【中国人、尖閣諸島に上陸す!②(Chinese nationals land on the Senkaku Islands.)】
沖縄沖で自力航行に必要なスクリューなどを失った客船たちを尖閣諸島まで運ぶために、那覇港からタグボートを呼んだ。
やってきたのは港でよく見る小型のタグボートではなく、大型のオーシャンタグボートと呼ばれる船。
海上自衛隊の大型曳航戦YT-92・94の2隻の他にも、一隻で15,000トンを曳航する能力のある「翔洋丸」や、6400馬力のエンジン出力を誇り30名前後の収容人数もある「かいり」、更に大型の10000馬力の「あいりす」と「あまりりす」の姉妹に、20000馬力の「だーりあ」などが助人で来てくれた。
ここから尖閣諸島の南小島までは400kmあまりあるので、悪天候に遭遇する可能性もある。
だから近海用のタグボートでは事故の危険があるから、外洋型のオーシャンタグボートを手配した。
曳航なので自転車程度の速度しか出ないが、信号も渋滞も山道のような曲がりくねった道もない海の移動は意外に距離を進むことができる。
何しろ8ノット(時速14.8㎞)とは言っても、24時間その速度でほぼ真直ぐに移動できるのだから尖閣諸島まで30時間で到着するのだ。
いっぽう尖閣諸島の北小島・南小島のほうは慌ただしい撤去作業を行っていた。
「医薬品の搬入状況は?」
「予想される医薬品は全て搬入完了です!」
「予想されないものは?」
「あー、それも半分程度は搬入済みですが」
「未知のウィルスなんだぞ、俺たちに何が予想できるって言うんだ?半分程度じゃ駄目だ!持ってこれるだけ持って来てそろえろ!」
「わかりました!」
「急げ急げ!明日にはお客さんが来るんだぞ!」
現場の責任者が作業員に発破をかけた。
収容所は北小島と南小島の2箇所に分かれているが、敷地面積が違うので収容人員は異なるものの設備は共通している。
上陸する際は狭いゲートを一人ずつ通り、手荷物検査や体温の測定をクリアした者だけが上陸できる仕組みになっていて、そこをクリアできなかった人は例えば拳銃やナイフ・違法薬物などを持っている人には、それらの廃棄を促し、従わなければ上陸ではなく収容所へ向かうルートを取ってもらう。
またこの検査で既に発症確認された人は、そのまま医療用収容所への通路が割り当てられるという仕組みで、通路には一切行先が書いていなくて1人ずつ自動搬送機で移動するため自分が何処に向かっているかは一切分からない。
用意した住宅は一戸建てではなく、密閉性の高い医薬品工場に似た無菌室に近い構造で、空調は全てマイナスイオン発生器付きで、定期的に次亜塩素酸による空調消毒や強アルカリ水による部分消毒も行われる。
窓は一切なく、照明は紫外線を含む殺菌性の高い物が使用されている。
食事は上陸時に個人カードを渡されるので、それを使えば決まった時間に部屋に備え付けてあるシューターにレトルトの食事が届けられる。
ちなみにこのカードは配布されるとき撮った本人画像と照合されるので他人のカードで食事をすることはできない。
各フロアには何台ものお掃除ロボットが走り回っていて、このロボットは衛生管理だけでなくフロア内各地域のウィルス濃度を測定するとともに熱感知器で通り過ぎる人々の体温も測定して、熱の高い人がいればそれをセンターに通報する役目も担っている。
各部屋にも熱感知器は備え付けられていて、これで客の健康管理をしていて、異常があればセンターに知らせる仕組み。
施設内は全く死角のないように防犯カメラが据え付けてあり、お掃除ロボットや部屋の熱感知器の情報をもとにウィルスに感染した人を早期に見つけ出し、医療等へ行ってもらう仕組みになっている。
行ってもらうというのは、ある意味「自主的に」ということになる。
いちおう外気と遮断するための、カプセル式自動搬送台車が感染者の所にまわされるのだが、日本政府から警察官や職員などの人員は一切派遣しないのでルールを守ってもらうほかはない。
中国政府のように警察や軍による暴力的な強制移動は一切行わない。
一階から二階、二階から三階といった移動手段は一切なく、建物の外に自由に出ることも出来ない。
各フロアは完全に孤立した密室となっているから、ルールを守れない者がいると最悪そのフロアに居る人たちは全滅する。




