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<天界システム管理センター>

3人はジンを先頭に、システム管理センターに向かって進んで行く。前方には、近代的な外観の大きな建物群が見えていた。

やがてセンターの敷地入り口に着くと、そこには所長自らが管理部長を伴って出迎えに出ていた。


「これはこれは老師様、わざわざお越しいただき光栄に存じます」

所長はやや緊張した面持ちでヨルダたちを迎えた。


「うむ。急な話で悪かったのう」

ヨルダもにこやかに応対する。


入り口横にある像を見て、ジンが所長たちに尋ねた。

「この像はアリエル様ですね?」


「はい。ここのシステムの原型をお作りになったのはアリエル様ですからね。こうして敬意を込めて像を造らせていただきました」


ジンは感慨深そうに像を眺めていたが、その間もリピウスはキョロキョロと辺りを物珍しそうに見回していた。


ひとしきりの挨拶が済むと、3人は所長たちの案内でセンター内へと入った。

ヨルダたちは、最初にシステムを管理している制御室を見学した。ジンの同行を連絡した際、見学も依頼していたのだ。


制御室はいかにも、といった雰囲気で、大型モニターには人間界の地図が映し出され、そこには各種情報が表示されていた。周囲には制御室らしくモニターが並び、多数のランプが点滅している大型装置も鎮座している。


「ここから人間界の状況をモニターしながら、異常などが発生していないか常時監視しております」

所長は自慢げに説明した。


「随分と近代的な感じですね」

ジンが興味深げに見回している。


「はい。もちろん最初はもっと簡素な装置だったのですが、代々最新の技術を取り入れながら、現在では霊界でも最も革新的な設備を導入しております」


相変わらず自慢げに所長は説明を続ける。そこで、やや自嘲気味に付け加えた言葉が悪かった。

「まあ、これも人間界の技術を元にした、一種のパクリなのですけどね」


所長にしてみれば、場を和ませるための軽いジョークだったのだが、悪いことにリピウスが即座に反応してしまった。


「あははは! そこはさ、『リスペクト』って言って欲しいな~。『パクリ』じゃ逮捕されちゃうぞ! バキューン!」


指でっぽうを撃つ格好をしながら、リピウスは愉快そうに笑っている。

これにはヨルダ爺もジンもドン引きしてしまい、言葉も出ずに唖然とリピウスを見つめていた。ましてや所長と管理部長に至っては、「何が起きているのか」理解不能な状態で完全にフリーズしてしまった。


流石にリピウスもその場の空気感を感じ取り、慌てて取り繕うことにした。

「あはは……。すみません。ついついつい、素晴らしい設備を見たもので、はしゃいでしまいました。お気になさらずに、どうぞ話を進めてください」


そこでようやく皆の意識が戻ったようで、見学が再開された。


「アリエル様が作った当時の資料などはあるのですか?」

「もちろんございます。それらは一部、複製が展示室で見られます。原本は大切に保管庫で管理しておりますが、よろしければ後ほどご案内いたしましょうか?」


ジンはヨルダに許可を求めるような視線を送った。ヨルダが頷くのを見て、

「それでは是非お願いします」

と嬉しそうに応えた。


展示室には、アリエル様が残したという石板のシステム概略図などが展示されていた。その他、システムを構築する際に使った霊晶石を用いた制御機器などの複製もあった。


ジンとヨルダは、それらを一つ一つ感慨深そうに見て回った。当然その横では、リピウスが相変わらずキョロキョロしながら勝手にあっちへ行ったりこっちへ行ったりと動き回っている。

そんな様子を見て、所長も「勝手に何かに触って壊されでもしたら……」と気が気ではなく、チラチラと常にリピウスの動きを見張っているようであった。


最後には立ち入り禁止の保管庫にも入室させてもらった。そこには驚くことに、アリエル様がシステム構築時に考えた詳細な内容を記録した、「記憶の霊糸れいし」が残されていた。


「これはアリエル様自らが、自分の記憶を後世に残すため独自に造られた装置なのです。これは紛れもなく、アリエル様の一部だと言われています」

「今でも記憶内容を確認できるのですか?」

「はい、できます。ですが、あまりにも恐れ多いことなので、余程のことがない限りは使うことはありませんが」


「なるほど。確かに恐れ多いことですね」

「ほっほっほ。ジンは実際に触れてみたいのじゃろ?」

ヨルダ爺も楽しそうであった。


「あ! もし老師様とジン様がお望みということであれば……」

所長が慌てたように付け加えた。


「いえいえ、私などが触れてよい物ではありませんよ」

「うむ。わしとて同じじゃよ。気にせんで良いからな」


二人の言葉に所長はホッとした表情になったが、チラリと横目で見ると、リピウスがヨルダ爺の後ろから軽く突きながら小声で囁いているのが聞こえた。

「ちょっとぐらいなら、触らせてもらおうよ……」


しかし、ヨルダ爺はリピウスに無言で軽く肘鉄を喰らわせて黙らせた。それを確認して、所長は大きく安堵の息を吐き出した。

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