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<ERIの霊界人達>

次に嘉助は、ERI(超感覚研究所 Extrasensory Research Institute)で関係者の意見を聞いた。


ERIには現在、10人の霊界人が常勤している。そのうち6人は霊界の技術者である。彼らは人間界の様々な技術を調査して、霊界で活用できるものはないか検討している。また逆に、霊界の技術で人間界に適用できそうなものも研究題材にしていた。


残る4人は、人間界で起こった霊能力者が関与した事件や、発見された能力者の具体的な能力内容などを、監視員と協力して検証したり記録に残したりしながら、それらを統計的にまとめたり、差し障りのない程度に書籍化を行ったりしていた。いわば、記録と分析の要員である。


ERIには他に、名目上の理事長と5人の職員がいた。彼らは非能力者の協力者で、主に表面的な事務全般を受け持っていた。


今日は、ERIの霊界人10人と、嘉助の元で活動している監視人5人が集まっていた。

こちらでも嘉助は、老師からの資料と、先日協力者から出た意見を提示して意見を求めた。


「確かに、能力無効化装置は提供しないとダメでしょうね」

口火を切ったのは、欧州圏で監視活動のリーダーをしている男であった。


「いや、能力無効化装置なんて、簡単には提供できませんぞ。それにまだ検証中で、完全に無効化できるか疑問もありますからな」

これは研究員である。総じて研究員たちは、霊界の技術を安易に人間界に持ち込むのは反対のようである。


「性能については既に検証できていますよ。ただ、霊晶石れいしょうせきの扱いと、初期に霊力を注ぐ必要があるので、人間側で使うには我々のサポート負荷が高いかと」

同じく研究員の一人が、研究自体の成果は示しつつも、人間界への提供は労力的な負担が増えすぎると懸念を口にした。


「でも、私たちが提供できなければ、犯罪者たちを逮捕しても一般の刑務所では意味をなさなくなるわ」

監視員の一人が現実的な意見を述べた。


「特殊刑務所のような物を作って、限定的に能力無効化装置を提供するとかか?」

「最初はその方が良いかもしれないな。でも、いつまでもその対応では限界が来るぞ」

これらは総じて現場近くで人間の能力者に接してきた監視人たちの意見である。


「それなら結界装置も必要だろう。防犯としては最も効果的だろうからな」

また別の監視人が提案した。


「そんな高価なものは無理だぞ。どれだけ高価な霊晶石が必要になると思っているのだ」

研究員の反論である。彼らは普段から研究費の確保に窮してもいるので、どうしても資源的な不満へと繋がってしまうようだ。


「でも、官邸とか高度な防犯が必要な場所に限定すれば、非常に効果的だと思うわ」

「実際に混乱が始まってしまったら、時間との戦いにもなりそうですね」

現場を知る監視人たちは、常に現実的な見方をしている。


「協力者たちからの要望に『霊力の指導』というのもあるが、そこは我々では難しいでしょうね」

研究員の意見は、どうしても否定的な姿勢から入る傾向が強いように見える。


「いや、まず協力者たちを指導して、彼らにインストラクターとして活動してもらえば良いのでは?」

研究員の一人が、案外現実的な提案をした。

「それなら混乱の始まる前に行っておいた方が良いでしょうね」

「霊力に関する知識や能力に関する資料も、今のうちに整理しておいて、必要時に速やかに配布するなりしないと追いつきませんよね」

この件に関しては、研究員側でも肯定的な意見が多いようだ。


「警察の鑑識技術を補完できる霊界の技術はなかったかな?」

監視人からの確認に、研究者側がまた否定的な意見で返した。

「『霊紋れいもん検査』というのはあるけど、まだ人間界で使える状態ではないね」


「できれば詳細鑑定装置も増量しておかないと、いずれは各国でも対処してもらう必要が出るだろう」


「嘉助さん。結局、我々が人間界に技術や知識を提供するには、霊界からの許可が必要ですよね。その辺はどうなんでしょう?」

研究員は、霊界自体からの承認と予算増などの対策が前提であるということを嘉助にぶつけてきた。彼らにとっては、霊界が自分たちの研究に対して相応の関心と予算を認めることが、まずは重要だと感じているようだ。


「それはね、僕らが対処すべきことだね。まあ、いざとなったら色々手はあるものだよ。そんなことを気にせず、本当に必要と思うことを進めてほしいね」

嘉助は研究員たちの気持ちも分かるので、できる限りの協力は惜しまないという姿勢を、珍しく強く示すことにしたようだ。


嘉助の言葉にERIの霊界人たちも大きく頷いた。

こちらでも嘉助は手応えを感じたが、その分自分たちが負うべき問題も多く、どう対処すべきかと頭を悩ませていた。


(やっぱり老師や閻魔様、学園長にも協力してもらわないと無理そうだな……)

嘉助は近々、霊界の近しい間柄の実力者に相談に行こうと決心していた。

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