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<人間の可能性を信じて>

突然のリピウスの爆弾発言であった。


「だってさ、元々霊力を封印したのは、霊力を争いの力として使い、原始的な精神のまま争い続けて滅亡するからだろ?」


「ま、まあ、そうじゃな。その結果いつまで経っても霊魂も未熟で、霊界人も思うように育たなかったからじゃの」


「でも今の人間界は、それなりに精神も成熟してきているぞ。無理して霊力を封印しなくても、今なら良い方向に進むかもしれないじゃないか」


「そうか? おいらが見る限り、人間の欲望ってあまり変わってないぞ」


「その時はその時だろ。そんな人類ならどうせ長くは続かないだろうから、さっさと引導を渡してやり直せばいいじゃん」

リピウスはあくまでドライな物言いを続ける。


「おいおい! それで良いのかよ」

リピウスがあまりにも無責任な感じがしたのか、珍しくデュークが少し声を荒らげた。


「まあ人間界は大混乱するだろうけどな。それを乗り切って新たな時代を築くか? そのまま滅亡するか? それも人間自身の選択なんじゃないか? それに、人類には大いなる不幸な時代になるかもしれないけど、多分大幅に人口も減るぞ」


「リピウスって時々めちゃくちゃ冷酷な感じになるよな。おいらはお前が少し怖いぞ」


「確かにのう……。じゃがある意味、真理なのかもしれんな」

ヨルダはリピウスの言葉を冷静に受け止めているようだ。


「どうせ放置していても能力者が大幅に増加して、収拾がつかなくなるんだろう。中途半端に介入するより、俺は良いと思うけどな」


「「……」」


ヨルダ爺とデュークは言葉を失ってしまった。

暫しの沈黙を受けて、リピウスは言い過ぎたとも思ったのか、頭を掻きながら続けた。


「ちょっと極論に走り過ぎたな……。でもそろそろ封印全解除を前提にして、今やれることを考えた方が良いのではないか? どう考えても、もう隠蔽しきれる状況じゃないだろうしな」


「うむ……確かにそうかもしれんな」


「俺もな、人間の進化をまだ信じてはいるんだよ。ちょっと霊力や霊界の技術を提供してやれば、早期に人間自身も対策に動き出すとは思うけどな。もちろん、まずは大量の霊能力者が現れて、人間界が混乱する事態が起こったらの場合だけどな」


「よう、それってもう、混乱が起きる前提での話だよな」


「混乱が起きなければ、いきなり霊力がどうのって言いだしても、誰も相手にしないぞ」


「そうじゃな。その前提で、いかに迅速に事態を収拾するか、を考えろと言うことじゃな?」


「そうそう。放っておいても百年もかからずに独自に対応するかもしれないけどな。でも下手したら最悪のシナリオにもなるからな。早期に少しサポートしてやれば、だいぶ違うと思うぞ」


「最悪のシナリオって、どうなるんだ?」

デュークが不安そうに聞いた。


「そりゃ、世界大戦が勃発して人類滅亡のシナリオだよ」


「「!!!」」


「世情が不安定になれば、当然『力』による闘争が激化するのは人間の歴史が物語っているだろう。下手したら核兵器に匹敵する能力を得るんだぜ。疑心暗鬼から戦争になる可能性も高いだろうが」


「じゃから、早期に安定化させて、対策に向かわせると言うことかの?」


「そういうことだね。まあ人間のやることだから、どう転ぶかは俺も分からないけどな。とりあえず人間を信じるしかないと思うね」


「おいらは今、リピウスが人間だってことを、完全に忘れていたぞ」

デュークが不思議そうな顔をして言い出した。


「確かにな、わしも人間と話していることは忘れておったな」


「まあ人間も中身は霊界人だからね。そういう意味では同じだと思ってるよ」


その後、リピウスは人間の霊能力者が犯しそうな犯罪ケースを、霊力値の範囲から「軽微な犯罪」「重大な犯罪」等に区分けして書き出した。また、それらの犯罪に対して警察がいかに無力かも示した。


「これをたたき台にして、能力者の犯罪が増加した際の対応を検討してみれば良いのではないか?」


そう言って、リピウスは資料をヨルダ爺に渡した。

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