうして安全にヘリコプターから医薬品を医師に届け、医師からは検体やレポートを受け取ることができる。
医療棟の他の施設として特徴的なものは、自動火葬システムがある。
この火葬場は棺搬入口が10個もあり、1日に400遺体を処理することができ、南小島にはこれは2セット、北小島には1セット建設されている。
焼却後の遺骨は自動的に名前と死亡年月日が記載された容器に詰められて保管される。
最後に、島に上陸した際に銃やナイフなどの武器になるようなものや、麻薬などの有害な薬物の廃棄に協力しなかった人たちが行くルートについて説明しておこう。
彼らは、こちらが指定したルールに従えないとハッキリ宣言した。
特に武器や有害薬物というものは、社会の秩序を強硬に覆すもの。
だから、かなり荒っぽいが、隔離棟というところに入ってもらうことになる。
隔離棟は、名前に「棟」という文字がついているが、地上にはなく全てが地下となっていて、入ってきた入り口以外に出口はない。
食事や水は、住居棟と同じように自分専用のカードを使い決められた量だけ飲食ができる仕組みになっていて、生きている間はそのカードが使えるが声明反応がなくなればカードをかざしても何もでてこない。
人道的な問題も有るにはあるがハッキリ言って「このような非常事態で、面倒を掛ける人にかまっている暇はない!」というのが本音として作られたのがこの隔離棟であり、いったんここに入ったら最後、事態が落ち着くまで外には出られない。




